新庄ビッグボスのヤバい采配3つ 評論家が指摘する「勝てないことより余程気になること」とは

新庄ビッグボスのヤバい采配3つ 評論家が指摘する「勝てないことより余程気になること」とは

新庄剛志監督

 東スポWebは4月13日、「日本ハム今季初連勝の要因は『正攻法』か 新庄監督“奇策なし”で快勝」の記事を配信した。

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 日本ハムのBIGBOSSこと新庄剛志監督(50)は選手より高い人気を誇り、その一挙手一投足が話題を呼んでいるのはご存知の通りだ。

 ところが、である。肝心の人気を疑問視する報道も出てきている。

 例えば、日刊ゲンダイDIGITALは4月12日、「勝てない日ハムは本拠地も閑古鳥…朗希と誠也に話題さらわれ“新庄フィーバー”も下火に」の記事を配信した。

 東スポが指摘する「奇策」や、日刊ゲンダイなど複数のスポーツメディアが注目する「新庄監督の意外な不人気」については、後で詳述する。

 まずは日ハムの成績を改めて確認しておこう。4月18日現在、日ハムは18試合で6勝12敗。パリーグの最下位となっている。担当記者が言う。

「開幕から5連敗を喫し、3月31日の西武戦(札幌ドーム)でようやく今季初勝利を挙げました。そんな調子で借金6となっているわけですが、ネット上では新庄監督を擁護する意見が大勢を占めています。『あまりに戦力が足りない』と同情する声が圧倒的です」


■意外な観客動員数


 成績については擁護する一方で、SNSでは「プロ野球を盛り上げてほしい!」、「人気球団になると思う」と、新庄監督によるチームの活性化、興行価値のアップを期待する声は今でも根強い。

 にもかかわらず、肝心の興行価値が、しかも最も重要な札幌ドームでの観客動員が、伸び悩んでいる。日刊ゲンダイは次のように報じた。

《「目先の1勝より、今後の成長」と言う新庄剛志監督(50)の方針が影響しているのかどうか、本拠地での観客動員数は芳しくない。札幌ドームは観客上限目安を2万人に設定しているとはいえ、9、10日は土日のデーゲームにもかかわらず、観客は9日は1万3994人で、10日も1万2141人。平日のナイター(6試合)はすでに3度も1万人を下回っている》

「日刊ゲンダイは、既に野球ファンの関心は大谷翔平(27)や鈴木誠也(27)といったメジャー組に移ってしまったのではないかと指摘しました。そして観客を球場に戻す方法は、北海道のファンに手に汗握る好ゲームを見せることしかないと結論づけています」(同・記者)


■昨年と戦力は同じ


 2022年のパリーグは143試合。もし今のペースで日ハムが負け続けると、90敗といった数字も導き出される。

「極端なケースとはいえ、あり得ない数字ではありません。1961年のパ・リーグでは、近鉄バファローが140試合で103敗を記録しました。優勝した南海ホークスとのゲーム差は51・5という、もの凄い数字が残っています。ちなみにワースト2位は1955年のセ・リーグで、大洋ホエールズが130試合で99敗、3位は同じく1955年のパ・リーグで、トンボユニオンズが141試で98敗、翌1956年にもトンボから改名した高橋ユニオンズが154試合で98敗しました。こうした記録はセリーグで阪神の負けが込んでいるため、最近になって注目を集めています」(同・記者)

 野球解説者の広澤克実氏は、「プロ野球ファンの間では日ハムの戦力が話題ですが、昨シーズンに比べて著しく弱くなったわけではありません」と言う。

「昨年8月には中田翔くん(32)が巨人に移籍。12月には西川遥輝くん(29=楽天)と大田泰示くん(31=DeNA)が自由契約になりました。戦力ダウンのイメージを持つファンも少なくないかもしれませんが、3人は打てていませんでした。つまり、新庄監督の力量を判断する材料としては、昨季のチーム成績を参考にして問題ないのです」


■野村監督は育成に成功


 2021年の日ハムは55勝68敗22分で、借金は13という成績だった。大まかな見取り図として、今シーズンが終了した際、借金が13より少なければ、選手や新庄監督は評価されることになる。

 逆に借金が増えていれば、指揮官として責任を負う新庄監督の評価は下がるはずだ。しかし、チーム事情によっては、「今年は勝ち負けより育成を優先」という考えで臨んでも不思議ではない。

「野村克也さん(1935〜2020)が楽天の監督を務めていた時期が参考になると思います。球団が創設された2005年に38勝97敗1分、借金59という大敗を喫したチームを引き継いだ野村監督は、まずは育成を最優先にしました。その結果、06年は47勝85敗4分、借金38と低迷してしまいましたが、07年は67勝75敗2分で借金8とチームの強化に成功。08年は65勝76敗3分で借金11でしたが、09年は77勝66敗1分、貯金11と勝ち越しを決めたのです」(同・広澤氏)

