高校時代は全くの無名…大化けの可能性を秘めた大学生7人の「ドラフト候補」

高校時代は全くの無名…大化けの可能性を秘めた大学生7人の「ドラフト候補」

完成度こそ低いものの、スケールの大きさが魅力の金沢学院大・松井友飛(写真提供:プロアマ野球研究所)

■スケールの大きさが魅力


 10月11日に開かれるドラフト会議がいよいよ迫ってきた。大きくクローズアップされるのは、もちろん上位指名が予想される選手だが、下位指名や育成指名のなかでも、大化けの可能性を秘めた選手は誰なのか、楽しみな野球ファンも多いだろう。前回の高校生編に続き、今回は大学生のドラフト候補のなかで、将来性がある有望株を探ってみたい。

 まず、投手で完成度こそ低いものの、スケールの大きさが魅力なのが、松井友飛(金沢学院大)だ。石川県立穴水高校時代はエースだったものの、部員数も少ないチームだったこともあって在学中の公式戦では1勝もしていない。しかし金沢学院大に進学後、急成長を遂げて、1年秋からチームの主戦に定着。2年秋には明治神宮大会に出場している。

 大学生にしてはまだ細身だが、190cmの長身で、高い位置から投げ下ろす豪快な腕の振りが特長。体は大きくても、フォームに躍動感がある。下級生の頃は140キロ程度だったストレートは、今年に入って最速151キロをマーク。大幅に球速がアップしており、まだまだ速くなりそうな雰囲気がある。変化球のコントロールや投球術などに課題が残るため、指名があったとしても下位になりそうだが、ポテンシャルの高さは大学生投手の中で上位である。


■左打者にとっては打ちづらい投手


 同じ右投手では、権田琉成(明星大)も面白い。松井とは違い、強豪の上田西出身だが、故障もあって高校時代の実績はなく、首都大学野球の二部に所属する明星大へ進学。大学でも主戦となったのは今年から。春のリーグ戦では、チームを優勝に導き、一部で最下位となった武蔵大との入れ替え戦でもチームは1勝2敗で昇格こそ逃したものの、権田自身は完封勝利をマークして、その実力を見せた。

 ストレートの迫力は松井には劣るが、コンスタントに140キロ台中盤をマークするスピードがあり、カーブやカットボールなど変化球のコントロールも安定している。秋季リーグの開幕戦では、二部ながら5球団のスカウトが視察に訪れており、プロ側の注目度が高い。大学4年になって成長曲線が急になってきたという点もプラス要因と言える。

 サウスポーで面白いのが、佐藤琢磨(新潟医療福祉大)だ。新潟青陵高校では目立った実績はなく、地元の新潟医療福祉大に進学。大学でも2年まではリーグ戦での登板はなく、3年秋にようやくデビューを果たした遅咲きの投手である。今年の春も先発は1試合で主にリリーフでの登板だったものの、最速148キロをマークするなど大きく成長。183cmの長身で、少し肘を下げたフォームから投げ込むボールは独特の角度があり、特に左打者にとっては打ちづらい投手と言える。新潟医療福祉大では、エースの桐敷拓馬がスカウト陣の注目を集めているが、佐藤がスケールの大きさで上回っているように見える。桐敷をチェックしながらも、佐藤を狙っている球団も多いはずだ。

 他の投手では、高比良駿(近大産業理工学部)や富田龍(四国学院大)なども悪い癖のないフォームから145キロを超えるストレートを投げ込んでおり、大化けの可能性を秘めた好素材である。


■大学でも上級生になってから急成長


 一方の野手で、安田悠馬(愛知大)は長距離砲の素材として面白い。須磨翔風高校では全国的に無名だったが、愛知大進学後は1年からレギュラーを獲得。1年秋には、当時名城大のエースだった栗林良吏(広島)からホームランを放っている。2年以降は二部でプレーしているが、持ち味である長打力を順調に伸ばしてドラフト戦線に浮上してきた。185cm、105kgという巨漢で、とにかく遠くへ飛ばすパワーが持ち味。今年に入ってからは捕手に挑戦し、肩の強さも見せている。地元中日をはじめ、長距離砲の素材を求める球団は多いだけに、上位指名ではなくても、水面下では激しい駆け引きが行われることになりそうだ。

 捕手で高い守備力で注目されるのが、大友宗(帝京大)だ。上級生に塚畝諒(三菱重工West)、後藤将太(JFE西日本)と力のある捕手がいたこともあって、4年春にようやく正捕手の座をつかんだ。速くて正確なスローイングは大学球界でもトップクラス。2.0秒を切れば、強肩と言われるセカンド送球のタイムはコンスタントに1.8秒台をマークし、実戦でのコントロールも安定している。打撃は、アウトステップ気味で外の変化球に弱く、確実性には課題が残るものの、たくましい体格を生かしたスイングは迫力があり、遠くへ飛ばす力は申し分ない。下位で狙える捕手として、リストアップしている球団も多いだろう。

 今回紹介した7人は高校時代の実績はなく、大学でも上級生になってから急成長してきたという点も共通している。まだまだこれからのレベルアップも十分期待できる。下位や育成での指名であってもプロ入り後のプレーにぜひ注目してもらいたい。

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

デイリー新潮取材班編集

2021年10月6日 掲載

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