期待を大きく裏切った巨人「野間口貴彦」…「ドラフトの目玉選手」は結局プロで成功したのか?

期待を大きく裏切った巨人「野間口貴彦」…「ドラフトの目玉選手」は結局プロで成功したのか?

日米通算勝利数が181勝と素晴らしい成績の田中将大(楽天)

■目玉選手が期待通りでは……


 10月11日に運命のドラフト会議が開かれる。今年は、昨年に比べると、明らかな目玉選手が不在な状況で、各球団がどのようなドラフト戦略を展開するのか、例年以上に注目されている。過去のドラフトを振り返ってみると、入団前の目玉選手がそのままプロでも期待通りの活躍を見せているケースばかりではない。

 今回はある程度、結果が見えた2000年代(2000年〜09年)のドラフトについて、各年でナンバーワンの評価を受けていた選手が、どの程度の結果を残しているのか、また。最終的に最も成功を収めた選手が誰だったのかを振り返ってみたい。

 毎年、ドラフト会議の中継で解説を務める筆者が選出した、「入団前No.1」(入団前の評価が最も高かった選手)と「入団後No.1」(入団後に最も好成績を残した選手)の成績を一覧表(最後に記載)にまとめている。これに沿って話を進めていく。


■8年間一軍のマウンドに上がらず


 まず、ドラフトの目玉選手が入団後も好成績を残した例をみると、和田毅(ソフトバンク)と田中将大(楽天)が挙げられる。和田は2010年に17勝、田中は2013年に24勝を挙げて、それぞれチームの優勝に貢献してMVPを獲得。日米通算勝利数は和田148勝、田中が181勝(10月8日時点)と素晴らしい成績を残している。

 だが、その他の年では、プロ入り前の評価と比べて、入団後の成績が伴っていない選手が散見される。ポジション別にみると、投手でドラフトの目玉と見られていた選手が意外に成功していない。

 2000年にダイエーから2位指名を受けた山田秋親は、立命館大時代にはシドニー五輪に出場した。プロ入り後も一年目から二桁勝利は期待できると言われていたが、癖で球種を見抜かれるという弱点が露呈。その改善に取り組むもフォームを崩してしまい、実働8年で16勝(11敗)という成績でプロ生活に終止符を打っている。

 04年のドラフトでは、ナンバーワンの評価を受けていた野間口貴彦は、巨人自由枠で入団した。ルーキーイヤーの05年に4勝をあげるものの、これがキャリアハイだった。実働8年間で13勝(12敗)というのは、あまりに寂しい成績だ。

 同じく巨人では、辻内崇伸が大阪桐蔭時代に夏の甲子園で156キロをマークして、05年の高校生ドラフト1巡目で指名された。しかし、度重なる故障に苦しみ、在籍8年間で一軍のマウンドに上がることがないまま、ユニフォームを脱いでいる。

 2010年代以降も、斎藤佑樹(日本ハム)らと“早大3羽ガラス”と呼ばれた大石達也(10年西武1位)や、菅野智之(巨人)や野村祐輔(広島)とともに「大学ビッグ3」と注目された藤岡貴裕(11年ロッテ1位)は、期待された結果を残すことができず、球界を去っている。通算成績は、大石が実働7年間で、5勝6敗8セーブ12ホールド防御率3.64、藤岡が実働9年間で、21勝32敗16ホールド防御率4.14と結果を残せなかった。フォームの癖や故障がダイレクトに選手生命に響くため、やはり投手のリスクは大きいと言える。


■鳥谷は6度のベストナイン、5度のゴールデングラブ


 その一方、野手では、ドラフトの目玉選手が成功している例が目立つ。03年の阪神自由枠で指名された鳥谷敬(現ロッテ)は、遊撃手として6度のベストナイン、5度のゴールデングラブをそれぞれ受賞し、阪神の看板選手としてチームを支えてきた。17年に2000本安打をクリアするなど、大成功の部類に入るだろう。

 07年では、日本ハムの高校生ドラフト1巡目で指名された中田翔(現巨人)が最も入団前の評価が高かった。この年は、丸佳浩(現巨人)が広島に高校生ドラフト3巡目で指名されている。二人の通算成績を見比べると、丸が上回っているとはいえ、中田は「入団前No.1」として十分な活躍をしている。

