楽天・太田「クビを振ったらクビ」大商大時代の“太田ルール”でリードに磨き【プロ野球2020年 躍進若手の正体】

楽天・太田「クビを振ったらクビ」大商大時代の“太田ルール”でリードに磨き【プロ野球2020年 躍進若手の正体】

頭が良くて勘も鋭い楽天の太田光捕手(C)日刊ゲンダイ

【プロ野球2020年 躍進若手の正体】#4

 太田光(楽天 捕手2年目・23歳)

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 光ファイバー。早くもそんな異名がついた。二塁送球1・90秒の強肩で、今季の盗塁阻止率(17日現在)は、リーグトップの・379。あの「甲斐キャノン」を上回る。

 18年ドラフト2位で楽天に入団し、今年で2年目。昨季、正捕手の座を競った堀内謙伍(23)が右ひじのクリーニング手術を受けて出遅れているうちに、開幕マスクの座をつかみ取った。

 ここまで47試合に出場して打率・210、2本塁打、14打点。打撃は発展途上だが、昨季わずか3勝だった涌井秀章(34)の無傷の7連勝を引き出すなど、正捕手としての役割を十分に果たしている。

 歴史情緒のあふれる街、岡山県倉敷市で、両親共に教員の家庭で育ち、中学生まではピアノをたしなむなど英才教育を受けてきた。高校は故郷を離れ、広島の広陵へ進学。野球部の中井哲之監督はこう語る。

「奥ゆかしい子でした。どんなに練習しても『これだけやってます!』というアピールなどまったくしない。『実直』『勤勉』という言葉が似合う選手です。負けず嫌いでもあり、野球も学業も妥協はせず取り組んでいましたね。勉強もクラスで一番できていたかと思います」

 文武両道を地で行き、2年の秋からは「4番・捕手」。キャプテンとしてチームを引っ張った3年時は、夏の甲子園に出場。進路はプロではなく、六大学野球の難関、慶応大を志望していたという。

「私が知る太田の唯一の挫折経験です。慶大をスポーツ推薦で2度受けましたが、落ちてしまいました。そこで前々から声を掛けてもらっていた大阪商業大の富山監督に頭を下げに行こうか、という話をしていたら、向こうからわざわざ広陵高まで来てくれた。富山監督は『これも縁だ。俺と一緒に野球をやろう。おまえをプロに行かせることができなかったら、俺も大商大の監督を辞めるから』と説得し、それで太田も腹を決めたようです」(中井監督)

 大商大へ進学すると、入学早々の1年春から正捕手。キャプテンも経験し、在学中の4年間、絶対的な扇の要として君臨。チームを6度のリーグ優勝に導いた。同大の富山陽一監督が語る。

「入学してきた時点でプロに行ける実力が備わっていた。大商大は太田のおかげでここまでの成績を出せたと言っても過言ではありません。頭が良くて、勘も鋭い。どこに投げたら危ないかを察知する能力が非常に高い捕手です。キャプテンとしては、部員に対して相当厳しい方だったと思いますが、しっかりその加減も分かっていたのかな。メンバーからの信頼は厚かった」

■先輩相手でも堂々

 太田が在籍していた4年間、部内ではあるルールが取り決められたという。

「投手たちには『太田のサインに首を振ったら即降板だぞ。それか丸刈りだ!』と、とにかくこれだけは徹底させました。失点をすれば当然、太田の責任も大きくなりますが、それでも全く気負った様子もなく、1年生の頃から堂々とプレーしていましたよ。これで配球にかなり磨きがかかったと思います」(富山監督)

 入団2年目で投手陣は先輩ばかり。それでも物おじせず本来の力を発揮できているのは、大学時代の経験で培ったものの賜物だ。

▼おおた・ひかる 1996年10月14日、岡山県倉敷市出身。身長177センチ、体重75キロ。広陵高時代、3年夏に甲子園出場。大商大では、4年間で6度の関西六大学リーグ優勝に貢献した。年俸1450万円。

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