熱き侍たちが躍動!! メジャーリーグ Times 泥沼の田中将大に関する9つのQ&A

 今週は極度の不振にあえぐ田中将大にスポットを当てる。いくつかの疑問を提示しながら彼の置かれた状況に理解を深めていきたい。

 Q1:現在の防御率と被弾率(9イニング当たりの被本塁打)は全体の何位か?
 A:6月9日時点の防御率6.55はア・リーグの規定投球回数に達した42人の先発投手中42位(ワースト)。被弾率2.32は同42投手の中で40位だった。ちなみに、昨年は防御率が3.07で38投手中3位。被弾率も0.99で38投手中9位だった。

 Q2:今季、頻繁にホームランを食らうようになった理由とは?
 A:最大の要因は多投する3つの球種(スプリッター、ツーシーム、スライダー)が浮いて甘いコースに行くことが多くなったことだ。特に、スプリッターが落ちずに打ち頃の高さに来ることが多い。そのため、昨年までメジャー最高と評価されたスプリッターは、一挙に平均レベルまで評価が下がってしまった。

 Q3:先発ローテーションを外される可能性は?
 A:防御率次第だ。田中が5点台前半をキープできれば、ヤンキースはローテーションから外さずに使い続けるだろう。'15年にC.C.サバシアが復活した時も、防御率5点台がずっと続いたが、辛抱強く使い続けた。しかし、防御率が5点台後半から6点台に高止まりしているようだとローテを外され、マイナーから引き上げられた有望株にとって代わられることになる。
 最初に呼ばれるのはチャンス・アダムズだろう。今季開幕時は2Aに在籍していたが、4勝0敗、防御率1.03という抜群の数字を出して5月上旬に3Aに昇格。ここでも3勝2敗、防御率2.17というハイレベルな数字を出している。アウトピッチ(傑出した球種)は高速スライダー。強烈なスピンがかかったフォーシームも威力抜群で、高速スライダーを低目に、フォーシームを高目に投げ分ける制球力もあるので、ハイペースで三振を奪える。
 このアダムズ以外にも、ヤンキースのマイナーには逸材がひしめいているので、興味のある方は表をご覧いただきたい。

 Q4:一度ローテーションから外されると、復帰に時間がかかる?
 A:ドジャースのようにハイレベルな投手がローテにひしめいているチームだと、ローテ復帰は容易ではない。しかし、ヤンキースのように故障リスクの高いベテランとスタミナに不安がある若手が同居するローテだと、欠員が生じやすく、比較的短い時間で復帰できる。

 Q5:ローテーションから外れたあと、セットアッパーとして起用される可能性は?
 A:リリーフで使われることはないだろう。DL入りしてしばらく投球フォームの見直しを行ったあと、先発投手として復帰する準備に入ると予想される。

 Q6:極度の不振は、中4日で投げなくてはいけないことと関係するのか?
 A:NO。今季、田中は中5日が基本だ。ヤンキースの先発陣は中4日が基本だが、特別扱いを許された田中は、中5日が基本になるようスケジュールが組まれている。そのため、今季先発した12試合で、中4日で先発したのは3試合だけ。9試合は中5日か、それ以上の登板間隔だった。それなのに防御率が6点台というのは理解に苦しむ。

 Q7:ベテラン捕手のブライアン・マッキャンが昨季終了後、トレードで出た影響はあるのか?
 A:田中はマッキャンと相性がよくなかった。そのため、昨年8月以降は大型新人捕手ゲーリー・サンチェス、および第2捕手のオースティン・ローマインと組んで好結果を出していた。
 今季はこの2人のうち、強気のリードをするサンチェスと組むと長打をたて続けに打たれてKOされるため、ローマインと組むことが多くなっている。
 数字を比較しても、ローマインとバッテリーを組んだ7試合は、防御率が3.19であるのに対し、サンチェスと組んだ6試合は11.59。その差は歴然としている。

 Q8:以前に比べると、速球系の威力が落ちているように見える。これは、ヒジや肩に故障があるのを隠して投げているからではないか?
 A:たしかに、田中の速球は威力がイマイチで被打率も高い。しかし、スピードは昨年に比べると平均2キロくらいアップしている。もしヒジや肩に故障があれば、球速が増すことはなかったはずだ。

 Q9:先発陣のリーダー役になることを期待されている理由は?
 A:大ベテランのサバシアは今季限りで契約が切れるため、シーズン終了後チームを去る。来季はその役回りを田中が担うことになる。サバシアは面倒見がよく、人望があったので、ちょっとやりづらいかもしれないが、田中はユーモアのセンスは抜群なので、周囲からはいつも笑いが絶えない。親しみやすい兄貴分になるだろう。

スポーツジャーナリスト・友成那智(ともなり・なち)
今はなきPLAYBOY日本版のスポーツ担当として、日本で活躍する元大リーガーらと交流。アメリカ野球に造詣が深く、現在は大リーグ関連の記事を各媒体に寄稿。日本人大リーガーにも愛読者が多い「メジャーリーグ選手名鑑2017」(廣済堂出版)が発売中。

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