北の富士のキュートな笑顔と鮮やかな着こなしに女性メロメロ

北の富士のキュートな笑顔と鮮やかな着こなしに女性メロメロ

その軽妙な解説を楽しみにするファンは多い(写真:時事通信フォト)

 相撲ブームが沸騰している。「謎のスー女」こと相撲女子の尾崎しのぶ氏が、相撲コラムを週刊ポストで執筆中。今回は、テレビ中継の解説でもおなじみの元横綱・北の富士について尾崎氏が綴る。

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 本場所中に東京中日スポーツを買うのは、北の富士勝昭の連載を読むためである。そのせいで、にわかドラゴンズファンになってしまった。野球のルールはまったく知らないのだが、森監督が相撲の親方に見えたり、若松投手の顔が貴景勝に似ているような気がしたり、とても楽しい。

「遠藤が病床の祖母に元気届けた」との記事も読み間違った。追手風部屋の遠藤聖大ではなく、中日の内野手・遠藤一星のことであった。右腕を骨折したビシエドは今季絶望的だそうでさみしい。ビシエドのゴロンとした力士っぽさが好きだし、ゲレーロと合わせての「ビシゲレ」という呼ばれ方はまるで「栃若」のようにシャープですばらしいではないか。

 それなのに五日目を報じる誌面にお目当ての連載『はやわざ御免』が掲載されていない。九月場所の状況に「筆を持つ手が重い」とはすでに書かれていた。日馬富士が三敗目を喫し照ノ富士が休場となった五日目について書きようがなく『はやわざ御免』は休載となった。そうに違いないと私は思い、大鵬の孫で貴闘力の長男の納谷幸男がプロレス白星デビューとのニュースで物足りなさを埋めた。

 しかし翌日、不安になる。また『はやわざ御免』が休んでいるから。NHKの放送予定を見る。中日の正面解説は北の富士が担当することが多いのだが、春日野親方となっている。九日目は祝日だからそっちに回ったかと思いきや舞の海。

 北の富士は心臓を患い昨年末手術をし、一月場所はテレビ解説に出演しなかった。三月に復帰した時にはさすがに顔色がさえなかったが、だんだんとツヤを取り戻しているように見えていた。まさか九月場所に続く悪い出来事の最大事は北の富士の……。

 私の相撲観は、半分以上が北の富士の受け売りである。「NO北の富士NO相撲」と言っても過言ではない。かみ砕いてすっきりとした言葉を言ってくれる北の富士に、相撲にくわしくない私だけど楽しんでいいんだよね、とはげまされる。

 北の富士を好きな理由の一つには、おしゃれさもある。和装のほどよい崩し方、何本所有しているのだろう、次々に変わるメガネ、そしてその奥のチャーミングな瞳! ふんわりしたツイードを身に着けた様には「ああ、秋が来た」と日本の四季を感じさせられる。

 夏ファッションが特にいい。はだけたシャツからのぞく胸は日焼けしていて、貝をつないだネックレス、白いスポーツウォッチ。笑った歯がまた白い。まぶしすぎて、解説席が砂浜に見える。

 国技館に行くとラジオ解説時の姿も見られるのだが、画面に映らないからなのであろうラフな服装が、またこなれている。ピンクとダークブルーのラガーシャツにストレートジーンズ。現役時代、石原裕次郎と股下の寸法? が一緒なのだと自慢していた北の富士。ヒップの位置がとてつもなく高く、その通りだと見惚れてしまう。

 ジーンズの足元の下駄の音もスタイリッシュ。北の富士が漂わす良い香りはパルファムなのだろうか、それとも北の富士自身の体臭か。嫌味でない、しかし濃厚な香りがして腰が抜けるのですれ違いたくない。北の富士の私物を公開するスタイルブックが出版されたら私は十冊買うつもりだが、その内容(真っ赤なレザージャケットなど)を参考にできる日本人男性はまずいないだろう。

 北の富士のキュートな笑顔や鮮やかな着こなしが走馬灯となってめぐり、いつまでも忘れない、あんなかっこいい人は今後出会えないと涙をぬぐった。

 しかし二日分の休載ののち東京中日スポーツ『はやわざ御免』は復活、九日目はラジオ解説(自らの担当日だと思い解説席に行った八日目、陸奥親方がすでに座っていて周りに笑われて恥ずかしかったのだそうだ)、十日目にはテレビに登場した。うれしすぎて「心配して損したっつーの」とプリプリしてしまった。これからも元気でチャラい、時におとぼけさんな解説で楽しませてもらいたい。

※週刊ポスト2017年10月13・20日号

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