日ハム・大谷と阪神・藤浪、同級生エースの「決定的な差」

日本ハムファイターズ大谷翔平と阪神タイガース藤浪晋太郎の評価が逆転

記事まとめ

  • 日本ハムファイターズ大谷翔平と阪神タイガース藤浪晋太郎がプロ4年目を迎えている
  • 大谷と藤浪には「球速以上の差がついている」とスポーツ紙デスクは語っている
  • 高卒1年目は藤浪のほうが大谷より上だったが、藤浪は今季急に勝てなくなった

日ハム・大谷と阪神・藤浪、同級生エースの「決定的な差」

日ハム・大谷と阪神・藤浪、同級生エースの「決定的な差」

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 甲子園では負けなしに対して勝ちなしと明暗が分かれた。だが、プロ4年目を迎えた今、その立ち位置は大逆転した!

 9月13日、日本ハムのエース・大谷翔平(22)が、オリックスの糸井嘉男に投じた初球は、日本最速の時速164キロを記録した。これに刺激を受けたのか、翌14日、高校時代から大谷のライバルと見なされてきた阪神の藤浪晋太郎(22)は、広島戦で自身最高となる時速160キロをマークした。

「日本球界で、160キロを計測した投手はクルーン(横浜、巨人など=引退)、由規(ヤクルト)、林昌勇(ヤクルト、カブスなど=現在、韓国の起亜)、マシソン(巨人)、そして大谷、藤浪の6人。日本人は3人しかいません」(スポーツ紙デスク) 残念ながら由規は肩を痛めて以来、スピードが戻っていない。大谷、藤浪の2人がセ・パの日本人速球王として君臨しているわけだ。思えば4年前、ともに甲子園を沸かせた2人のライバルはプロの世界で順調に経験を積み、今もしのぎを削っているようにも見える。

 しかし、現実的には、「2人の間には、球速以上の差がついていると言わざるをえません」(前同) 大谷翔平は9月21日のペナントレース天王山、ソフトバンク2連戦の初戦に8番・投手で先発。8回を投げて1失点と快投。2対1で勝利投手となり、優勝をグイと引き寄せた。これで今季9勝4敗1ホールド。防御率1.99は、規定投球回数に達していないため参考記録でしかないが、“隠れ最優秀防御率”(数字は22日時点=以下同)。

 対する藤浪は7勝11敗、防御率3.37で、阪神低迷の戦犯と目されるほどだ。「大谷が打者としても368打席で打率.319、22本塁打とチームに貢献。優勝のいかんにかかわらず、パのMVP候補に挙がっていることを考えれば2人の落差は天と地」(同)

 しかし高卒1年目は、むしろ藤浪のほうが上だった。「1年目の13年シーズンの藤浪は、名門・阪神のローテーションを1年間守り通し、24試合に登板。10勝6敗、防御率2.75、126三振の成績でした。対して、大谷は登板13回で3勝0敗、防御率4.23。“二刀流”のハンディを考慮しても、褒められた成績ではありませんでした」(同)

 しかし、2年目に大谷は“覚醒”。24試合を投げて11勝4敗、防御率2.61と、エースの名に恥じない数字を残す。同時に打者としても打率.274。10本塁打を達成するなど、規格外の活躍を見せ始める。3年目の昨シーズンは、22試合を投げて15勝5敗、防御率2.24と安定。

 一方、藤浪も2年目は11勝8敗(防御率3.53)、3年目が14勝7敗(防御率2.40)。阪神のエースにふさわしい成績だ。なぜ、藤浪は今季、急に勝てなくなったのか。

 野球解説者の江本孟紀氏が、こう読み解く。「藤浪は今、プロとして大きな壁にぶつかっていて、乗り越える方法が分からず、より深刻な状態に陥っているように思います」 江本氏に言わせれば、藤浪の投球フォームには、もともと欠陥があり、多くのプロたちは、壊れてしまうのではないかと、以前から危惧していたという。「藤浪はインステップでシュート回転の球を投げるので、どうしても体に負担がかかる。ここを修正しない限り、壁は乗り越えられません」(江本氏)