 逆に、「入団後No.1」選手の顔ぶれを見てみると、一番順位が低いのは青木宣親(ヤクルト)の4巡目で、やはり全員がそれなりの高い順位で入団している。千賀滉大(10年ソフトバンク育成4位)のような例は、確かに会心の指名かもしれないが、やはり、ある程度の高い評価でプロ入りする選手が歴史に名を残す可能性は高いことが分かる。

 少し話はそれるが、02年と03年の和田、鳥谷、青木というトリオがいた早稲田大は見事という他ない。この期間、リーグ戦では4連覇を達成しており、田中浩康(03年ヤクルト自由枠)、武内晋一(05年ヤクルト希望枠)も上位でプロ入りを果たし、チームの戦力となった。勝ちながら選手を輩出する大学野球の歴史に残るチームだったことは間違いないだろう。


■他球団の主力をFAで獲得する巨人


 球団別で活躍度をみていくと、気になるのが巨人だ。前述したように野間口、辻内が期待通りに成功せず、大田泰示も才能が開花したのは日本ハムに移籍した後だった。その後、菅野智之(12年ドラフト1位)は期待通りエースに成長したが、毎年のように他球団の主力をFAで獲得していることもあって、目玉選手が入る環境としては厳しいと言わざるを得ない。

 冒頭でも触れたが、今年は例年以上に先が見えづらいドラフト戦線となっている。10年後に振り返った時に果たしてどのような結果になっているのか。今回挙げた例のような視点から占ってみるのも、ドラフトの楽しみといえるのではないだろうか。


■入団前No.1、入団後No.1


【2000年】
入団前No.1:山田秋親(立命館大→ダイエー2位※逆指名)
126試合 16勝11敗1セーブ2ホールド 防御率4.76

入団後No.1:内川聖一(大分工→横浜1位)
2015試合 2182安打196本塁打959打点41盗塁 打率.302

【2001年】
入団前No.1:寺原隼人(日南学園→ダイエー1巡目)
303試合 73勝81敗23セーブ12ホールド 防御率3.88

入団後No.1:中村剛也(大阪桐蔭→西武2巡目)
1859試合 1636安打439本塁打1269打点26盗塁 打率.256

【2002年】
入団前No.1&入団後No.1:和田毅(早稲田大→ダイエー自由枠)
309試合 148勝82敗 防御率3.20 ※日米通算

【2003年】
入団前No.1:鳥谷敬(早稲田大→阪神自由枠)
2243試合 2099安打138本塁打830打点131盗塁 打率.278

入団後No.1:青木宣親(早稲田大→ヤクルト4巡目)
2219試合 2583安打168本塁打832打点268盗塁 打率.309 ※日米通算

【2004年】
入団前No.1:野間口貴彦(シダックス→巨人自由枠)
111試合 13勝12敗1セーブ9ホールド 防御率4.57

入団後No.1:ダルビッシュ有(東北→日本ハム1巡目)
379試合 172勝105敗1ホールド 防御率2.79  ※日米通算

【2005年】
入団前No.1:辻内崇伸(大阪桐蔭→高校生ドラフト巨人1巡目)
一軍出場なし

入団後No.1:松田宣浩(亜細亜大→ソフトバンク希望枠)
1861試合 1808安打301本塁打981打点133盗塁 打率.266

【2006年】
入団前No.1&入団後No.1:田中将大(駒大苫小牧→高校生ドラフト楽天1巡目)
369試合 181勝88敗3セーブ 防御率2.94 ※日米通算

【2007年】
入団前No.1:中田翔(大阪桐蔭→高校生ドラフト日本ハム1巡目)
1486試合 1359安打263本塁打955打点14盗塁 打率.249

入団後No.1:丸佳浩(千葉経大付→高校生ドラフト広島3巡目)
1459試合 1443安打219本塁打753打点165盗塁 打率.279

【2008年】
入団前No.1:大田泰示(東海大相模→巨人1位)
765試合 639安打75本塁打308打点29盗塁 打率.261

入団後No.1:浅村栄斗(大阪桐蔭→西武3位)
1505試合 1557安打227本塁打900打点71盗塁 打率.283

【2009年】
入団前No.1:菊池雄星(花巻東→西武1位)
228試合 88勝70敗1セーブ 防御率3.14 ※日米通算

入団後No.1:筒香嘉智(横浜高→横浜1位)
1100試合 1058安打221本塁打669打点5盗塁 打率.277 ※日米通算

※現役選手の成績は10月8日現在

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

デイリー新潮取材班編集

2021年10月10日 掲載

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