腐敗のツケが監督に!? 巨人軍の「根深き闇」

腐敗のツケが監督に!? 巨人軍の「根深き闇」

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 30億FA軍団の一角が最悪の自滅。選手本人の意識もさることながら強化の体制、上層部の意識も含め、すべてが根腐れした結果なのだ!

 7月11日未明、自らの誕生日に深酒し、泥酔した巨人の山口俊投手が右手を負傷。さらに都内の病院で大暴れし、扉を壊したり、警備員を負傷させるなどのトラブルを起こした。事件が公になったのは、1週間後の18日。この日の中日戦での予告先発が急遽取りやめとなり、その理由として球団から事件の概要が発表されたのだ。その日から、山口は謹慎。

「警察が傷害と器物損壊で捜査中ですが、ナインや関係者が言及を控える中、真っ先に口を開いたのは長嶋茂雄終身名誉監督でした。“巨人軍の選手たるもの、ああいうことをしてはいけない。何があったか分からないが、まずいこと”と、言葉は柔らかいですが、滅多にこうした発言をしないミスターだけに、激しい怒りが伝わってきます」(スポーツ紙記者)

 巨人軍OBの評論家、黒江透修氏も「情けない。巨人の恥だよ」と憤慨しながら、次のように言う。「昔の巨人では“常に紳士たれ”という正力松太郎さんの遺訓を常々、聞かされていた。あんまりしつこいんで“またか”と思ってたけど、その考えは知らず知らず身についていったんだ。今の巨人では、球団も年長者もあまりそういうことを言わなくなり、タガが外れてきたような気がする」

 山口は今年FAで入団しながら怪我で序盤を棒に振り、6月にようやく1勝。だが、その後は3度登板するも0勝1敗と振るわなかった男に、野球解説者の江本孟紀氏も、「あまりにも、自覚がなさすぎます。お酒を飲んで暴れる体力があるなら、もっと練習せえ、と言いたい」と呆れ果てる。

「球団はなんとか示談に持ち込みたい構えのようですが、相当に被害者の心証が悪かったらしく、まだどうなるか分からないんですよ。3年7億も払って“即刻クビ”とは言えないかもしれませんが、刑事事件になってしまえば、正直、どこにも置いておけない。上も難しいところでしょうね」(巨人軍関係者)

 この事件は山口個人の不行状だが、ここ最近の巨人のあまりの“インケツ”ぶりに、記者の間では「まだまだ闇は根深いな」とささやかれているという。そもそも、山口の酒癖の悪さは、昨年まで所属していたDeNAでは有名な話だったという。「それを知ってか知らずか、巨人は大枚をはたき獲得。さらに、山口は昨年こそ初の二桁勝利を挙げましたが、強力な相手先発投手と当たらない“裏ローテ”での勝ち星。メンタルにもムラがあり、それを見抜けなかったのは、編成部の二重のミスですよ」(スポーツ紙記者)

 実は、昨年オフのFA補強で巨人が一番獲りたかった投手は山口ではなく、現在、楽天で活躍する岸孝之(当時西武)だった。「ところが、巨人の編成部は“岸は西武を出ない”と踏んだ。“移籍する気だ”という情報をつかんだときには、すでに楽天の星野仙一副会長に囲い込まれていて打つ手なし。そこで、ターゲットを山口に変えた。岸の意思を見誤ったことと、準備不足で山口の身体検査を怠り、加えてデータを精査しなかったこと。二重どころか、三重のミスが、今回の事態を招いたんだよ」(某球団スカウト)

 これが一度の見込み違いならまだしも、打者部門でも、ほぼ同じようなことが起こっていた。打の目玉だった糸井嘉男と陽岱鋼で、巨人は陽を選んだわけだが、山口俊と同じように、故障で開幕に出遅れ。それもあってか、球団ワースト記録の13連敗を記録し、堤辰佳前GMが更迭される事態に至った。

「他にも、近年のドラフトにおいて、巨人は他球団のスカウトが“えっ”と驚くような指名を繰り返してきました」(スポーツ紙記者) たとえば、昨年のドラフトで巨人は、創価大の田中正義投手、桜美林大の佐々木千隼投手の抽選に敗れた後、狙いを野手に切り替え、中京学院大の吉川尚輝を指名したが、これには他球団が絶句したという。

「内野手なら、まだ、この時点では指名されていなかった京田陽太(中日)を取りに行くところ。現在、二軍戦にも出ていない吉川と、1番でスタメンを張り、打率2割8分超えの京田の現状を見れば一目瞭然だが、とにかく、巨人はドラフトでよく、こうした“謎の逆張り”をして失敗するんだ」(アマチュア野球関係者)

 その前年のドラフトでも巨人は1位で中京大の桜井俊貴を指名し、2位で早大の重信慎之介を指名しているが、彼らは現状、一軍ではほぼ通用せず、なおかつ、その後にきちんと育成をされるわけでもなく、“一軍半”に定着。「重信を2位指名した際も、誰もが“えっ、茂木栄五郎(楽天)じゃないんだ”と驚愕しました。二択で常にハズレを選んでいるというのが、最近の巨人の印象です」(スポーツ紙記者)

 こうした、たび重なる失敗の責任は、スカウト部長のA氏にあった。「A氏はかつて上原、二岡らを発掘した名スカウトですが、近年は眼力も衰え、それでいて“自分の認めない選手は獲らない”という姿勢を崩さなかったために、戦力低下を招いてしまったんです」(専門誌記者)

 それを一新すべく、今年からスカウト部長には岡崎郁氏が就任。同時に、大幅な機構改革を行った。「チーフスカウトの下に東日本統括、西日本統括のポストを作り、それぞれ福王二軍コーチ、武田康スカウトをあて二重三重のチェック体制にしました」(前同)

 こうした機構改革が実際に実を結ぶまでには相当の時間がかかるが、その間を埋めそうな生きのいい若手は、二軍、三軍を見渡しても少ない。こうした長期的なチーム作りを担うのはGM以下、編成部の仕事だが、実は巨人の最大の“病巣”は、この編成部門が徹底的に軽視されてきた組織文化にある。

「読売グループには、何をおいても新聞が一番で、テレビも球団も単なる子会社という意識があります。勢い、球団にやって来るGMも、歴代、新聞出身の出向サラリーマン。野球に関しては素人で、チーム作りに何の定見もなかったんです」(スポーツ紙デスク)

 現在は現場出身の鹿取GMが就任したことで、多少事態は好転すると見られているが、老川祥一オーナー、石井一夫球団社長も含め、読売グループの“役職”にすぎず、辞任しても生活は保障される。「クビ=無職」のプロの現場で汗をかく選手と、ぬるま湯で意思決定する上層部の間の、この意識の隔たりは大きい。

「12連敗した翌日に、チームを激励に来た老川オーナーが選手の前で“視聴率が下がるから頑張れ”と、完全に広告塔扱いの演説をぶって現場を呆れさせましたが、オーナーでさえ、こんなサラリーマン根性です。一昨年の野球賭博事件を経ても、やはり選手一人一人の生活やメンタルと向き合う姿勢が見えないままだったのを見ると、“山口事件”は起こるべくして起きたとも言えます」(前同)

 7月13日、巨人は一軍の投手コーチに“次期監督候補”とも目される斎藤雅樹二軍監督を昇格させ、チーフ投手コーチ格の尾花高夫コーチをブルペン担当に異動させた。しかし、いずれにせよ、新体制の首脳陣がチーム再生のためのピースと考えていた山口離脱の痛手は大きい。

 大きな闇を抱えたまま、巨人はこの後、巻き返せるのか……。

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