カープの「赤傘」に激怒するスワローズファン! なぜ今年も繰り返されるのか…

広島東洋カープがファンに「赤い傘」配布 東京ヤクルトスワローズのファンが激怒も

記事まとめ

  • 傘による応援といえばヤクルトの専売特許だが、広島が期間限定で赤い傘を配布している
  • "赤いシリーズ"は広島ファンサービスイベントとして、野球ファンの間に定着しつつある
  • 傘配布を巡りヤクルトファンと広島ファンがSNSで泥試合を展開したという

カープの「赤傘」に激怒するスワローズファン! なぜ今年も繰り返されるのか…

カープの「赤傘」に激怒するスワローズファン! なぜ今年も繰り返されるのか…

スタジアムに咲いた「赤い傘」の花畑

色とりどりの応援グッズはプロ野球観戦の「華」――。

中でも「傘」による応援といえば、東京ヤクルトスワローズの専売特許だが、近年、広島カープが期間限定でファンに配布している「赤い傘」が両チームのファンの間で物議を醸(かも)しているのだとか!?

そこで、最新刊『いつも、気づけば神宮に 東京ヤクルトスワローズ「9つの系譜」』を上梓し、大のヤクルトファンとして知られるノンフィクションライターの長谷川晶一(しょういち)氏がレポートする。

* * *

「赤いシリーズ」――かつては、山口百恵と宇津井健による大映ドラマの代名詞だったが、今では、昨年25年ぶりにセ・リーグを制覇した広島東洋カープのファンサービスイベントとして、少しずつ野球ファンの間に定着しつつある。しかし、これが一部ファンの間で何かと物議を醸しているという。

始まりは3年前の2015年。「赤いシリーズ2015・赤耳、赤傘、赤タオル」と題して、マツダスタジアムでの主催5試合で行なわれたイベントが発端だった。この時、広島は相手球団が応援で使用するグッズをモチーフとした「赤いグッズ」を来場者全員にプレゼントした。

そこでまず問題となったのが「赤傘」だった。プロ野球応援における「傘」とは、神宮球場ライトスタンドでおなじみ、東京ヤクルトスワローズ名物「傘応援」の必需品。だが、この「赤いシリーズ」において、広島球団が真っ赤な傘を当日の来場者全員に配布すると、これにヤクルトファンは猛反発。それに対して、広島ファンから「いちいち目くじら立てるな、心が狭い」と反論。主にSNS上を舞台として、泥試合が展開された。

以来、今年に至るまで広島は定期的に「赤いシリーズ」を敢行している。以下、対戦カードと来場特典配布プレゼントの一覧をご紹介しよう。

【2015年】







(1)4月7〜9日・巨人戦/赤タオル







(2)5月22日・ヤクルト戦/赤傘







(3)6月26日・中日戦/赤耳

【2016年】







(1)6月15日・西武戦/赤たてがみ







(2)6月30日・ヤクルト戦/赤傘







(3)8月31日・DeNA戦/赤金星勝ちューシャ

【2017年】







(1)5月23日・ヤクルト戦/赤傘







(2)6月15日・オリックス戦/ばんざい坊やキーホルダー







(3)詳細不明

特筆すべきは、ヤクルトの「赤傘」だけが3年連続で配布されている点だ。当初は「相手球団の応援グッズをプレゼント」と謳(うた)いながら、中日「赤耳」、西武「赤たてがみ」、DeNA「赤金星勝ちューシャ」は球団特有のものではないし、オリックス「ばんざい坊やキーホルダー」に至っては、そもそも「応援グッズ」ですらない。

当初のコンセプトはすでにブレているにも関わらず、ヤクルト「赤傘」だけは不変のポリシー?として、3年連続で受け継がれ、半ば定番化しつつあるのだ。

「12球団ファンクラブ評論家」という肩書も持ち、このたび単行本『いつも、気づけば神宮に 東京ヤクルトスワローズ「9つの系譜」』を上梓したばかりの大のヤクルトファンとして、この「現場」をどうしても体感してみたかった。

過去2年は球場に行くことができず、もどかしい思いをしていたが、3年目の開催となる5月23日、僕は真っ赤に染まった広島に飛んだ――。

■マツダスタジアムに広がる赤傘の花畑

この日に備えて、僕はヤフオクで2枚のチケットを入手した。1枚は広島側のライト外野指定席、もう1枚はヤクルト側のビジターパフォーマンス席(通称・ビジパフォ)。ファン同士の無用なトラブルを避けるために、ビジパフォではカープユニフォームの着用も、カープグッズ類の持ち込みも禁止されている。

しかし、驚いたことにビジパフォ席のチケットを持っている者にも「赤傘」は配布されていた。つまり、この日、僕は2本の「赤傘」をゲットしたのだ。

その結果、どういうことが起こるか? 当日券も含めてチケット完売にも関わらず、ビジパフォ席は空席だらけ…。つまり、広島ファンがこの席のチケットを購入し、赤傘をゲットした上で、一塁側、あるいはライト側通路で立ち見をしているのだ。

赤傘が何本も欲しいからチケットを複数枚購入したのかもしれないし、立ち見でもいいから球場に入場するために購入したのかもしれない。ある広島ファンのツイートでは「傘欲しさにビジターパフォーマンスを買う」とカミングアウトしたものもあり、ヤクルトファンをさらにざわつかせていた。

それどころか、ビジパフォ席にも関わらず、一部ファンが「赤傘」を広げて応援する場面も。ここで広島球団が採るべきだった方策は、ビジパフォチケット所有者には「傘を配らない」、あるいは「ヤクルト仕様のオリジナル傘を配布する」ことではなかったか――。

さて、球場中に赤い傘を持ったファンがあふれる中、同時にネット上でもこの「赤傘」があふれ返っていた。試合開始前からヤフオクやメルカリでは「赤傘」の出品ラッシュで、1本3千円程度ですでに何本も売れていた。

ツイッター上ではこれまでと同様に「赤傘は許せん」「ヤクルトファンへの挑発だ」「岡田さんへの冒涜行為」(これについては後述)と一部ヤクルトファンが猛反発。その一方で、一部の広島ファンはシンプルに「赤傘、楽し〜!」「球場が真っ赤に染まってとてもきれい」と好意的な反応とともに「赤傘を毛嫌いするヤクルトファンって何なんだろう?」と素朴な疑問もツイートされていた。

そして5回裏終了後、バックスクリーンの大型ビジョンでは、SMAPの『ありがとう』が流れ、カープのマスコット・スラィリーの指導に合わせて、球場中に赤傘の花が開くことになった。

この光景を、僕はライトスタンド・赤傘花畑のど真ん中で見ていた。壮観だった。超満員のライトスタンド。全員が同じ傘を持ち、スラィリーの指示に従って右に左に赤傘を振り回す。カープファンの幸せそうな顔、楽しそうな顔。球団主導のファンサービスとしての成果は十二分に挙げているのは間違いなかった。

◆後編⇒スワローズファンを傷つけるカープの「赤傘」問題。名物応援団長・岡田さんの忘れ形見とは?

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