【プロ野球】野球があるところ、ウマイめしと夢とロマンがある! 今こそ読みたい『球場三食』

【プロ野球】野球があるところ、ウマイめしと夢とロマンがある! 今こそ読みたい『球場三食』

今こそ読みたい『球場三食』

 いよいよ明日5月30日(火)から、プロ野球は「セ・パ交流戦」に突入する。第2の開幕のような、調子が悪くともここから仕切り直しができるような、なんとも不思議な気分にさせてくれるのも交流戦の魅力だ。

 また、球場観戦が三度のメシよりも好きなファンにしてみれば、普段よく行く球場とは別の、セ・パそれぞれの球場で贔屓チームの試合を観戦できる絶好のチャンス。ということは、いつか食べたいと思っていたスタジアムグルメを食べるにももってこい。だが、百花繚乱のスタジアムグルメ。食べそこねたり、売店を見つけるのに手間取ったりといった失敗を防ぐためには予習が必要だ。

 そこで、ぜひオススメしたい野球漫画がある。渡辺保裕著『球場三食』(きゅうじょうさじき/講談社)だ。今季開幕前の2月に第1巻が出たばかりだというのに、交流戦にあわせるように先週、はやくも第2巻が発売された。

※野球の見方が変わるスマホマガジンでニュースやコラムが読み放題!

■野球観戦日の食事は3食すべて球場内で食べる男

 物語の主人公は、プロ野球12球団のファンクラブに入り、全国のスタジアムを渡り歩く、さすらいの“観戦人”。その主人公が第1巻の冒頭で、こんなことをつぶやく。

《野球を愛する者は誰もが胸のうちに自分だけの公認野球規則を持っている。【野球観戦日の食事は3食すべて球場内で食べる】それが俺の野球規則第3条4項だ》

 このセリフ通り、毎回ひとつの球場(複数の場合も)にスポットを当て、その球場で何を食べ、どう野球と向き合うかを描いていく。

 掲載球場は、第1巻が「神宮球場」「西武ドーム(メットライフドーム)」「マツダスタジアム」「東京ドーム」、そして在りし日の「藤井寺球場」。2巻が「Koboパーク宮城」「札幌ドーム」「ZOZOマリンスタジアム」「ナゴヤドーム&ナゴヤ球場」。さらには「神宮→マリン」「西武ドーム→東京ドーム」のはしご観戦も描かれる。各球場での“三食”に何を選んで食べたのかは、ぜひ読んで確かめていただきたい。

 それぞれ、球場の観戦場所によって購入売店を変えたり、ビールの銘柄やドリンクのチョイスを変えたりと、実に芸が細かい。作者の渡辺保裕氏は、野球漫画好きならば『ワイルドリーガー』の作者としてもおなじみ。そして過去には、料理漫画を描いた経験もあるため、球場描写、料理描写とも緻密&迫力満点。

 どのスタジアムグルメも実に美味しそうで、野球そっちのけで各スタジアムグルメを食べに行きたくなってしまうほど。野球ファンとしては本末転倒かもしれないが……。

■野球とともに生活する日常

 こう書くと、『孤独のグルメ』の野球版? というとらえ方をされてしまうかもしれない。だが、本作の魅力はもっと先にある。球場グルメを通して、野球の愛し方・楽しみ方、野球とともに生活する日常を描いていくのだ。そして、随所に挟み込まれる野球知識や比喩表現にこそ、作者・渡辺氏の深すぎる野球愛がにじみ出ていて、読み進めるほどにクセになる。

 たとえば、西武ドームの座席配置や急勾配ぶりについて、《しかし料金の高い指定席のほうが余計に疲れるって理不尽じゃねーかとも思うが…》とつぶやく主人公。たとえば、札幌ドーム移転問題にからめて、わざわざ移転候補地の北広島の大地を歩く主人公。作者・渡辺氏もまた、北海道・北広島市を実際に取材したという。

 また、女子高生カープ女子の魅力を説明するフレーズが《まさにロードンの機動力とランスの破壊力のツープラトン》だったり、後楽園ホールとプロ野球の親和性を説明するのに《ここで収録が行われている「笑点」のカラフルな絵面と、かつて後楽園球場を本拠地にしていた日拓フライヤーズの「7色のユニフォーム」の類似性には驚くばかりだ》と綴ったりと、比喩がいちいち(いい意味で)古くて、オッサン野球ファンが思わずニヤニヤしてしまう。

 この作品、『アフタヌーン』誌上で連載が始まった当初は、「12球団の各ホーム球場を描いて終わり?」と思ったものだが、藤井寺球場跡地がテーマになったり、ナゴヤ球場などの2軍球場が舞台になったりと、まさに「野球のスタジアムすべて」が舞台になっていきそうな気配だ。実際、第3巻では全国各地のスタジアム遠征の様子が描かれる予定だという。

 野球があるところ、ウマイめしと、夢と、ロマンがある!

 そんなことを改めて感じさせてくれる、全野球ファンにオススメしたい野球漫画だ。交流戦の旅のお供にいかがだろうか。

文=オグマナオト

【関連記事】

関連記事(外部サイト)