巨人、「スモーク」電撃退団の衝撃…閉塞感を打ち破るキーマンは誰だ?

巨人、「スモーク」電撃退団の衝撃…閉塞感を打ち破るキーマンは誰だ?

家庭の事情で電撃対談した巨人・スモーク

 セ・リーグ3連覇を目指す巨人に暗雲が立ち込めている。補強の目玉と見られていた大物メジャーリーガーだったが、テームズは故障で長期離脱となり、さらにスモークが家庭の事情を理由に電撃退団となったのだ。スモークは、ここまで34試合に出場して、7本塁打、14打点をマークするなど、持ち味の長打力を発揮していただけに、大きな痛手となることは間違いないだろう。得意にしていた交流戦でも9位に沈み、首位阪神との差は広がるばかりだ。果たしてここから巻き返すことは可能なのか。キーマンとなる選手を探ってみたい。


■キーマンは梶谷


 まず、野手のプラス要素は、坂本勇人と丸佳浩が復帰したという点だ。坂本は怪我、丸は不調から二軍での調整が続いていたが、6月18日の阪神戦では揃ってスタメン出場。坂本はノーヒットに終わったものの、丸は1安打1四球と持ち味である出塁率の高さを発揮している。この2人が揃ったことによって、マークが集中して苦しんでいた岡本和真の負担が小さくなり、さらに調子を上げていくことも期待できるだろう。

 この中軸3人を生かすためにも重要になってくるのが、その前後を打つ選手たちだが、もう1人大きなキーマンとなるのが新加入の梶谷隆幸だ。現在は故障で二軍調整中だが、ここまで3割を超える打率を残し、盗塁もチームトップの数字をマークしている。梶谷、松原聖弥という脚力のある選手がチャンスを作り、現在2番を打つことが多いウィーラーを6番に固定することができれば、得点力は確実に上がるはずだ。そういう意味でも、梶谷が一日でも早く万全の状態で復帰することが阪神追撃への大きな条件となるだろう。

 野手でもう一つポイントとなるのがセカンドをどうするかという点だ。吉川尚輝が6月10日のオリックス戦で、死球を受けて左手を骨折し、その後は廣岡大志、湯浅大、香月一也がスタメンに名を連ねているが、他にも若林晃弘、北村拓己、増田大輝、さらには6月17日に育成選手から支配下登録された平間隼人など候補となる選手は多い。彼らの中から一気にレギュラーを獲得するような選手が出てくれば、チームの閉塞感を打ち破ることにも繋がるはずだ。

 一方の投手陣では、やはり気がかりなのがエースの菅野智之だ。昨年は開幕から13連勝をマークし、MVPにも輝くなど見事な活躍を見せていたが、今年はコンディション不良から既に3度も登録抹消となっている。

 また、投球成績に関しても防御率こそ2点台とそれなりの数字を残しているが、2勝4敗と2つの借金を作り、ここ3試合の登板は全て5回以下で降板するなど、菅野らしくないピッチングが続いている。

 チームは急遽、山口俊を獲得したが、マイナーリーグでの成績を見ると大きな期待はかけづらい。高橋優貴や今村信貴、戸郷翔征などの中堅、若手は頑張っているとはいえ、やはりエースである菅野が調子を取り戻さなければ、阪神追撃はかなり困難と言わざるを得ないだろう。


■目立つ“マシンガン継投”


 投手陣でもう一つ気になるのが、リリーフ投手の起用法だ。抑えのデラロサ、セットアッパーの中川皓太が揃って不調ということもあるが、ブルペンにいる投手を矢継ぎ早に投入して、何とか目先を変えてしのぐ試合が増えているのだ。

 今シーズンは9回で試合が打ち切りとなり、どの球団も早めの継投に動きケースは多くなっているが、それにしても1イニングに何人もの投手を起用する巨人の“マシンガン継投”は目立っている。

 阪神がチームのセーブ数全てをスアレスが記録しているのに対して、巨人は7人もの投手がセーブをあげている。これは、いかに巨人が勝ちパターンを確立できていないかを物語っていると言えるだろう。実績やボールの力を考えると、デラロサが万全の状態で復帰するのが最も望ましい。仮に復帰が遅れたとしても、現在のような継投を続けるのはどう考えても望ましくない。1日でも早くブルペン陣を整備することが重要である。

 現在のチーム状況や勢いを考えると、阪神との差を埋めることは簡単ではないが、今年は東京五輪の影響で7月中旬から約1カ月間のシーズン中断を挟むことになっている。その期間に、故障者や調子の上がらない選手の調整に当てられるというのは例年との大きな違いである。

 戦力自体は、決して巨人が劣っているわけではなく、中心となる選手が復調すれば、阪神と互角以上に戦える可能性は高い。緊急補強という考えもあるかもしれないが、まずは、今回ピックアップしたチームの中心を担う選手たちが本来の力を発揮し、首脳陣はそれを最大限に生かす起用法に徹するというのが大きなポイントとなってくるだろう。

 早々にセ・リーグの灯を消さないためにも、王者・巨人のここからの巻き返しに期待したい。

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

デイリー新潮取材班編集

2021年6月20日 掲載

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