甲子園「歴史的1日」を観戦したら、“魔曲”に感動した!

甲子園「歴史的1日」を観戦したら、“魔曲”に感動した!

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 高校野球ファン歴30年の“野球バカ記者”が、歴史に残る“歴史的な一日”を生観戦した興奮のレポート第3回。

「野球バカ一代の甲子園『歴史的1日』観戦記【前編】」(https://taishu.jp/detail/29209/)から読む!
「野球バカ一代の甲子園『歴史的1日』観戦記【中編】」(https://taishu.jp/detail/29211/)から読む!

 第2試合が終わったところで、ようやく昼食。相変わらずの混雑だが、Sさんが甲子園カレーを買って来てくれた。2日連続だったけど、この日はおいしく感じた。復活! 第3試合は、ともに優勝経験のある興南―智弁和歌山。個人的には、最も興味深いカードだった。というのも、どんな試合展開になるか想定が難しかったからだ。興南の1年生左腕・宮城大弥投手は、地方予選で奪三振率13・70を記録した「沖縄のドクターK」。彼が智弁和歌山打線をどう抑えるのか。非常に楽しみだったのだ。

 試合開始時間が近づくにつれ、両校の応援団がアルプス席を埋め尽くしていく。記者たちはライト側だったので、3塁側の智弁和歌山応援団の全体像を見ることができた。だんだんと浮かび上がる「C」の人文字。生で見る光景に、Sさんとともに興奮してしまった。1塁側の興南アルプスからは、沖縄代表らしく指笛が鳴り響く。これは応援合戦も楽しみ!

 そして待ちに待ったプレイボール。初回の智弁和歌山の攻撃になると、その応援団の声量に圧倒された。2日間で、最も大きな声だったと思う。選手たちも心強いだろう。そんな爆音を背にしながらも、宮城投手は序盤3回を0点に切り抜ける。すると3回裏、智弁和歌山の北拓海投手が突如乱れ、四球を連発してしまう。押し出し四球で1点を献上すると、さらに3連打を浴びる。この回、興南は一挙6点のビッグイニング!

 ただ、すんなりとはいかないだろうと思っていた。というのも、宮城投手は思うように三振を奪えず、智弁和歌山打線に捉えられていたからだ。その予感は的中し、4回表に智弁和歌山はエラーなどで二死満塁のチャンスを作ると、智弁和歌山の応援団からあの曲が流れる。『ジョックロック』だ! これが流れると、智弁和歌山打線に火がつくことから、ファンの間では“魔曲”と呼ばれている。

 魔曲効果か、連打で2点を返すと、続く5回裏には2ラン2発で、あっという間に同点に追いつく。流れは智弁和歌山。6回に勝ち越すと、8回にも1点を追加。4回以降0点に抑えられていた興南も、8回になり捉え始める。2点差なら……と思っていたところで、智弁和歌山は9回にも1点を追加。この1点が大きかった。9回裏、興南は先頭打者が振り逃げで出塁すると、興南アルプスが最高潮の盛り上がりを見せる。『ハイサイおじさん』の演奏に、指笛とアーイヤーイヤサッサーのかけ声とともに、楽しそうに踊る人たち。まるでお祭りを見ているようだった。

 結局9―6で智弁和歌山が勝利したが、試合後は温かい拍手に包まれていた。だいぶ日が傾き、浜風が心地よく感じられるようになると、第4試合の大阪桐蔭と米子松蔭の選手たちがグラウンドに現れた。甲子園に到着してから12時間が経過していた。一日中、炎天下の中での野球観戦は相当しんどい。私は腕、膝に加え、耳まで真っ赤になっていた。日焼け止めを塗る際は、耳も忘れずに。

 席に戻ると、春のセンバツ王者の大阪桐蔭には、期待が集まっていて、試合前ノックのときから「お〜!」という声が上がっていた。

 その大阪桐蔭の攻撃。吹奏楽の上手なことに驚いた。映画『ラ・ラ・ランド』の劇中歌や、RADWIMPSの『前前前世』を演奏し、5番の山本ダンテ武蔵選手の応援では、『君の瞳に恋してる』に合わせ、「アイ ラービュー ダンテ〜」と、まるで演奏会に来ていると思えるほど巧みに奏でた。

 その応援を受け、大阪桐蔭は初回、2番福井章吾選手がライトスタンドに放り込み1点を先制。その後も2回に1点、4回に1点と得点を積み重ねる。ただ、米子松蔭の左腕エース辰己晴野投手が最少失点に食い止める。この辰己投手、速球は130kmに満たないながらも、抜群の制球力と緩急を披露していた。四球の心配がない小気味良い投球。個人的には2日間で最も好きな投手だった。

 結局6回6失点で降板したが、ビッグイニングを作らなかったあたりは、この辰己投手と米子松蔭守備陣によるものだろう。だが、大阪桐蔭の徳山壮磨投手の出来も素晴らしい。140km超のストレートを左右に投げ分け、アウトを積み重ねていく。7回表に津島隼人選手に三塁打と悪送球で1点を取られたものの、終わってみればこの1点のみ。大阪桐蔭が8―1と完勝した。途中、照明が点灯しナイターとなった第4試合。昼間とはまた雰囲気が一変し、あらためて美しい球場なのだと実感。

 途中、体がキツい時間もあったが、最後は「もう一泊しちゃおうかな」と思ってしまうほどの夢のような時間だった。来年は記念すべき第100回大会。野球バカの記者セキネ、チャンスがあれば、足を運びたいと思う。(了)

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