プロ野球6月開幕に選手から「反対」の声なし メジャーと彼我の差はなぜか

プロ野球6月開幕に選手から「反対」の声なし メジャーと彼我の差はなぜか

佐々岡監督を打撃投手に練習する広島の鈴木(C)共同通信社

お国柄の違いなのかどうか。

 7月上旬の開幕を目指す米大リーグでは、選手が次々に反対の声を上げている。「選手たちは闘犬とほぼ同じ状況だと思う」「実際に自分や家族を犠牲にして戦うのは選手や現場スタッフ」とツイッターで発信したカブスのダルビッシュ(33)をはじめ、レイズのスネル(27)、ロッキーズのアレナド(29)、フィリーズのハーパー(27)といった球界を代表する選手たちが開幕案に反対しているのに対し、日本のプロ野球はそのメジャーより早い6月中の開幕を目指しているのに、選手から反対の声は聞こえない。

 野球はチームスポーツだ。どうしたって“濃厚接触”が避けられない局面は多々ある。6月中の開幕に警鐘を鳴らす専門家も多いから、不安を感じている選手も少なからずいるはずだ。それでも12球団の選手たちは、黙々と練習をこなしている。

 彼我の差はなぜか。野球文化学会会長で、名城大准教授の鈴村裕輔氏はこう言った。

「メジャーは3月下旬に経営者側と選手会の間で、年俸は試合数に応じて支払うことでいったん合意しています。なのに経営者側はコロナ禍で収入が大幅に減ることを理由に、選手の年俸をさらに減らしたいと言いだした。それで選手会側はいったん握手をしておきながらひっくり返すのは話が違うだろうと言っている。スネルが、これ以上年俸が減るならプレーしないと言っているのはつまり、そういう背景があるからです。そこへいくと日本の選手会側は経営者側とまだ、年俸に関する交渉をしていません。いや、しているのかもしれませんけど、情報が選手たちに伝わっていないでしょうから」

■余計なことを言うな

 プロ野球には“ケンカの種”がないというのだが、そもそも日本人は自己主張が苦手だといわれる。そのうえプロ野球界には上下関係が絶対的な体育会気質の中で育った選手が多い。年俸に関しても代理人交渉はしばらくの間、認められなかったし、現在も完全に定着したとは言い難い。代理人のついている選手を他球団に厄介払いした球団も中にはあった。契約更改でも選手側は球団側に有利な条件をのまされるケースが圧倒的で、国内外のメディアから「奴隷契約」と揶揄されたこともある。

「そもそも日本には、スポーツ選手は、スポーツだけやっていればいいという風潮がある。政治に関して発信すると、余計なことを言うなと袋叩きにされることすらありますから。幼いころから体育会的な上下関係の中で育っているだけに、球団や監督の決めること、言うことは絶対。おかしいと思っても、それを表現したり、うまく発信する方法が分からないのかもしれません」とは前出の鈴村氏だ。

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