ドロ沼巨人に長嶋茂雄氏が異例の現場関与へ

 ドロ沼の12連敗(6月7日時点)。
 2ケタ連敗は球団史上3度目、11年ぶりとなる屈辱の記録だ。ヨシノブ巨人が勝利から見放され、“カリスマ”長嶋茂雄終身名誉監督(81)以外にすがるものがなくなってしまった。
 「戦力的に見て、ここまで負けるチームではありません。FA補強した選手が活躍していれば、独走状態だったかもしれません。彼らの故障や不振も大きいですが、負けが込んだとき、チームの沈んだムードを一変させるもの、起爆剤がないんです」(ベテラン記者)
 10連敗(6月5日時点)を喫した試合後、高橋由伸監督(42)は「先に点を取られてしまうとひっくり返す勢いがない」と、力なく語った。お寒いチームの現状を言い当てている。

 ちょうど同じ時間帯、巨人は二軍戦で“ある試行”を行っていた。長嶋氏の「凱旋試合」だ。
 「改めて、長嶋氏の存在感の大きさを再認識したのでは…」(スポーツ紙記者)

 当日、巨人二軍は千葉ロッテとのイースタンリーグ公式戦を行った。場所は、『長嶋茂雄記念岩名球場』。長嶋氏の郷里、千葉県佐倉市の岩名球場は、昨年から改修工事を行い、そのお披露目として、巨人二軍戦を実施した。試合前、背番号3のユニホームを着た長嶋氏が右打席に立つ始球式も行われ、チケットは完売。始球式の投手を務めた地元の野球少年が緊張して、外角高めに投球を外すと、長嶋氏は「おかわり」を要望。満員のスタンドは大喜びで拍手を送っていた。長嶋氏の人気は、今も衰えることはない。巨人関係者はそのことを再確認したという。
 「その長嶋氏の見守る前で、陽岱鋼がクリーンヒットを放ち、スピード感溢れる好走も見せました。そんなタイプの選手は長嶋氏好みです」(同)

 スピード感のある選手といえば、昨秋のドライチ・吉川尚輝も異例の一軍抜擢されている。吉川は故障で出遅れ、二軍打率成績は1割台だった。だが、やはり二軍戦を視察した長嶋氏が「いい素材だね」と称賛し、“鶴の一声”で一軍昇格となったわけだ。
 吉川はそのチャンスを生かすことができず、後に二軍降格となったが、「長嶋氏の期待選手」という吉川への注目度はさらに高まった。
 「低迷するチームに必要なのは起爆剤であって、もし、長嶋氏が推薦した選手がラッキーボーイのような活躍をすれば、チームは活気づきます。何よりも、今の時期の低迷は営業的にも痛い。夏休みのかきいれ時前に優勝圏内から脱落してしまえば、興行収益にも影響してくる」(球界関係者)

 そもそも巨人は、高橋監督と長嶋氏を重ねて見る営業を昨年から仕掛けていた。「現役引退と同時に監督就任」という経歴が同じためだが、昭和50年の第一次長嶋政権時の映像に高橋監督を合成するイメージフィルムもオンエアしてきた。
 「高橋監督に対し、前任の原辰徳氏も『アドバイスを求められれば応じる』と話してきました。いい意味で距離感を保ちながら助言していきたいというもので、これは、監督経験者にしか分からない重圧を理解しての発言でした。長嶋氏もOBが現場批判するマイナスがいかに大きいかを知っています。高橋監督が助言を求めるという機会を、球団はエスコートするのではないか?」(前出・スポーツ記者)

 長嶋氏の視察は一軍にも拡大されるという。その球場入りを「高橋監督が出迎えて」という場面が予想される。それだけではない。長嶋氏は今後、東京五輪の野球・ソフトボール競技について、後方支援も続けていく。現時点では、その東京五輪を戦う侍ジャパンの指揮官も決まっていないが、一時期、原辰徳氏が有力候補とも伝えられていた。
 その侍ジャパンや東京五輪を指し、こんな情報も交錯している。
 「侍ジャパンには根本的な改造を迫られています。WBC王者の座を2大会連続で逃し、これで東京五輪もしくじるようなことになれば、野球人気にも影響してきます。熊﨑勝彦コミッショナーは侍ジャパンのゼネラルマネージャー制を提案していました」(同)

 代表チームの選手招集は前任の小久保裕紀氏に一任してきた。一方、今大会の覇者・アメリカは組織代表者が候補選手の代理人、もしくは所属チームと交渉し、「救援投手は肩を作った時点で登板させる」「連投させない」などの条件をまとめ、それなりの選手を招集してみせた。現場監督からすれば、采配に制限が加わるが、仮に侍ジャパンもGM制になれば、日本人メジャーリーガーを招集できる可能性は高まる。
 「侍ジャパンのチーム編成に関する役職が設けられれば、ONや監督経験者の原氏がやはり候補となる。つまり、巨人OBが強い発言権を持つわけです」(同)

 菅野智之、マイコラス、田口麗斗で星を落とし、坂本勇人、阿部慎之助の中軸も不振に陥っている。先輩に助言を仰ぐのは不自然ではないが、「困ったときの長嶋サン」から、巨人は永遠に抜け出せない。

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