田中正義に最大7球団? ドラフトは競合か、単独か、どっちがお得?

プロ野球のドラフト会議で、創価大学の田中正義に最大7球団が競合か

記事まとめ

  • プロ野球ドラフト会議を前に各球団が会場ホテルで一斉にスカウト会議をし戦略を練った
  • 創価大の田中正義にはロッテ、巨人、広島が1位指名を公表している
  • 日ハムはほぼ確実で、楽天、ソフトB、横浜DeNAにも可能性があり最大7球団と予想される

田中正義に最大7球団? ドラフトは競合か、単独か、どっちがお得?

田中正義に最大7球団? ドラフトは競合か、単独か、どっちがお得?

最大7球団が競合? 創価大の田中正義がドラフトの焦点だ。(写真・徳吉刑事)

 プロ野球のドラフト会議が明日20日、午後5時より都内のホテルで行われるが、前日の19日は各球団が会場のホテルに入り、一斉にスカウト会議を行い、戦略を練った。1位指名候補にリストアップされているのは、「大学ビッグ3」と呼ばれている創価大の田中正義、桜美林大の佐々木千隼、明治大の柳裕也と、「高校ビッグ4」の履正社、寺島成輝投手、作新学院の今井達也投手、花咲徳栄の大型左腕、高橋昴也、横浜の藤平尚真、社会人からは、瀬戸内高時代にダルビッシュがスライダーを絶賛した東京ガスの山岡泰輔の計8人。さらに注目されているのは、この8人のうち、誰が何球団の競合になるのか、という点だ。

 田中が、昨年のプロアマ交流戦でプロから7連続三振を奪った際には、過去最多の8球団競合のドラフト記録を塗り替えるのではないか? と予想されていたが、春に肩を痛めたことで雲行きは変わった。高校時代にも痛めた故障歴があり、ルーズショルダー疑惑も生まれて評価が別れたが、今秋のリーグ戦では125球の完投で最速154キロをマーク、不安を一蹴したことで、17日にロッテが1位指名を公表、続けて前日に巨人、広島も、田中の1位指名を公表した。

 田中に関しては、なお直前まで各球団がそろって、その動きに目を凝らしているのが日ハムの動向。過去に小谷野栄一(現オリックス)、八木智哉(現中日)ら創価大出身者を数多く指名してきてつながりが深い。春に田中が肩を痛めて以降も、スカウトが練習場に定期的に足を運び、リハビリ課程のブルペンまで視察している。だが、秋季リーグに入って田中が実戦復帰すると、ピタっと現場に日ハムのスカウトが顔を出さなくなった。「あきらめた」、「もう完治の情報をつかんでいるので陽動作戦であえて来ていない」などの憶測が飛んでいたが、「日ハムの動きを見ていれば、田中の肩の本当の状態はわかる」というのが、各球団スカウトの一致した見解だ。

 田中指名がほぼ確実なのがその日ハムと、すでに1位指名を公表したロッテ、巨人、広島の4球団。加えて、楽天、ソフトバンク、横浜DeNAの3球団にも可能性がある。最大7球団。その一方で、53回連続無失点の安定感を見せる最速153キロの佐々木や、落差のあるカーブが武器の本格派、柳、高校生ながらどの球団も補強ポイントの命題としている大型左腕の寺島、甲子園V投手の今井らの特Aクラスが出てきたことで、“田中一人かぶり”の競合を避けて、バラける可能性も捨てきれない。

 各球団は、ギリギリまで情報戦を繰り広げるが、横浜DeNA、ソフトバンクの動きは微妙で、いざふたを開ければ田中の入札は4、5球団に減って、佐々木、寺島に2、3球団の少数競合が増えるのかもしれない。

 では、競合覚悟の入札か、単独指名を狙ったの1本釣りか? どちらが戦略として有効なのだろうか。
   

 ここ数年の例を見ても、4球団が競合した2006年の楽天、田中将大(現ヤンキース)や、同じく4球団が入札した2007年の日ハム、中田翔、2014年の有原航平、2012年に4球団競合の阪神、藤浪晋太郎など、競合覚悟で1位指名して引き当てた場合、大きなプラス戦力として、その後チームの中核をなす存在となっている。 斎藤佑樹を外した年のヤクルトの山田哲人、大瀬良大地を外した阪神の岩貞祐太のケースのように、“外れ1位”でも成功するドラフトもあるが、中田翔を外した阪神の高濱卓也(ロッテへFAの人的補償で移籍)、オリックスの丹羽将弥(1軍出場がないまま引退)のようなリスクも伴う。

 “外れ1位”に周到な用意がない場合は、競合を避けて、あえて単独指名を狙う戦略もありだろう。

 30年以上スカウトの修羅場を踏んできた元ヤクルトの名スカウト、片岡宏雄氏に聞くと、「競合か、単独かは、チーム順位、置かれた状況にもよるだろう。優勝したチーム、あるいは投手に困っていないという余裕のあるチームは、競合覚悟で勝負ができる。地元のつながりなど、指名しなければならないという状況もある。逆に競合で敗れたら困るんだというほどピッチャー事情が切迫しているチームは、単独指名で確実に補強に乗り出す必要もある。今年のヤクルトやオリックスなどはその戦略で、即戦力を抑えておきたいのではないだろうか。
 ただ、競合した選手が100パーセント成功するかと言えばそうでもなく、競合が得か、単独が得かに答えはない。今年みたいなドラフトでは、スカウトの好み、見る目が問われることになると思う。
 余裕のあるチームは、競合を避けて、高校生の1本釣りを狙うこともできる。今ドラフトでの私のイチオシは作新学院の今井だが、今井の1本釣りなんて、実は狙いどころかもしれない」と言う。

 ちなみに過去のドラフトで最多競合は、1989年の野茂英雄と、1990年の小池秀朗の8球団。野茂には近鉄、オリックス、日ハム、ダイエー(現ソフトバンク)、ロッテ、阪神、大洋(現横浜DeNA)、ヤクルトが入札して近鉄がゲット。小池には、ロッテ、日ハム、近鉄、西武、阪神、ヤクルト、中日、広島が入札してロッテがくじを当てたが入団は拒否された。次に1995年の福留孝介の7球団と続く。このときも近鉄の佐々木恭介監督が引き当てたが、福留は入団を拒否、日本生命へ進んでいる。

 目玉の田中が、その最多競合記録を更新するのかどうか。いよいよ注目のドラフトが始まる。