【鬼筆のスポ魂】メジャー追従の意識を捨てる時 日本のプロ野球がMLBを凌駕する 植村徹也

 大物助っ人が次々に“来襲”する背景をそろそろ考えなくてはならない。

 このほど、オリックスが新外国人としてダイヤモンドバックスからフリーエージェント(FA)になっていたアダム・ジョーンズ外野手(34)を獲得することが明らかになった。ジョーンズは2011年から7年連続で20本塁打以上を記録し、メジャー14年間で通算1939安打、282本塁打。今季もダイヤモンドバックスで137試合に出場し、打率2割6分の16本塁打、67打点の成績を残した。

 大物外国人の獲得はオリックスだけではない。巨人が獲得したヘラルド・パーラ外野手(32)はメジャーで2度のゴールドグラブ賞を受賞。今季はナショナルズで89試合に出場し8本塁打、42打点。ワールドシリーズ制覇に大きく貢献し、その後FAになっていた。阪神もメジャー6シーズンで通算92本塁打、303打点のジャスティン・ボア内野手(31)=エンゼルス=を獲得した。

 今年のウインターミーティングはカリフォルニア州サンディエゴで日本時間の13日まで開催されていた。その後のFA選手の去就によっては、さらに大物の外国人選手が日本を目指す可能性がある。かつて日本球界に来る外国人といえば、マイナーリーグからメジャーに昇格できない選手や、メジャー経験はあるが力の衰えた選手がほとんどだった。それが今オフはメジャーで活躍できそうな選手が次々と海を渡ってやって来る。この背景には何があるのか−。

 大きな要因は、メジャー30球団がFA選手の年俸の高騰を防ぐため、かつては乱発していた高額契約を手控えていること。いくら実績があっても力の衰えが見えるなら契約をしなかったり、安く買いたたいたりする。行き場を失ったFA選手は好条件を求めて日本球界を視野に入れ始めた。以前なら日本に連れてくるには5億円以上の予算が必要だったクラスの選手が3億円未満で契約できるのだ。

 では、メジャー30球団の財布のひもが固くなった背景は何か。日本球界と大リーグの観客動員数の推移を見れば容易に想像できる。日本のプロ野球12球団が今季858試合で集めた観客は2653万6962人。1試合平均3万929人で史上初めて3万人を超えた。前年比も3・9%増だ。それに対し、メジャー30球団は2429試合で6849万4752人。1試合平均は2万8199人だった。1試合平均では、日本のプロ野球はメジャーリーグを上回っている。メジャーの総観客数は2015年シーズンから約500万人も減少しているのだ。

 今季のメジャーリーグはシーズン100勝以上が4球団、逆に100敗以上が4球団と力の差が開き、優勝争いが熱を帯びなかった。逆に日本球界はセ・パの観客動員数の差(セが約320万人多い)も縮まり、外野席の鳴り物入りの応援などが定着したことで大勢のファンが球場に押し寄せている。日本球界のビジネスモデルは大成功しているのだ。

 日本球界はFA制度の導入に始まり、現在は選手会がメジャーのルール5ドラフトとほぼ同じ内容の現役ドラフト導入を要求している。何から何までメジャーリーグを追いかけているのは、米国が野球発祥の地だからか。しかし、大物助っ人が次々とやって来る現状を見るなら、そろそろメジャー追従の意識を捨て去るべき時が来たのでは…。野球好きの日本人はよく考えなくてはならない。(特別記者 植村徹也)

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