 広澤氏は「今の日ハムで気になる点は成績ではありません。チームの根本方針が見えないことです」と言う。

「『100敗してもいいから育成を重視する』というわけでもなさそうですし、『現状の戦力でとにかく勝ちに行く』という姿勢が伝わってくるわけでもありません。新庄監督はどういうチームにしたいのか、なかなかビジョンが伝わってきません」


■スタメンの問題


 そして奇策に関しては、やはり広澤氏も違和感を覚えているという。具体例として、3つの場面を挙げてもらった。

 日付が古い順からご紹介しよう。第1点目は3月29日、西武戦(札幌ドーム)に0−4で敗れ、開幕4連敗を喫した時のことだ。

 東スポWebは翌30日、「日本ハム・新庄監督『空中浮遊』しても…4連敗で強まる逆風 打順“形骸化”で深刻な得点枯渇」の記事を配信した。その中からポイント部分を引用させていただく。

《打線がつながらない要因としては毎試合、試合開始の直前にならなければスタメンが分からない“ビッグボス方式”がある。新庄監督はその意図を「スタメンで出る気持ちは違う。練習でもスタメンと聞いての練習の姿はやっぱり違う。だから(練習前に)言いたくないんですよ。早くスタメンを言ってしまうと練習で『あ、今日はオレ、スタメンじゃないや』という気持ちになると思うから」と説明》

 広澤氏は「選手に『緊張感を持て』という新庄監督の考えが理解できないわけではありませんが、やはり理想論だと思います」と言う。


■“シャッフル”の弊害


「当然ながら、プロ野球選手も人間です。常に緊張を保つことは不可能です。前の日にスタメンから外されれば、『今日もベンチだろうな』と考えるのは自然なことでしょう。新庄監督の言う『常に緊張感を持つ』メリットより、いきなりスタメンに指名されて慌ててしまうというデメリットのほうが大きいのではないでしょうか」(同・広澤氏)

 おまけにスタメンに選ばれても、選手は安閑としてはいられない。新庄監督は打順も守備位置も無視してオーダーを発表することが珍しくないからだ。

「これも野手の負担が大きすぎます。打順によって、試合前の準備は全く違います。1番バッターと4番バッター、8番バッターでは、ルーティンが異なるのが普通です。そのため、野手のスタメンは固定化するのが理想なのです。打線が不振に陥っても我慢して使い続け、打順も変えない監督がいます。ファンの方々にはストレスが溜まるでしょうが、スタメンの固定化にはそれなりの理由があるのです」(同・広澤氏)


■カウント3−0の問題


 第2点目は4月8日の楽天戦(札幌ドーム)だ。この試合は0−3で敗れた。

 日テレNEWSは同日、「清宮またも『ノースリー』から振らず BIGBOSSは首かしげる」の記事を配信した。

《9回2死、日本ハムの清宮幸太郎選手が、3ボールノーストライクからの4球目のボールを振らず見送ると、その後追い込まれ三振を喫しました》

《清宮選手は5日のロッテ戦でも7回1死満塁のチャンス場面。3ボールノーストライクと優位な状況で、4球目のストレートを見送り、最後はキャッチャーフライで凡退。その際、BIGBOSSは「俺は君を信じて打てのサインを出しているんだから、それを割り切って、バチーンと捉えてきなさい」と清宮選手に厳しいコメントを残していました》

 広澤氏は「3−0からの4球目をどうしても振れないというバッターは、意外に少なくないのです」と言う。

「4球目を打って凡打に終わり、それ以来バットを振れなくなったなど理由は様々ですが、苦手にしている打者はいます。3−0からの4球目を打つのは苦手だと一度認識してしまうと、緊張してしまって体がうまく動きません。監督が『打ってもいい』というサインを出すのは問題ありませんが、『打て』と命じるのは良くないと思います」

 3−0からの4球目を振るのが苦手な打者の場合、たとえ「打て」のサインでバットを振ってもフォームが崩れてしまい、凡打に終わる可能性が高い。

「凡打ならアウトですが、見送っても3−1で、まだまだバッター優位のカウントです。新庄監督は現役時代、3−0からの4球目を打つのは得意だったのかもしれません。ただ、指導者が選手に強要してはいけません」(同・広澤氏)


■ファウルの捕球問題


 第3点目は4月9日の対楽天戦(札幌ドーム)だ。この試合も5−8で敗れたが、広澤氏が注目したのは、万波中正(22)がファウルを捕球し、3塁ランナーのタッチアップを許した場面だ。

