日本ハム・斎藤佑、「ショートスターター」の不自然さ 13年前からのスタイル変更を強いた球団側の思惑とは

日本ハム・斎藤佑、「ショートスターター」の不自然さ 13年前からのスタイル変更を強いた球団側の思惑とは

斎藤佑樹

 オープナー専門のピッチャーって、ナニ!?

 北海道日本ハムファイターズの斎藤佑樹が契約更改に臨み、現状維持の1600万円でサインした。その直後に行われた会見で出たセリフは、悲哀を感じさせるものだった。

 「きっと皆さんが見ている景色はあの頃なんだろうなあ、と。僕自身もスピード、キレ、コントロールを含めて(あの頃に)近づけるように。また、あの時のようなブームを起こせるような活躍をしていきたいです」

 斎藤の置かれている立場は、説明するまでもないだろう。契約更改は「戦力外通達」が行われる時期のあとだから、来年も現役を続けられるわけだ。斎藤の言う「あの頃」とは、2006年夏の甲子園大会のこと。炎天下の甲子園で、無尽蔵のスタミナで快速球を投げ続けた雄姿は高校野球史に強く刻まれた。しかし、斎藤はあの頃のような先発完投型のピッチャーを目指すのではないという。オープナー専門の「ショートスターター」に活路を見出そうとしている。

 ちょっと、ヘンじゃないか? オープナーには、「専門」はいない。リリーバーを大量投入する戦略で、2018年に米タンパベイ・レイズが先発投手のコマ不足を逆手に編み出した苦肉の策だ。しかし、これが的中し、先発マウンドに上ったリリーバーが1、2イニングを投げた後に、本来の先発投手を送り込むスタイルで、単に先発投手のコマ不足を補う“リリーバー総動員”型のものに発展していった。

 「米球団の多くがオープナーを模倣するようになりました。オープナーが登場して2年目の2019年、ショートイニングであっても、先発が務まるリリーバーとそうでないリリーバーに2分されるようになりました」(米国人ライター)

 今季の斎藤はショートスターターとして何度かチャンスをもらったが、それを生かせなかった。メジャーリーグ報道で言えば、「オープナーの務まらないタイプ」である。

 厳しい言い方をすれば、メジャーリーグには「ショートスターターの専門投手」はいない。救援投手として試合途中からマウンドに上る本来の仕事もしっかり務め上げている。ショートスターターは「時々」だから効果的なのだ。ショートスターターが先発ローテーション入りしたら、その後にロングリリーフの専門ピッチャーか、2番手で本来の先発ピッチャーが投げることになる。そういう継投策も米球界では定着しているが、

 「メジャーでは失点の生じる可能性が高いとされているのが、試合開始直後の1回、2回。先発投手を2番手で使うオープナー作戦なら、『確実にゼロで抑える』が絶対条件」(前出・同)

 とのこと。斎藤はかなり高い目標を掲げたことになるが…。

 パ・リーグに詳しいプロ野球解説者がこう続ける。

 「今季の日本ハムは守備位置を極端に寄せるなど、メジャーで流行りの作戦を多く取り入れていました。オープナーもその一つですが、こちらを採用した目的は、成績の伸び悩んでいるピッチャーを覚醒させるため。栗山監督の愛情ですよ」

 斎藤は会見で「同級生の存在は刺激になりますし、数多く活躍している選手がいるからこそ」と答えている。同級生・田中将大の活躍を出したイジワルな質問が出て、無理やりに言わせたものだ。しかし、田中は06年の甲子園での悔しさをバネにしたから、今日がある。06年の甲子園を励みにするのは結構だが、いっそ、忘れるか捨てるべきでは? その方が活躍できるのではないだろうか。(スポーツライター・飯山満)

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