パのV争いの鍵は“2人の主軸ロス”の代役

日本ハムとソフトバングによるパ・リーグの優勝を巡っての最後のマッチレースが激しいが、現在、日ハムの勢いがソフトバンクのそれを上回っている。大谷翔平を13日のオリックス戦で本格的に先発復帰させた日ハムは1ゲーム差で首位を守り、早ければ17日にもマジック「9」が点灯することになっている。ここにきて両チームの明暗を分けているのが、2人の主軸のロスをカバーしている代役の活躍度合いだ。

 ソフトバンクは、9月1日の西武戦で柳田悠岐が守備の際に右手の指を骨折、一方の日ハムもストッパーのマーティンが9月4日の登板後にベンチ内階段で左足首を捻挫して6日に登録を抹消された。

 互いに投打の主軸を失い、最後の勝負所を迎えることになってしまったが、早くも“飛車角”の代役を誰が、どう埋めるのかの差が出てきた。日ハムは2012年にMVPを獲得した先発左腕の吉川光夫を代役ストッパーに配置転換。7日のロッテ戦では、1点リードの9回からストッパーとして初登板したが、コントロールに苦しみ角中に同点タイムリーを浴びて失敗した。だが、栗山監督の吉川ストッパー構想はぶれず、10日のロッテ戦、12日のオリックス戦では連続セーブをマークしている。

 一方、ソフトバンクは、柳田の代役の「3番・センター」のポジションに、翌日2日の楽天戦から江川智晃を抜擢した。しかし、プレッシャーからか、直近の5試合では、打率.150、1打点とバットが湿り、ここ2試合は打線をいじり、3番には中村晃を起用した。11日の西武戦では、打線が7試合ぶりに4点以上を奪って爆発したが“柳田ロス”の影響は深刻だ。

 まだ2人の主軸ロスのカバーに対しての結論を出すのは早いが、ソフトバンクの再逆転、日ハムの逃げ切りの可能性を左右する大きなポイントであることは間違いない。

 パ・リーグの野球に詳しい評論家の池田興親さんは、こんな見方をしている。

「ソフトバンクが厳しい状況に追い込まれているのは間違いない。日ハムは、開幕当初から増井に任せていたストッパーをシーズン中にマーティンにスイッチ、そこがはまったという経緯があって、元々、代役のいたポジションだが、ソフトバンクの柳田の存在は、唯一無二。特に.446もあった彼の出塁率が大きな意味を持っていた。相手の投手に、それだけの球数を投げさせ、神経を使わせることで、目に見えないボディブローを効かせていた。柳田の調子が上がってきていただけに、なおさら影響が大きい。失った戦力の影響力でいえば、ソフトバンクの方が大きかったのだろう。ただ、吉川は全盛期のようなスピードはなく、初体験となる抑えのポジションについてルーティンから、まだ手探りで日ハムの穴と言えば穴だ。今後、短期間で適応していく可能性もあるが、まだ今は磐石とはいえない。
 ただ、一方のソフトバンクは、柳田の穴を江川ら全員で埋めるしかないが、中村晃、長谷川、内川らも怪我を抱えていて万全ではなく、打線をなかなか勢いに乗せることができない。そして、それ以上に深刻なのが、中継ぎに疲労が出て、崩壊現象が生まれてしまっていること。岩嵜を中継ぎに配置転換したが、彼をどのタイミングでどう使うかの起用法がキーポイントになると思う。私は、8回、もしくは場合によっては、7回からの回跨ぎで岩嵜を使えるようになれば勝利パターンを安定させることができると考えるのだが」

 ソフトバンクは、中継ぎの強化に9月4日の楽天戦から先発の岩嵜翔を中継ぎ起用、すでにフル回転させているが、池田氏は、“柳田ロス”のカバーは、打線ではなく、岩嵜の起用を軸とした中継ぎの再整備にあると見ている。

「いずれにしろ21、22日の直接対決で勝負は決するだろう。ソフトバンクは、逆転するには、そこまでに日ハムとのゲーム差を最低1.5ゲームにキープしておかねばならない。日ハムは、逆に連敗してもひっくり返らないゲーム差にしておきたいのが本音だろう。1試合に大谷が先発してくるようだが、打線の状態のいい日ハムは“1番・大谷”の奇策を使う必要もないだろう。まだ休み明けの肩を制御できていないようにも見えたが、彼が簡単に崩れるシーンは想像しにくい。ソフトバンクが4試合、日ハムが5試合、直接決戦前までの試合で、どういうチーム状態を作っていくのかが重要だろ思う」と池田氏。

 21、22日にヤフオクドームで行われる最後の直接首位決戦で、ソフトバンクは、千賀滉大、武田翔太、日ハムは、大谷、有原航平を先発に立てる予定でいる。