2016年ドラフト情報「即戦力か、将来性?」 スカウトの眼力が試される難解の年(オリックス編)

2016年ドラフト情報「即戦力か、将来性?」 スカウトの眼力が試される難解の年(オリックス編)

(提供:リアルライブ)

 直前まで1位候補が決まらないかもしれない。あくまでも10月上旬での情報だが、瀬戸山隆三球団本部長は福良淳一監督の「先発が試合を作ってくれたら、なんとかなる」の要望に応えるつもりだった。つまり、田中正義(創価大/右投右打)の指名である。しかし、夏の甲子園大会後と9月の両スカウト会議で寺島成輝(履正社/左投左打)を推す声が強くなり、「田中正義(創価大)か、大阪出身の好左腕か」で、二分されたという。
 「寺島は一軍デビューまでにさほど時間が掛からないはず。『即戦力』の報告がされたから、田中か寺島かでモメ始めたんです」(関係者)
 昨夏、甲子園を沸かせた小笠原慎之介(東海大相模−中日)も一軍戦力となった。チーム事情でプロ初勝利は遅れたが、「寺島を即戦力」と見た評価も間違っていない。
 「2位、3位でも即戦力投手の指名にこだわる」(前出・同)

 他球団はオリックスについてこんな見方もしている。
 「吉田正尚(15年)、山崎福也(14年)、吉田一将(13年)と3年連続で1位指名の重複を避けてきました。12年、競合覚悟で藤浪晋太郎の指名に参加し、2回目の入札でも外れクジを引き、松葉貴大の指名となりました。オリックスは抽選のリスクを考えているのでしょう」(在京球団スカウト)
 田中、寺島のどちらに決まるにせよ、重複は覚悟しなければならない。重複を避ける場合、もしくは「外れ1位候補」だが、オリックスは立正大の右腕・黒木優太(右投左打)を好評価しているという。黒木は「天性の先発投手」とも評されている。立ち上がりから9回のゲームセットまで150キロ近い真っ直ぐの速度が落ちない。「下半身が使い切れていない」との手厳しい評価も聞かれたが、大学で急成長した投手なので「伸びしろはある」とも解釈できる。

 また、現在の一軍投手構成を見ると、左投手が少ない。先発には松葉、山田修義がいるが、「リリーバーは海田智行だけ」で臨む試合も多かった。寺島が強烈にプッシュされた理由はこのへんにもありそうだが、神奈川大の左腕・濱口遥大(左打)も浮上してきそうだ。濱口の実力は2年、3年時に大学日本代表に招集されたことで証明済み。身長173センチと小柄だが、真上から投げ下ろすフォームには力強さが感じられた。この振り下ろすフォームと同じ腕の振りでスローカーブ(チェンジアップ?)も投げてくる。
 笠原祥太郎(新潟医療福祉大/左投左打)は、関甲新学生野球連盟の奪三振ショーを繰り広げてきた。140キロ台のストレートはもちろんだが、こちらもストレートと同じ腕の振りで変化球を投げ込んでくる。とくにスライダーがいい。「真横に曲がる」と言ったら大袈裟だが、鋭角に曲がる軌道はスタンドから見ていても分かった。このエグイ軌道で右打者の膝元を襲うわけだから、右バッターとも勝負できる左腕と言っていい。
 高校ナンバー1左腕は高橋昂也(花咲徳栄/左打)だろうが、こちらも「重複」の可能性が高い。早川隆久(木更津総合/左投左打)もいるが、彼の周辺からは「進学」の話も出ている(10月6日時点)。夏の北北海道大会で20奪三振の新記録を達成した古谷優人(江陵高/左投左打)は速球派。「変化球がショボイ」なる厳しい意見もあったが、真っ直ぐの速い左腕は稀少だ。堀瑞輝(広島新庄高/左投左打)は肘が下がる独特のフォームに賛否両論だったが、夏の甲子園で早川と投げ合った際、「オレはこっちを推すね。テンポがいい」と堀を褒めるスカウトもいた。

 「白鴎大・中塚駿太(右投右打)を熱心に追い掛けている」との情報も聞かれた。中塚は191センチで体重100sを越える巨漢。「スピードは田中正義以上」で、その巨漢から投げ下ろすわけだから、球質も重い。ただ、好不調が激しく、目立った成績は残していない。球質の重いタイプだからか、先のチーム関係者は「野茂の真っ直ぐを思い出した」とも話していた。高校生外野手の鈴木将平(静岡高/左投左打)も高く評価しているそうだ。広角に打ち分ける技術、守備範囲の広さもそうだが、チーム関係者は「走塁センスがいい」と話していた。こちらはイチローを重ねて見ているのだろうか。
 オリックスは近年中に三軍制を取る。その前準備として「育成枠」を含め、大量指名となりそうだ。

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