「甲子園の夢」奪われた君へエール…先輩・監督「野球人の強さ見せろ」「この経験きっと役立つ」

「甲子園の夢」奪われた君へエール…先輩・監督「野球人の強さ見せろ」「この経験きっと役立つ」

ロッテの井口資仁監督

 全ての高校球児の夢であり憧れである「夏の甲子園」の中止が決まった。3年生にとっては、春の選抜大会、春の地方大会、さらに夏の県大会と、青春を懸けて努力を重ねた成果を発揮する場が、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、軒並み奪われた。喪失感に涙する若者に、各校の監督や先輩らはどんな言葉で寄り添い、励ましたのか。それらを紹介し、読売新聞オンラインからのエールとしたい。

■「かける声見つからない」…球児へのシンパシー

 浜松商(静岡)の田川智博監督 「幼い頃からプロ野球というより、甲子園を目指して野球をやってきた子が多かった。『仕方ない』とは簡単には言えない。なんて声をかけていいかわからない」

 西武の松坂大輔(神奈川・横浜) 「自分がその立場に身を置いたことを考えると、選手の皆さんにかける言葉が見当たらない。本当の苦しさは当事者にしか分からないから。甲子園というものは、それだけ大きな存在」

 宇部鴻城(山口)の尾崎公彦監督 「一番身近で選手たちの取り組みを見てきただけに、軽々しく『これが勉強だ』などとは言えない。踏ん切りがつくような機会が必要ではないだろうか」

 福知山成美(京都)の井本自宣監督 「部員らにどう伝えればいいのか。勝敗だけでなく、『3年間やりきること』が大切と考えてきた。最後まで支えてやりたい」

■「必要な努力、達成した」…頑張った日々に胸張って

 甲子園出場経験がない西武の山川穂高(沖縄・中部商) 「球児の皆さんは『甲子園を目指すために必要な努力』を達成していると思う。自信を持って生かしてほしい」

 現在は県岐阜商(岐阜)で指導する鍛治舍巧監督 「部員にとって甲子園に代わるものはない。新しい目標を持ちなさいと伝えたい」。(選手からの「悔しさを大学野球で晴らせるよう練習に励む」「目標だった甲子園がこんな形で終わり悔しい」「後輩には同じ思いをしてほしくない」との声を聞き)「今の気持ちは今後の人生に生きる。こんな状況でも後輩のことまで考えて、君たちは成長した」

 茨城県の取手二や常総学院の監督として甲子園で優勝した木内幸男氏 「できなくても粘る、こつこつ練習する、努力はきっと今後に生きてくる。(3年生は)今後どのような道に進んでも『野球が好きだ』という気持ちを忘れないでほしい」

 日南学園(宮崎)の金川豪一郎監督 「想像を絶する悔しさやむなしさを感じていると思うが、一つの目標に向かって今まで取り組んできたことはうそではない。その取り組みを生かせる大人になってほしい」

■「ご褒美なくても頑張れる人間に」…へこたれず、これまで通り

 ロッテの井口資仁監督(東京・国学院久我山) 「人生はチャレンジの連続。みんなで一つの目標に向かって頑張った日々は消えない。これからも同じように目標に向かい進み続けてほしい」

 盛岡大付(岩手)の関口清治監督は選手に対し、「甲子園はそれまで頑張ってきて県大会を優勝したご褒美だが、ご褒美や見返りがなくても一生懸命頑張れる人間になろう」と呼びかけた。

 広陵高(広島)の中井哲之監督は「これからも当たり前のことを淡々とやるだけ。ウイルスが終息すれば、練習試合をやるぞ」と選手たちを鼓舞。1、2年生部員には、「3年生の姿を見ておけ。来年は彼らの分まで頑張らないといけない」と伝えた。

 高知中央(高知)の重兼知之監督は「3年生はつらいと思うが、3月31日までうちの部員だ。グラウンドではいつものように、今日が大事なんだ、今が大事なんだという意識で取り組もう」と選手らに語りかけた。

■「ここが出発点」…もっと強く、もっとたくましく

 益田東高(島根)の大庭敏文監督 「甲子園を目指すチャンスはなくなったが、過ごしてきた日々はなくならない。地に足をつけて立っている野球人は本当に強い。今こそ力の出しどころだ」

 今春の選抜大会出場を決めていた広島新庄高(広島)で、今年3月に監督を退任した迫田守昭氏 「決して悲観せず、次に控えている進学など、将来について考えてほしい。国民全体が苦しんでいる今だからこそ、高校球児が率先して強く戦う姿を見せてほしい」

 日大山形や山形商などの野球部監督を務めた渋谷良弥氏 「子どもの頃から甲子園を追い求めてきた3年生の気持ちを思うと、中止は残念で仕方ない。でも、いつまでもくよくよしないでほしい。人生はこれからの方が長い。『第二の甲子園』となる目標を見つけて、それに向かって努力し、勝者となってほしい」

 明徳義塾(高知)の馬淵史郎監督 「こういう苦しいときほど人間は試される。この経験がきっと役立つときがある。優勝しない限りいつか負けるが、その区切りがない分つらい気持ちはよくわかる。終着駅じゃない、ここからが出発点だ」

関連記事(外部サイト)