160から120へ…大リーグ機構提案のマイナー球団削減が加速

160から120へ…大リーグ機構提案のマイナー球団削減が加速

マンフレッド・コミッショナーの思惑は…(C)ロイター/USA TODAY Sports

【メジャーリーグ通信】

 新型コロナウイルス感染症の拡大で開幕の時期が見通せないのは、大リーグだけではない。マイナーリーグも米国各地で進む経済活動の再開の状況を見ながら、開幕の可能性を模索している。

 無観客であっても試合を中継することで放映権料を得ることができる大リーグと異なり、試合の実況中継はラジオが中心のマイナーリーグでは、週末の試合の入場券と物品の販売の売り上げが主な収入源となっている。そのため、公式戦を開始することができたとしても、球場での観戦が実現しない限り各球団の経営は苦しくなる。

 こうした中で、繊細な間柄にあるのが、大リーグ機構とマイナーリーグの関係だ。なぜなら、両者の間には、大リーグとマイナーリーグとの提携関係の見直しの問題が横たわるからだ。

 実際、大リーグ機構が提示した、今シーズンで現行の協約が満了することに合わせて提携するマイナー球団の数を160から120に減らす案は、「野球文化の危機」などと米国内でも議論を起こした。

■週400ドルと医療給付

 それでも、4月下旬には両者が合意に向けて前進していることを声明している。3月19日には5月31日かマイナーリーグの開幕日まで、マイナー契約の選手に毎週400ドルの手当の支給と医療給付を行うことを決めたのは周知の通りだ。

 マイナーリーグの選手は、ベネズエラなど感染の危険性の高い地域の出身者を除き、スプリングトレーニングの打ち切りとともに宿泊施設から退去するよう指示されていた。そのため、選手たちは2019年のシーズン終了後から無給の状態が続いていた。週400ドルの手当は決して多くはないかも知れない。だが、マイナーリーグの最低保証給与はA級以下が週290ドル、最上位のAAA級が週502ドルであることを考えれば、多数の選手がシーズン中よりも多くの手当を受けていることになる。

 こうした措置は、マイナーリーグの選手の給与を負担する大リーグ側が、応分の責任を果たした結果であるといえる。

 また、2月には、2021年からの最低保証給与について、連邦法による最低賃金に準拠するとして、ルーキーからAAAまでの5階級で約39%から約72%引き上げる計画を公表し、提携見直しが選手の待遇悪化につながるものではないことを示している。

 一連の大リーグ機構側の措置は硬軟合わせたものである。そして、「このままではシーズンが開幕したとしても多くの球団が経営破綻するだろう」というマイナーリーグ各球団の先行きへの不透明感が、提携解消の協議を加速させている。

 当初は唐突と思われた大リーグ機構の提案は、思わぬ形で実現に近づきつつあるのだ。

(鈴村裕輔/野球文化学会会長・名城大准教授)

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