ソフトバンクの松坂大輔が1イニング5失点で大炎上 松坂は再起に意欲示すが引退危機も

記事まとめ

  • ソフトバンクの松坂大輔が、楽天戦8回に中継ぎとして移籍後初の復帰マウンドを踏んだ
  • 松坂は散々の内容で1イニングに5失点、試合後に工藤監督から2軍行きを通告された
  • 「往年の松坂の姿を見ることはもう不可能で引退の決断を迫られることになる」との声も

大炎上の復活登板となった松坂大輔に突きつけられた引退危機

 ソフトバンクの松坂大輔(36)が2日、コボスタ宮城で行われた楽天戦の8回に中継ぎとして移籍後初の復帰マウンドを踏んだ。日本での1軍での公式戦登板は、西武時代の2006年10月7日、ソフトバンクとのプレーオフで登板して以来、3648日ぶり。

 だが、ストライクが入らず、4者連続の四死球、3者連続のタイムリーなどで、打者一巡を許す散々の内容で1イニングに5失点。試合後、工藤監督から2軍行きを通告され、期待されていたクライマックスシリーズでの登板は消滅した。契約年数は来年1年残っていて、松坂自身も来季の再起に強い意欲を示すが、復調への手がかりは何ひとつ見えず、引退危機という厳しい現実を突きつけられた。
   

 敵地のコボスタ宮城が異様な空気に包まれた。

 0−2で迎えた8回、松坂の名がアナウンスされると同時に大歓声が起きたが、その記念すべき復帰登板が、え?え?え?の連続でアウトが取れないのだ。キャッチャーも、ベテランの細川に交代して、先頭打者として嶋を迎えたが、ボールが3つ。4球目に144キロのストレートでストライクをとるが、次にインサイドに動かしたボールが外れて四球で歩かせた。

 バントの構えをした島内には、ボールがひっかかって避けようとした足にデッドボール。無死一、二塁で、梨田監督は、予告どおり藤田に代えて、西武時代のチームメイトでメジャーでもレッドソックス対ロッキーズのワールドシリーズで対戦した松井稼頭央(40)を代打に送ったが、またボールがひっかかって足元にぶつけた。無死満塁となって、ペゲーロに対しても、力んでストライクが入らない。カウント3−0から、ひとつストライクをとったが、結局、押し出しの四球。

 続くウィラーへの初球も、ショートバウンドとなり、細川が後逸して(記録パスボール)さらに1点。ウイラーは、ショートゴロに打ち取ったが、その間に松井が生還して3点目。ここから、新人王候補の茂木、アマダー、銀次に3連続タイムリーヒット。制球が安定しないのでストライクを取りにいくストレートに照準を絞られ、簡単にミートされてしまう。それでもベンチの工藤監督は腕組みをしたまま動かない。

 佐藤投手コーチは「何をアドバイスしていいのか……マウンドにいけなかった」と振り返った。

 続く岡島は、ボール球に手を出させてのハーフスイング、打者一巡で回ってきた嶋もストレートでスイングアウトの三振に取って、ようやく長い長い復活の1イニングを終わらせたが、スコアは0−7で、ゲームを台無しにしてしまった。とても1軍レベルの投手のピッチング内容ではなかった。

 試合後、工藤監督は、松坂を監督室に呼び、2軍行きを通告した。

 そして「俺もボコボコに打たれて2軍落ちしたことがあるから気持ちはわかる。へこんだり、くじけたりしないで前向きにやってくれ」と激励した。

 メジャーから凱旋した初年度の昨年夏に右肩を手術。その後、地道なリハビリを続けて、5月にようやくファームで復帰登板を迎えたが、指のしびれ、腰痛などの異常が発生して、また3か月間ほどマウンドに立てなかった。だが、再び実戦復帰すると、ギリギリで仕上げて、今回の1軍登板の機会を得ていた。

 工藤監督も「久しぶりで、ファームとは違うからね。手術を乗り越え、1軍で投げるという目標があったから、それをかなえさせてあげたかったが、プロは結果がすべて。ファームには行ってもらうが、くじけないで前向きにやってくれと、話をした」という。
   

 松坂は、しっかりと記者団の質問に答えた。

「緊張はありました。望んだ結果ではなかったけれど、よくても悪くても投げられたということがよかった。ただ、この結果と内容を受け止めて、これからどうするかを考えなければならない」

 監督の言葉をどう受け止めたか?と聞かれ、「監督の話を受け止めて、しっかりと前を向かねばならないと思い直しました。いきなりは無理ですが、自分でこの結果を受けとめ、消化するには、時間がかかりますが、来年に向けて、いちから筑後(ファームの本拠地)で頑張りたいと思います」と再起への決意を口にした。

 残り1年契約が残っているため“やめろ”とは言われない立場だが目の前に立ちはだかる厳しい現実がある。

 この日、現地で取材した評論家の池田親興さんは、「緊張と焦りの心理状態も作用したと思う。本来、上半身が横回りするフォームだが、下半身とのバランスが崩れ、リリースポイントがあれだけバラバラだと、コントロールを安定させることは難しい。元々、立ち上がりが悪いピッチャーではあるが、見ていて悲しくなってしまった。ストレートを動かすのか、綺麗なフォーシームにしたいのか。それとも、変化球と制球で勝負したいのか。まだ契約が1年残っている彼が、今後どうしたいのか、どういう方向に向かっていきたいのかが、まったく見えなかった。私はファームの登板から見ているが、まだ体が万全でないのならば、来季の復活も不透明だろう」という厳しい評価を口にした。。

 往年の松坂の姿を見ることは、おそらくもう不可能で「新しい松坂のスタイルをどう確立できるか」(前述の池田さん)が復活の鍵になるのだろう。しかし、何もしないまま2年が過ぎた。もう多くの時間は残されていない。今秋、来春のキャンプ、オープン戦の過程で、1軍枠に残るだけの結果と内容を見せなければならない。もしその過程で、再度どこかを痛め、また一からやり直しとなると、チームの戦力となる時間は限られる。そうなると、3年で12億円とも15億円とも言われる巨額な契約の終わりに、松坂は引退という決断を迫られることになる。来年、待ち受けている引退の危機を松坂はどう乗り越えるのか。

 散々な内容しか残せずに、マウンドを降りるとき、場内からは、激励の大きな拍手が起きた。

「敵味方関係なく送ってくれた声援はありがたかったです」
 
 プロ野球のファンは松坂大輔の復活を待ち望んでいる。