巨人・坂本勇人の“前足がめくれる癖”を克服したマル秘ドリル

巨人・坂本勇人の“前足がめくれる癖”を克服したマル秘ドリル

昨季、本塁打を放った際の坂本の振り切り(C)日刊ゲンダイ

【名伯楽「作る・育てる・生かす」】#10

 2014年オフに3度目の巨人コーチに就任。この頃、坂本勇人は少し伸び悩んでいた。下半身が早くほどけてしまい、上半身と連動していなかった。私は坂本にこう言った。

「打つ時、前足のつま先が地面からめくれ上がるだろ? 前の膝とつま先を閉じてスイングをするまで我慢してみよう」

 私は「壁」のつくり方を助言した。ティー打撃で「左足のヒールを上げたまま打つ」というドリルを課した。いい投手に崩されると戻すまでに何試合か時間がかかるという一面もあった。

■伸び悩んでいた男には弱点があり…

 首位打者のタイトルを獲得した16年ごろから、外角球への対応がうまくなり、追い込まれてからうまく拾えるようになった。そこから長打にもこだわりを見せている。

 パワーが0の状態から振り始め、1、2、3と上がっていき、ボールを捉えるインパクトの瞬間に10になる。その後は下がっていくのが普通の打者だが、10の後、11、12とさらに力を伝えようというイメージを持ってスイングをするのが坂本である。広島の鈴木やソフトバンクの柳田も同じ。フォロースルーで背中を叩くくらい振っている。オーバースイングじゃないかと思うこともあるが、逆方向にも大きな打球が飛ぶようになった。

 昨シーズンは40本という「答え」が出た。

「スピード」「正確性」「再現性」の3要素に「パワー」が加わった。近年は下半身に故障の不安を抱えるため、多くの盗塁は望めないが、本来は「トリプル3」が狙える能力がある。

■原監督の一番の「作品」

 今思えば、この男は運を持っていた。

 外れ1位で入団し、新人だった07年、春のキャンプで一軍の紅白戦に呼ばれ、「試合に出てからファームへ戻れ」と言われた試合で安打を放った姿が印象に残る。さらにこの年、プロ初安打が決勝点だったというのも印象に残った。レギュラーに定着したばかりの頃、原監督は何度もスタメンから外そうと思ったそうだ。そのたびに坂本は危機を乗り越え、今の地位を築いた。

 これまで巧打者タイプが多かった遊撃手で、主役を張れる坂本は歴代最高に近い。高卒2年目の坂本を抜擢した原監督の一番の「作品」といえる。

 高卒の生え抜きスターの座を継ぐのは、現4番の岡本和真だろう。私の巨人復帰と同時にドラフト1位で入ってきた。17年7月に私が二軍監督に就任する際、ファームで7番など下位の打順だった岡本を、どんなに打てなくても4番に固定すると決めた。そんな思い出深い選手である。

(内田順三/前巨人巡回打撃コーチ)

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