“清宮のいない”甲子園に記者たちがため息…大阪桐蔭の連覇か、阻止するのは横浜or秀岳館?

“清宮のいない”甲子園に記者たちがため息…大阪桐蔭の連覇か、阻止するのは横浜or秀岳館?

今年も代表が出揃った甲子園。現場記者たちはどう見るか!?

7月16日の沖縄・興南高校を皮切りに今年も49代表が出揃った夏の甲子園――。最後の最後に「早実敗退」というもっとも危惧されていた事態に直面し、スポーツ紙や高校野球専門誌は頭を抱え込んでいるという。

主役・清宮幸太郎不在となったこの大会で一体、誰が主役に躍り出るのか? そして優勝予想の本命は? 現場で取材する記者たちが本音で大会を展望する。

=スポーツ紙アマチュア担当記者、=高校野球ライター、=高校野球専門誌編集者

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 痛いね。痛すぎる。どのメディアもこれだけゴリゴリの“清宮推し”でやってきたのに。まさか予選で負けるとは…。

 いや、負けたのは清宮じゃなくて早実なんですが(笑)。西東京大会決勝戦の前、東海大菅生の選手たちは「僕らは空気を読みません」と話していたけど、本当に読まなかった(苦笑)。いろんな大人の思惑を吹き飛ばしちゃいましたね。

ただ、早実の自滅の感もある。「何か操作したの?」と勘繰りたくなるほど組み合わせに恵まれて、最強の敵と言われた日大三高も早々にコケた。準々決勝くらいからもう「(甲子園に)いけるだろう」というムードがあったし、決勝戦でも「そのうちひっくり返すよ」と思っているうちに逃げ切られちゃった感じでした。

 いずれにしても“清宮のいない”甲子園で我々も新たなテーマを見つけなきゃいけない。このままじゃ、大会の試合レポートよりも清宮の進路の話題が大きく扱われかねないからね。

 清宮のように一般の人を巻き込むようなインパクトはないけど、大阪桐蔭の春夏連覇というのが高校野球ファンにとっては最大の関心事になってきましたが…。

 2度目の春夏連覇も史上初の快挙だが、今年の大阪桐蔭は明らかに来年の第100回大会の制覇を意識して作られたチーム。春の選抜でも活躍した根尾昴(ねお・あきら)、藤原恭大(きょうた)ら2年生はこの世代のスター選手をかき集めた、まさに銀河系軍団だ。ということは、この夏を獲ったら「甲子園4連覇」というとんでもない偉業まで見えてくる。

 予選を観た限り、やはり大阪桐蔭は強い。盤石です。多少リードされても簡単にひっくり返す。真っ向勝負を挑んで勝てるチームは全国に5校あるかどうか。その5校の中のひとつだった履正社も大阪の準決勝で力でねじ伏せてしまいましたから。

 圧倒的な打撃力で神奈川を制した東の横綱・横浜も個々の選手の能力では引けを取りませんよ。ドラフト候補の主砲・増田珠(しゅう)が注目されているが、やはり実は2年生以下に逸材が揃ったチーム。チーム構成が大阪桐蔭と似ているんです。

 現時点では、その2年生の完成度の高さで大阪桐蔭がやや上回っているかな。ただ、横浜も爆発力は凄い。今は名将・渡辺元智監督に代わって昨年から指揮を執る平田徹監督の方針なのか、イケイケの豪快な野球に転換したが、それで夏の神奈川大会最多タイとなるチーム14本塁打という快記録に繋がった。

とはいえ、やっぱり対戦相手がイヤなのは、かつての小倉清一郎部長が推進していた緻密な野球のはず。稀代の名将の後を継いで自分のカラーを出したいのはわかるけど…。いずれにしても、この両雄の対決は現在の高校野球における最強カード。ぜひ甲子園で実現してほしいね。

 秀岳館(熊本)も投打に力のある選手を揃え、戦力的には全国トップクラスですね。甲子園3季連続ベスト4(昨春夏、今春)というのは勢いだけでできる記録じゃない。大阪桐蔭、横浜、秀岳館で3強ということになるんでしょうが、その対抗馬の2校が1回戦でぶつかるとは…(苦笑)。

 横一線の3強じゃなくて、大阪桐蔭が頭ひとつ抜け出してるでしょう。そこで横浜と秀岳館がつぶし合ってくれるとはついてますよね(笑)。そのどちらが勝ち残るかというと、秀岳館は鍛冶舎巧監督の体調も不安材料かな。予選の終盤に緊急入院し、決勝戦の指揮が執れなかったほどですから。

