怪物1年生「佐々木麟太郎」のインパクトは大谷翔平以上 アマ球界“スラッガー候補”6人の横顔

怪物1年生「佐々木麟太郎」のインパクトは大谷翔平以上 アマ球界“スラッガー候補”6人の横顔

花巻東・佐々木麟太郎。高校通算22本塁打を放ち、スイングの迫力は高校生離れしている(写真提供:プロアマ野球研究所)

■将来メジャーでも……


 2021年の野球界最大のニュースといえば、やはり大谷翔平(エンゼルス)の活躍になるだろう。投手としてローテーションを守りながら前半戦だけで松井秀喜(元ヤンキースなど)の持っていた日本人最多本塁打を上回る33本塁打を放ち、先日行われたオールスターゲームでは、先発投手と指名打者の両方で出場するという前人未到の快挙を成し遂げた。

 コロナ禍によって昨年から暗い話題が続く中で、大谷の活躍が楽しみという日本人は非常に多いはずだ。大谷ほど高いレベルで二刀流をこなす選手は、そう簡単には出てこないと思われるが、バッティングに関しては続く選手が出てくることは十分に期待しても良いのではないだろうか。そこで今回は、将来メジャーでホームランを量産する可能性を秘めたスラッガー候補で、将来有望なアマチュア選手を取り上げたい。


■パワーに疑いなし


 今年の高校生野手で、長距離砲という意味で、最も高い注目を集めている選手と言えば阪口樂(岐阜第一)になる。昨年夏に行われた岐阜県の代替大会では4試合で4本のホームランを放っているが、特に帝京大可児戦で放った左中間とライト中段への2本は、どちらもとても高校生とは思えないような当たりだった。

 新チームになってからは、不動のエースも任されて投手としての負担が大きいことから淡白な打撃が目立つものの、そのパワーに関しては疑いようのないものがある。今夏の岐阜大会は四回戦で敗退し、ホームランが出なかったが、プロからの評価は引き続き高い。野手に専念した時に、打者としての素質が一気に開花することを期待したい。

 同じ高校生で長距離砲の素材として楽しみなのが有薗直輝(千葉学芸)と吉野創士(昌平)の2人だ。有薗は、高校生の中に1人だけプロが混ざっているかと思わせるような堂々として体格で、そのパワーは圧倒的なものがある。コロナ禍で試合が少ない中でも、高校通算70本塁打を放っている。残念ながら、今夏の千葉大会は4回戦で敗退して、甲子園出場は逃した。高校生の強打者らしい粗さはあるものの、プロでみっちり鍛えたくなる素材だ。

 一方の吉野は、有薗や阪口に比べると細身とはいえ、リストの柔らかいスイングで遠くへ飛ばすコツを持っている。軽く振っているようでも飛距離が出るのが長所で、体ができてくれば、さらなるスケールアップも期待できるだろう。


■甘いボールを逃さない集中力


 大学生でナンバーワンの長距離砲と見られているのが正木智也(慶応大)だ。高校時代から神奈川県内では評判のスラッガーだったが、大学進学後も順調に成長している。

 今春のリーグ戦では4本のホームランを放つと、続く大学選手権でも4試合で2本塁打をマークしてチームを優勝に導き、自身もMVPに輝いた。少しバットが外回りするため、内角の速いボールには課題が残るが、甘いボールを逃さない集中力と圧倒的な飛距離は大きな魅力である。右の強打者タイプが不足している球団にとっては垂涎の存在と言えるだろう。

 大学生でもう1人面白い存在なのが、梶原昂希(神奈川大)だ。所属する神奈川大学リーグでは、1年春から活躍している左の大型野手で、リーグ戦通算11本塁打を誇る。好不調の波が大きく、まだまだ脆さはあるものの、ライトだけでなくレフト方向にも放り込むことができる。180cmを超える大型選手で、抜群の脚力を誇り、外野手としての総合力が高い。確実性がアップしてくれば、柳田悠岐(ソフトバンク)のような選手になれる可能性を秘めた存在だ。

 そして、最後に紹介したいのが大谷の後輩にあたる、佐々木麟太郎(花巻東1年)である。入学直後からファーストの定位置を獲得するとホームランを連発。夏の岩手大会では惜しくも決勝で敗れて甲子園出場は逃したものの、5試合で2本のホームランを放ち、存在感を見せつけた。

 高校通算本塁打は、今夏の岩手大会終了時点で既に22本を数え、183cm、117kgという堂々とした体格で、そのスイングの迫力は既に高校生離れしている。菊池雄星と大谷が1年夏につけていた出世番号である17番を背負い、チームの指揮を執る佐々木洋監督の長男ということも注目を集める要因となっているが、1年夏に残したインパクトという意味では大谷以上のものだった。近い将来、菊池、大谷とともにメジャーの舞台を沸かせるようなスラッガーに成長することも十分に期待できるだろう。

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

デイリー新潮取材班編集

2021年7月26日 掲載

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