 この投げ方は制球力にも大きな影響を与える。これまで藤浪は、それを球威で抑え込み、結果を残していたが、今年になって、さらに制球力が不安定になり、勝ち星が稼げなくなってきた。「実は勝ち星があったゆえ、誰も文句を言えなかったんです」(スポーツ紙デスク) 藤浪の「唯我独尊」ぶりは高校時代から始まっていたという。春夏連覇の投手に誰も口を出せないのは、ある意味では当然だが、「藤浪の高校時代の恩師である大阪桐蔭の西谷浩一監督は、選手の自主性に任せるタイプということもあって、1年生のときから自己流で調整してきたといいます」(スポーツ紙記者)

 プロ入り後も、藤浪は自己流を貫いてきた。そして今年、勝てなくなってからは自信が持てず、アドバイスを求めることもできない悪循環に陥った。「今季の藤浪は、マウンド上でやたらと首をひねる。自分の球に納得してないんでしょう」(前出の記者) 袋小路に入った藤浪には助言が必要かもしれない。だが、前出の江本氏は、「阪神に、藤浪にアドバイスできるようなコーチはいません」と言い切る。

 江本氏は続ける。「阪神でなくとも今のコーチは、あまり選手をいじりたがらない。下手にいじって失敗したら、自分の責任になってしまうからね」 ならば、どうすれば……。「なんとか自分で工夫するしかないでしょうね。ケチなプライドを捨てて、いろいろな先輩のアドバイスを聞くようにすればいいと思います」(江本氏)

 7月8日の広島戦。5失点の藤浪の打席に金本監督はあえて代打を送らず「懲罰采配」。このとき、藤浪は161球を投げ、疲労困憊。「同じミスを繰り返す藤浪に、自覚を持ってもらうため、あえてしたことでしょう」(スポーツ紙デスク) 藤浪は今、野球人生最大のピンチに立っている。

 一方の大谷だが、「打者との二刀流ということもあって、うまく気分を転換して壁を乗り越えようとしている」(江本氏)という。「藤浪とは違って、大谷は理想的なフォームで投げています。技術的には、文句をつけるポイントがありません」(前同)

 必ずしもスピードボールを投げればいいというものではないが、9月21日のソフトバンク戦でも1回から163キロを投げるなど絶好調。190センチを超える恵まれた体格という点では、藤浪と同じなのだが、肩の可動域が広く、しなるような投球ができるため、無理なくスピードボールを投げることができている。

 ただ、投球で重要なのは球速よりコントロール。それを再認識させてくれたのが、メジャー自己最多の14勝を挙げた田中将大(ヤンキース)だ。大リーグ研究家の福島良一氏が解説する。「田中はもともとコントロールのいい投手でしたが、肘の手術後は、あえてスピードよりも制球に比重を置くようになりました。今年の初球ストライクの確率は実に65%で、全投球の67%がストライク。この制球の良さが安定した成績を生む原動力になっています」

 抜群のコントロールと、ここぞのときのストレートの威力、そして多彩な変化球。これが好投手の必要条件。田中は、この3つを理想的な形で兼ね備えている。その田中は、甲子園では斎藤佑樹(日本ハム)と死闘を繰り広げ、ライバルと称されて「ハンカチ世代」ブームを巻き起こした。だが、斎藤は甲子園では田中を下したが、今では1軍で投げることがニュースになるほど。

 その関係はどこか大谷と藤浪を彷彿させる。ただ、大谷も藤浪も今年が高卒4年目。大学4年生の年齢にあたり、同学年が今秋のドラフト対象。それを思えば、図抜けた才能があり、伸びしろがあるのは確か。お互いが成長に必要な好敵手でもある2人が、どこまでの高みに到達するか楽しみだ。

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