貧打で苦境が続く巨人、原監督の誤算はFA移籍の「梶谷隆幸」【柴田勲のセブンアイズ】

貧打で苦境が続く巨人、原監督の誤算はFA移籍の「梶谷隆幸」【柴田勲のセブンアイズ】

梶谷隆幸選手

 前回の今コラムで阪神(甲子園)、広島(マツダスタジアム)と続く遠征6連戦を3勝3敗でなんとか乗り切ってほしい、最低でも2勝4敗、1勝5敗、6連敗は避けてほしいと記した。

 結果は「最低でも」の2勝4敗、やはり菅野智之で勝てないと巨人は苦しくなる。9日の広島戦、1回に菊池涼介と鈴木誠也に浴びた一発が最後まで響いた。それでも打線の状態がひどい中でよく粘った。脚部の違和感から登録を抹消されての復帰でもあったが次につながるのではないか。ただ外角真っすぐが少なかったのは残念だ。スライダーやシュート、チェンジアップなどの変化球が多く交わそうとしていた。甘い球も結構あった。外角低めにズバッと決まる真っすぐが見たい。

 4番の一発が出るとチームは活気づく。11日、岡本和真が1回に今季1号となる中越え先制2ランを放った。フルカウントからの真ん中の真っすぐ、甘い球ではあったがしっかり対応した。

 岡本和は試合前まで打率.180、5打点、本塁打0だった。昨年の本塁打、打点の二冠王がもがいていたが、これは今後に向けても自信になったと思う。13日からの試合でどんな姿を見せてくれるか。評価が出る。巨人は前日、28年ぶりに12試合連続3得点以下のワースト記録に並んでいた。一ケタ安打も続いていた。主砲の一打が先制から中押し、そしてダメ押しと理想的な展開となった。今村信貴の完封勝利もあってなんとか「最低でも2勝4敗」にこぎつけた。

 5球団との対戦が一巡して6勝6敗3分けで、苦しいチーム状況に変わりはない。いまが一番苦しいのではと思う。新型コロナの陽性判定を受けて丸佳浩、中島宏之、若林晃弘、ゼラス・ウィーラーが離脱しており復帰までにはまだ時間がかかる。ベストメンバーが組めない。

 新外国人ジャスティン・スモーク内野手、エリック・テームズ外野手が2週間の隔離期間を経て近々チームに合流の見込みだというが外国人選手だけはふたを開けてみないとわからない。やってくれるとは思うのだが。

 レギュラーが2人離脱すると相当厳しくなる。巨人の得点源は坂本勇人、丸、岡本和の3人だ。看板である。この3人以外での得点は余禄と思った方がいい。本来、坂本と岡本和がカバーしなければならなかったが2人とも本調子とは遠かった。

 坂本にしても11日の広島戦で3安打と気を吐いたが調子が上向きとは言い難い。坂本が状態がいい時は下半身の切れで打っている。だが、いまはスイングに迫力がない。なんとか技術でごまかしている感じだ。もっとスイングに力強さがある。このへんをもっと見極める必要がある。

 原辰徳監督の誤算の1つはFAで移籍して来た梶谷隆幸の不振だろう。1番打者として期待したものの打率.153(11日現在)はあまりに寂しい。いまは6番に落ちている。追い込まれる前にボール球に手を出しては投手を助けている。しかも難しい球を振っている。相手だって何種類もの球種がある。勇気がいるが決め打ちが必要となる。この球を狙う。不振が続くとどうしても消極的になる。もっと思い切っていくことだ。

 巨人の現在(11日)のチーム打率は.218だ。リーグワーストである。原監督は打線のやり繰りに頭がいっぱいだろう。悪い時は打線全体でボール球に手を出しては凡打の山を築く。四球数も少なかったのではないか。本来、捕手で固定したい大城卓三を一塁で起用し、香月一也をスタメンで起用したりしている。でも香月に多くを期待するのは酷だ。打てばラッキーと思うしかない。現状、なんとかしのいでいくしかない。

 28年ぶりに12試合連続3得点以下のワースト記録。これを聞いてV9時代のことを考えたが、もちろんこんなに長く続いたことはなかった。そりゃ、村山(実)さん、小山(正明)さん、江夏(豊)といういい投手にはてこずったことはあるが、これほど長期に亘らなかった。もちろん、王(貞治)さん、長嶋(茂雄)さんがいたおかげだ。この2人、まず長いスランプはなかった。やはり頼りになるのは主軸だ。

 13日から中日(東京ドーム)、DeNA(横浜)と続く6連戦。前回は阪神、広島と好調なチームが相手だった。2勝4敗も仕方なかった。いまはとにかく3勝3敗の五分でいくことだ。

 カギを握るのはエース・菅野と主砲・岡本和である。踏ん張りどころ、我慢、我慢である。原監督の采配とともにチームの戦いぶりに注目したい。

柴田勲(しばた・いさお)
1944年2月8日生まれ。神奈川県・横浜市出身。法政二高時代はエースで5番。60年夏、61年センバツで甲子園連覇を達成し、62年に巨人に投手で入団。外野手転向後は甘いマスクと赤い手袋をトレードマークに俊足堅守の日本人初スイッチヒッターとして巨人のV9を支えた。主に1番を任され、盗塁王6回、通算579盗塁はNPB歴代3位でセ・リーグ記録。80年の巨人在籍中に2000本安打を達成した。入団当初の背番号は「12」だったが、70年から「7」に変更、王貞治の「1」、長嶋茂雄の「3」とともに野球ファン憧れの番号となった。現在、日本プロ野球名球会副理事長を務める。

デイリー新潮取材班編集

2021年4月13日 掲載

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