「野球好きのお母さんを増やしたい」という思いが芽生えた【小林雅英 ブルペンから走り続けた13年】

「野球好きのお母さんを増やしたい」という思いが芽生えた【小林雅英 ブルペンから走り続けた13年】

筆者の小林雅英氏(C)日刊ゲンダイ

【小林雅英 ブルペンから走り続けた13年】#44

 僕は昨年1年間、女子プロ野球の総合投手コーチを務めました。

 男子のスピードやパワーと比べると見劣りしますが、思っていた以上にレベルが高い。何より試合に対する熱量が120%と言っても過言じゃない。「そういえば、俺らも野球を始めた頃ってこうだったな」と懐かしさを覚えました。

 ただ、いざコーチの仕事を引き受けて指導をすると、考え方や取り組み方、そしてトレーニング方法なども、他の女子アスリートと比べると洗練されていない。逆に言えば、伸びる余地はまだまだあると思いました。

 そんな女子野球に興味をもった僕は、さまざまな取材をしました。その結果、少子化が叫ばれ、全国的な野球人口も減っている現在、少年野球では女の子が主力メンバーになるケースが増えているんです。女子のレベルが上がっていることもそうですが、むしろ女の子を入れないとチームとして成り立たないケースもあるのです。

 小中学生の学童野球の親御さんたちと話したときのこと。あるお母さんは「野球は難しくてつまらない」と言う。お父さんが子供の習い事に付き合うのは休日くらいですが、中学の硬式野球ともなると毎日のように練習があり、送り迎えをするお母さんも2、3時間はグラウンドにいることになります。同じ時間、子供に付き合うなら、試合の流れがわかりやすいサッカー、見ていて楽しいテニスやゴルフなどをやらせたい、と言うんですね。

■10年後、20年後

 僕は改めて「将来の野球界のためにも、野球人口を増やさなくてはいけない」と思いました。重要なのは、いかにお母さんたちに野球を好きになってもらえるかです。子供が生まれたとき、最初にサッカーボールではなく、野球のボールを与えるようになってもらえるか――。

 必要なのは女子が野球を続けられる環境です。確かに女子プロ野球はありますが、経営は非常に厳しい。だからこそ12球団には「女子チーム」をつくってほしい。プロ化はせずとも、12球団の本拠地でプロと同じユニホームで試合をできる機会をつくるだけでもいいんです。

 会社で働きながら、学校に通いながら、たまに試合に出る。そうして育った女の子が将来お母さんになったとき、子供には最初に野球のボールを与えるのではないでしょうか。

 どの球団も少年野球のチームをもち、指導をしていますが、それはすでに野球を始めている子が対象。野球人口の増加という意味では、もっと前の段階から動く必要があるんです。

 それこそ10年、20年、もっと時間のかかるプランですが、今年レディースチームを発足させた西武のように、すでに取り組んでいる球団もある。将来の野球界のため、僕も微力ですが尽力するつもりです。ご愛読、ありがとうございました。=おわり

(小林雅英/元プロ野球投手)

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