新型肺炎とインフルエンザに悲鳴を上げる球団経営者たち

新型肺炎とインフルエンザに悲鳴を上げる球団経営者たち

新型肺炎問題は未だ終息の見通しが立っていない(C)共同通信社

【メジャーリーグ通信】

 今年1月に明らかになった新型コロナウイルスによる肺炎の問題は、終息の見通しが立っていない。

 一方、新型肺炎以上に米国内で深刻な課題となっているのがインフルエンザだ。

■中国経済の停滞

 米疾病対策センター(CDC)によると、2019〜2020年のインフルエンザの患者数は2月1日時点で2200万人を超え、死者数は1万2000人以上を記録している。

 目下、世界各国の最大の関心事である新型肺炎と米国内の脅威であるインフルエンザは、米国のスポーツ界にどのような影響を与えるだろうか。

 新型肺炎問題について、誰もがすぐに思い浮かべるのが、発生源と考えられている中国の経済状態の悪化だ。

 2014年に中国の習近平政権が「スポーツ産業を2025年までにGDPの1%程度まで成長させる」という新たな政策を示して以降、中国の有力企業は外国のプロスポーツチームの買収に乗り出した。一時、中国企業がACミランなどの欧州を代表するサッカーチームの株式を積極的に購入し、批判を浴びたほどであった。そして、昨年8月に中国の電子商取引最大手アリババ・グループ・ホールディングがNBAのブルックリン・ネッツを買収したように、従来欧州サッカーに向けられていた中国企業の関心は米国に向けられていた。

■バスケを足掛かりに

 欧州での「チーム爆買い」が批判を受けた反省を踏まえ、まず中国でも人気の高いバスケットボールで米国プロスポーツの経営の実績を重ねたのち、段階的にNFLや大リーグの球団の買収を実現させるという観測もあった。だが、新型肺炎問題で中国経済が停滞すれば「スポーツ産業の成長」という習近平政権の政策そのものが頓挫しかねない。

 しかも、「世界の工場」であり、一大消費国である中国の経済が停滞すれば、最大の貿易相手国である米国経済そのものが打撃を受けるのは明らかだ。

 連邦準備制度理事会議長のジェローム・パウエルが連邦下院の金融委員会で「中国を混乱させ、世界経済に波及する可能性がある」と指摘したのは、このような米中間の経済関係の現状を改めて示すものだった。

 また、米国でのインフルエンザの流行は例年10月ごろに始まり、5月ごろまで続く。それだけに、今のところ米国内での新型肺炎の封じ込めは成功しているものの、インフルエンザの蔓延が続く可能性は否定できない。

 もし、国外で新型肺炎、国内でインフルエンザが流行したままであれば、米国内の経済活動も停滞し、スポーツ産業を含む米国経済への中国資本の流入も細ることで、チーム経営の基礎が動揺しかねなくなる。プロスポーツの経営者たちが先行きを楽観視できないのも、当然のことなのである。

(鈴村裕輔/野球文化学会会長・名城大准教授)

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