巨人、オリックス、千葉ロッテ… 阪神・掛布二軍監督の争奪戦

 阪神首脳にとって今年も悩ましい季節がやってきた。6月13日に大阪で開かれる阪急阪神ホールディングスの株主総会である。質疑応答では経営に関する質問が大半を占めるが、「阪神タイガース」もいつも通り議題に上がり、虎キチ株主からの容赦ない追及がお約束になっている。
 例年、「一言物申す!」と球団にとって耳の痛い苦言を呈するのだが、2シーズン目を迎えた金本阪神は大方の予想を覆して首位に立つ(5月27日現在)。4月に10連勝を飾り、独走態勢に入ろうかという広島を6日の試合で0対9から逆転勝利したのが分岐点となって、セ界の主役に躍り出た。
 そこで、今回の株主総会は何事もなくシャンシャンシャン…事実上のタイガース壮行会になるものと思われたのだが、ここへ来て思わぬ難題が浮上してきた。金本知憲監督(49)とタッグを組む、ミスタータイガース掛布雅之二軍監督(62)の処遇である。

 今季の躍進の原動力になっているのが、若トラたちの台頭だ。掛布氏は若手選手を次々一軍に送り出すとともに、二軍で西岡剛内野手などベテランを腐らせず、リフレッシュに努めさせている。金本監督が就任以来推進する「超変革」の戦力補給の場となっているのだ。
 今季の阪神は、投手陣ではメッセンジャー、秋山拓巳、藤浪晋太郎らの先発陣がけん引。抑えはマテオ、ドリスという、ともに防御率1点台の“勝利の方程式”が機能し、中継ぎの桑原謙太朗を加え、リーグ一のリリーフ陣と言われている。
 一方の打線では、オリックスからFAで糸井嘉男を獲得し、3番打者を固定することができたことが大きい。4番の福留孝介と主軸を構築し、その後ろを捕手からコンバートした一塁手の原口文仁や中谷将大が固め、高山俊と上本博紀の1、2番も機能している。捕手は梅野隆太郎で固定し、ゴメスの抜けた三塁は鳥谷敬を遊撃からコンバート。その後釜には北條史也とドラフト5位ルーキーの糸原健斗を競わせている。
 これら打撃陣の高素材の才能を開花させ、結実させたのが掛布氏だ。ミスタータイガースの金看板は伊達ではなかった。

 その掛布氏との契約は、今季終了時まで。年俸は金本監督の3分の1の4000万円(推定)と言われ、極めてお買い得な物件とばかり、数球団がオフを待たず、水面下で青田刈りを開始したという。
 むろん阪神は掛布氏との契約延長を望んではいるが、現在は金本政権が長期間続くのは確実な状況だ。よほどのアクシデントがない限り、掛布氏が阪神の一軍監督に就くことはない。
 そこで横恋慕のごとく乗り出したのが、阪神と人的交流の盛んなオリックス、さらにロッテ、巨人という。
 「阪神タイガースからは、故中村勝広氏、岡田彰布氏がオリックス監督に転じた過去があります。宮内義彦オーナーは掛布氏の手腕と人気を高く評価しており、1億円の年俸は惜しまない。これまで大型補強をしながら結果を出せず、忸怩たる思いを抱えています。最後の仕掛けとして掛布氏の神通力に期待しているのです」(オリックス担当記者)

 身売り説が流れ、最下位に沈むロッテも秋波を送る。掛布氏は千葉市で育ち、習志野高校出身。長嶋茂雄氏とともに千葉県を代表するプロ野球選手である。
 ロッテの球団買収を画策するオンライン通販サイト『ゾゾタウン(ZOZOTOWN)』を運営するスタートトゥデイ社やリクシル(LIXIL)社はともに、これまでの球団イメージを刷新するに相応しい監督像を描いている。一軍監督未経験ではあるが、スーパースター掛布氏はそれに十分当てはまる。

 一方、巨人も掛布氏とは極めて良好な関係にある。評論家時代は報知新聞、日本テレビの解説者を務め、常に巨人サイドに立って論を振るってきた。中でも江川卓氏とは昵懇で、江川政権誕生の暁にはヘッドコーチ就任が確実視された経緯もある。
 「掛布氏は長嶋氏を敬愛し、長嶋氏もまた機会があるたびに巨人ヘッドコーチや打撃コーチに推奨してきた。また、阿部慎之助の父親は掛布氏の習志野高時代の同級生で、今でも阿部家とは家族同様の付き合いをしている。それゆえ、巨人には阿部人脈ですんなり入っていける。巨人の二軍には高額年俸選手がゴロゴロおり、コーチ陣が手を焼いているのが実情。カリスマ性のある掛布氏の二軍監督は願ったり、叶ったりだ」(巨人OBの野球解説者)

 巨人の次期監督には松井秀喜氏が有力視されているが、いかんせん監督は未経験。それだけに、二軍監督の果たす役割は大きい。松井氏が固辞したり就任を先延ばしした場合、ポスト高橋由伸監督が江川氏や阿部にスイッチの可能性もある。
 巨人においては、外様の一軍監督就任はあり得ない。寝首を掻かれる心配がないため、掛布氏は誰が監督になってもありがたい存在だ。

 掛布氏周辺の動き…。これを阪神サイドはさばけるか。来シーズンはどうなる?

関連記事(外部サイト)