 体調面にも影響してるかしれないが、結構、いろんな矢面に立っている人だからな。元NHK解説者からの転身というキャリアに嫉妬心を抱く人もいるようだし、就任の際には自身が監督を務めていた大阪のボーイズから選手をごっそり引っ張っていった。当然、地元出身選手はほとんどいないから、勝っても熊本の人はそれほど応援してくれない。

 甲子園って、一度ヒールのイメージを植え付けられると勝ちにくくなるところですからね。松井秀喜の敬遠以来、明徳義塾(高知)の馬淵史朗監督も痛感してるでしょう。選抜でも早実相手にほぼ勝利を手中に収めながら、信じられないような逆転負け。こういう試合を何度繰り返したことか。「早実には神様がついてる」は名言だったけど、むしろ馬淵監督の運のなさに同情してしまいましたよ。この夏も戦力的にはバランスが取れた好チームですが、優勝となると、うーん…また壁に当たりそうな気がします。

 大阪桐蔭が負けるとしたら、好投手と当たって打線をある程度封じ込まれた時じゃないかな。まぁそんな投手は何人もいないけどね。そういう意味ではプロ注目の左腕・平元銀次郎を擁する広陵(広島)は面白い存在。それに名門校、伝統校というのは早実じゃないけど「目に見えない力」みたいなものがあるから。

 そうなると中京大中京(愛知)も目が離せませんね。今年のチームはスタート時には史上最弱と言われるような状況だったようですが、最後にしっかり仕上げて勝ち上がってきました。でも、最強チームみたいに評価されるよりも、周りから「弱い」って言われるようなところが優勝するケースって案外多いんですよ。選手が慢心せず、ひたむきに頑張るからでしょうね。

C これも伝統校ですが、智辯和歌山はちょっと厳しいかな。ただ、甲子園最多勝利の高嶋仁監督も71歳になり、今年は元阪神の中谷仁をコーチに招聘するなどチームが変わる端境期ですから戦いぶりは気になりますね。

 大阪桐蔭と当たったら勝てるか?と聞かれると「はい」とは答えにくいけど、その3強が早くに消えるような展開になったら、優勝経験のある作新学院(栃木)や前橋育英(群馬)、また近年、甲子園の常連になりつつある花咲徳栄(埼玉)や木更津総合(千葉)といった関東勢がスルスルと勝ち上がっていく可能性がある。どのチームにも柱になる好投手がいるからね。それこそ昨年の作新学院のエース、今井達也(現・西武)のように甲子園で覚醒するかもしれないし。

 東京の東西2代表(二松学舎大付、東海大菅生)は戦力はそこそこあるけど、優勝戦線に絡むまでは難しいと予想しています。早実や日大三高、関東一高といった甲子園慣れしたチームが行っていれば、また違ったんでしょうけど。乗ったら怖いダークホース的な存在というところですね。

 ここ数年、上位に勝ち進み、時には優勝戦線にも絡んでくることのある東北勢ですが、今年は仙台育英(宮城)がハマれば面白いかもと期待を抱かせるくらいで、他は各代表とも例年に比べるとやや小粒感があります。それでも昨年の北海(北海道)のようなこと(ノーマークから準優勝)もあるから決して侮るわけにはいきませんけど。その北海も今年また出てますが…。

 余談になるけど、聖光学院(福島)の11年連続出場っていうのは凄まじい記録だね。まさに福島では“絶対王者”だ。

C ハマれば面白いといえば、僕の推しは神戸国際大付でしょうね。激戦区の兵庫からチーム初の春夏連続出場。選抜は初戦敗退を喫しましたが、投打にドラフト候補に挙がる力のある選手を揃えたタレント軍団で、どことやっても力負けはしないはず。逆に、試合巧者と呼ばれるようなチームと当たった時にコロッとやられてしまう脆(もろ)さもあるけど。

 常連の天理(奈良)も選手のポテンシャルは高い。86年夏優勝時の4番打者で元近鉄の中村良二監督の甲子園初采配にも注目したいですね。コーチ時代から熱心な指導をすると評判がよかったんです。

 話題といえば、早稲田佐賀が創部7年目で春夏通じて初の甲子園出場。早実とのアベック出場はならなかったけど、フレッシュな新風を吹かせてもらいたいですね。

◆後編⇒清宮不在の甲子園で主役は? 100回記念大会を目指す“スーパー2年生”たちがスゴい!

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