【プロ野球】緊急登板にもってこいのタフネス腕・薮田和樹。フォーム改造で待ったなしの今井啓介らが広島を救う

【プロ野球】緊急登板にもってこいのタフネス腕・薮田和樹。フォーム改造で待ったなしの今井啓介らが広島を救う

フォーム改造で待ったなしの今井啓介らが広島を救う

 5月24日、前日のヤクルト戦を3回で突如降板した野村祐輔(広島)が1軍登録を抹消された。理由は腰の違和感で復帰時期は未定。ここまで3勝を挙げ、防御率2.16と抜群の安定感を誇っていた右のエースの離脱だけに、広島ベンチは衝撃を隠せない。

 これで広島の開幕ローテーション投手からは左のエースであるジョンソン、ルーキー左腕・床田寛樹に次ぐ3人目の負傷離脱となる。左右のエースを欠くなか、投手陣の再編成は急務だ。

 この緊急事態を乗り切る投手編成を考察するとともに、未曽有の危機を救う救世主を探ってみたい。

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■緊急登板はお手の物?

 ローテーションの再編が進むなか、交流戦の大事な初戦で薮田和樹が先発登板。先述した野村の降板時でも熱投を見せたが、この西武戦でも好投。6回を無失点に抑え「交流戦開幕戦投手」の大役を果たした。

 昨シーズンも薮田は緊急登板で結果を出している。9月1日、首を負傷した福井優也に代わり急遽先発。6回を無失点に抑え勝利投手になった。

 このように緊急事態に強い力を発揮できるのは藪田のストロングポイントの1つ。これは大学時代、アマチュア野球界屈指の厳しさで知られる亜細亜大で鍛えられたタフな肉体と精神があればこそなせる技だろう。

 薮田のタフさは実に心強い。薮田こそ野村の穴を埋めるにはうってつけだ。投手陣の危機をチャンスに変えて、ローテーション投手として大成することを期待したい。

■勝負の年に再び輝け

 薮田が先発に回ったことでリリーフ陣が1枚欠けた。

 新たなリリーフとして左腕の佐藤祥万が1軍に昇格したが、佐藤は左打者へのワンポイントリリーフで器用される可能性が高い。

 薮田が担っていたのはロングリリーフや、勝ち負け問わない僅差の場面での登板。いわゆる「使い勝手のいいリリーフ」だ。佐藤の役割とは違う。そこで薮田の「代役」には、現在、2軍で抜群の安定感を誇っている今井啓介を強く推したい。

 今井はプロ12年目の30歳。これまで度々印象に残る活躍をしてきたが、近年は出番を失いつつある。その現状を打破するため、今シーズンは投球フォームを大きく改造。「黒田二世」と呼ばれた豪快なオーバースローのフォームから、ヒジの位置を下げたスリークオーターに変え、背水の陣で臨んでいる。

 2軍では2番目に多い17試合に登板。思い切ったフォーム改造の効果はてきめんに表れ、リリーフでは最多の23回2/3を投げ、防御率1.52。5月は無失点と抜群の安定感を見せている。

 好調の要因はフォーム改造により制球が安定したこと。1試合平均の四球数は2.66個。昨年は4.06個だっただけに制球力の向上は一目瞭然だ。

 また「回またぎ」でのリリーフも度々あるが、元々は先発だったので問題はない。薮田の担っていたロングリリーフには今井が適任だろう。リリーフ不足の1軍からお呼びがかからないのが不思議なくらいだ。

 好調を維持したまま1軍昇格すれば、広島投手陣の救世主となる可能性は高い。

■2013年の活躍を思い出せ!

 最後に挙げたいのはかつての絶対的守護神・永川勝浩。


 永川は通算165セーブの球団最多セーブ記録保持者。これまで幾多の修羅場をくぐり抜けた実績と経験はチームにとって大きな財産だ。

 しかし、ここ数年は不振続きで、昨シーズンの5月を最後に1軍での登板はゼロ。年齢的にも後がなくなりつつある感は否めない。

 そんな苦境で迎えた今シーズン、永川も生き残りをかけフォームを改造。三振の山を築いた投球から打たせて取るスタイルに変え、不退転の決意で挑んでいる。

 現状では、2軍で打ち込まれるなど苦戦を強いられているが、フォームが馴染んできたようで、球速は徐々に上がってきた。今すぐの昇格は厳しいかもしれないが、救援陣が疲労困憊の夏場に復活してくれたら、この上なく心強い。

 思い起こすと、1997年以来のAクラス入りを果たし暗黒期に終止符を打った2013年は、ケガで出遅れていた永川が7月に1軍復帰したことから快進撃が始まった。広島ファンなら、あのときの永川の姿は忘れようがない。

 今日の強い広島の幕開けは永川の復活から始まった。そう言っても過言ではない。連覇への救世主として再び輝くことを信じたい。

 5月30日現在、僅差ながら首位に立つ広島。左右のエースを欠くなかでの成績としては立派だ。負傷者が復帰し、ここで挙げた投手の活躍があれば、悲願の連覇への道筋は明るくなる。

(成績は5月30日現在)

文=井上智博(いのうえ・ともひろ)

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