カープ坊主の会・登世岡浩雄住職 「カープ愛があれば宗派を超えて理解し合えます」

カープ坊主の会・登世岡浩雄住職 「カープ愛があれば宗派を超えて理解し合えます」

カープ坊主の会・登世岡浩雄住職には、夏の終わりにクマゼミが「誠也誠也セイヤセイヤ」と鳴いているのが確かに聞こえたのだという

あの胴上げから、気がつけばもう四半世紀。ついに広島カープは球団記録のシーズン75勝を軽々と超え、近年まれに見る独走で25年ぶりのリーグ優勝を果たした。

そこで今回、日本一アツいといわれる広島ファンを代表して、「カープ坊主の会」から浄土真宗本願寺派安楽寺・登世岡浩雄(とよおか・ひろお)住職に「オレのカープ愛」を語ってもらった!

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広島の町はカープ一色と化しています。私なども法事に出向いて説法をするのですが、檀家の方もカープファンばかりですから、「カープの話をしてほしい」という要望も多くなってきています。

例えば、新井貴浩という今年大復活を遂げた選手。今でこそ英雄のように扱われていますが、数年前まで阪神にいて、ホームランを打てばやじの標的にされた選手です。同じ人間でも状況や環境が変わり、欲が絡むと見方も180度変わってしまう…などと、話をさせていただいています。

カープ坊主の会も140名になりました。宣伝などは一切しておりませんが、カープ好きの僧侶が噂を聞きつけ、口コミで続々と入会してきています。

今年5月26日、マツダスタジアムでの巨人戦で合同現地観戦会も行ないました。参加者はカープ坊主とその家族で130名。球場前にカープのユニフォームや赤い袈裟(けさ)をまとった坊主が一堂に会する光景は異様だったのか、一般のファンの方たちも物珍しそうに写真を撮られていました。

この観戦会には我々の宗派だけでなく、他宗派からも20名ほどお越しになりました。驚いたのが、ある宗派のご門主(もんしゅ)さまも参加していただいたことです。我々の業界では握手はおろか、ご尊顔を拝見するにも目を合わせられないような高貴なお方なのですが、試合になると皆と肩を組み、懸命に応援されておりました。これはすごいことです。「カープを愛する」という共通の思いは、宗派を超えて理解し合えるという理念が実証された感動的な出来事でした。






前回の優勝から25年。本当に長い時間でした。その間に私たちには拭(ぬぐ)い難い負け犬根性が染みついてしまいました。

いくら勝っても、ここから逆転されるのでは…などと考えてしまっていたのですが、「今年は何か違う」と手応えを感じたのは、6月の交流戦です。鈴木誠也が3試合連続で決勝ホームランを放ち、「神ってる」…いや、私たちの業界的には「仏(ぶつ)ってる」とでもいう、極端な勝負強さを見せつけられたときです。誠也にはわれわれにとって神聖な数字、ミスター赤ヘル・山本浩二さんの「8」をあげてもいいと初めて思ったほどです。

思い起こすは昭和50年、初優勝の夏。中学生だった私はカープのことばかり考えていたからか、ツクツクボーシの鳴き声が「山本コージ、山本コージ、外木場(そとこば)イイヨー、外木場イイヨー」というふうに聞こえてきたものです。

今年はさすがに聞こえないだろう。そう思っていたのです。しかし、夏の終わり。クマゼミが「誠也誠也セイヤセイヤ」と鳴いているのが、確かに聞こえたのです。

そんな体験も含め、奇跡的なことが続いた一年。カープ坊主の会でも何もしないのはおかしいじゃろということで、「仏ってる念珠(ねんじゅ)を作り、皆さまに無償でお配りすることにしました。25年という長い時間を噛み締めましょう。

●登世岡浩雄(とよおか・ひろお)






浄土真宗本願寺派安楽寺住職。2013年秋、「親鸞聖人750回大遠忌(だいおんき)法要」のノベルティグッズとして誕生したキャラクター「カープ坊主」を契機に、昨年発足した「カープ坊主の会」の主要人物。会員数は140名で、宗派不問。キリスト教やイスラム教にも門戸は開かれているという

■『週刊プレイボーイ』39&40合併号『25年分の広島カープ愛を語れ!』ではこの他にも、極楽とんぼ・山本圭壱、スポーツジャーナリスト・二宮清純などアツすぎる独白を掲載!

(取材・文/村瀬秀信)

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