 同日に配信された日刊スポーツ(電子版)の記事「【日本ハム】半世紀ぶりの“負の記録”迫るも新庄ビッグボス『暗くないよ、暗くないよ』」から引用する。

《1−4と、3点を勝ち越された直後の3回1死三塁。明らかなファウルフライを、右翼手の万波が捕球。三塁走者がタッチアップし、5点目を許した場面だ。(編註:新庄監督は)「今日はスローイングが良かった」と、難点の修正を褒めた一方で「でも、あのファウルは、捕ったらイカンやろ」。指示は「ファウルは捕るな」だったが「難しいところだけど、オレなら捕球しないかな」。万波は「自信を持って判断できなかった。ライン際の距離感を、もっと勉強しないと」と、反省した》

「どういう状況ならファウルを取るのか、どういう状況なら取らないか、強いチームほどシーズン前に徹底して練習を繰り返します。記事によると、新庄監督は『捕るな』と指示していたようですが、選手の頭ではなく体にしみ込ませるのが監督の仕事です。厳しい言い方をすれば、新庄監督は記者の前で万波くんを責めるのではなく、自分の指導力不足を口にすべきだったと思います」(同・広澤氏)


■新庄監督と長嶋監督


「選手より監督が目立っては駄目」という考えを持つ野球人は少なくない。そして、新庄監督が選手より目立っているのは言うまでもない。

 2012年10月9日、広島と阪神で活躍した金本知憲氏(54)の引退試合が行われた。試合後のセレモニーで金本氏は、対戦相手のDeNAの選手に向かい、異例の発言を行った。

《DeNAベイスターズのみなさん。今日は、自分の引退セレモニーに参列していただき、ありがとうございます。DeNAベイスターズは今年、中畑新監督を迎え、チームの雰囲気もガラッと変わり、常に注目されるシーズンとなりました。しかし、一番目立っているのは監督でした。選手の皆さん、選手より監督が目立つようではだめだと思います。監督より選手が目立つことを、中畑監督は望んでいると思います》(註)

 名将と呼ばれた野村克也氏も、巨人の原辰徳監督(63)を「監督の“器”を感じない。選手よりも目立とうとするし、采配をめぐってよく動こうとする」と批判したことがある。

 広澤氏はヤクルトで野村氏、巨人で長嶋茂雄氏(86)、阪神で星野仙一氏(1947〜2018)と3人の監督の元でプレーした。

 3人とも見方によっては「選手より目立つ監督」だった。特に長嶋監督は自由奔放な発言などから、新庄監督と似たタイプだと言われることも珍しくない。


■“直感野球”は本当か?


 1996年の日本シリーズは巨人とオリックスで戦われた。同年10月11日、日刊スポーツは「巨人 きょうから日本シリーズ練習を開始 長嶋監督、データ捨て直感勝負」の記事を掲載した。

《「データ重視は二流半のやる野球」という方針でリーグ優勝を成し遂げた長嶋監督は、日本シリーズでもそれを貫く構えだ》

《データに頼ればデータにおぼれる。論理的思考を優先させるより、直感や感性を重視する野球が長嶋野球の特徴でもある》

 広澤氏は「確かに長嶋監督は直感というか、抜群のインスピレーションでチームを勝利に導いたことが何度もありました」と言う。

「とはいえ、長嶋監督がデータをしっかり見ていたのも間近で見ています。長嶋監督といえば奇想天外な言動が有名ですが、監督としては非常にオーソドックスな指揮を執り、パフォーマンスは皆無と言ってよかったと思います。データをチェックし、選手一人ひとりの状態をしっかり確かめた上で、必要に応じて直感的な指示を出すことがあった。これが本当のところでしょう」


■最悪の結末


 新庄監督はいつまで“奇策路線”を続けるのか。この問題は当分の間、野球ファンの間で議論を呼ぶだろう。

 だが、冒頭で振れた日刊ゲンダイの記事のように、プロ野球の球団関係者は観客動員の問題を注視しているようだ。

「実は日ハムのキャンプやオープン戦を取材した際、ファンの姿が少なかったことは印象に残っていました。それでも開幕後はファンが詰めかけるだろうと思っていたので、意外な結果に驚いています。ひょっとすると、SNSなどで新庄監督を支持している方々は、プロ野球ファンなのは間違いないでしょうが、日ハムファンではないのかもしれません。北海道のファンの皆さんは、新庄監督の評価を保留している可能性もあります」(同・広澤氏)

 まだシーズンは始まったばかりだ。広澤氏は「パフォーマンスだけでなく新庄監督の“野球観”を選手に伝えてほしいですね」と言う。

「新庄監督は1年契約ですが、最近は2年契約を前提とした発言が目立ちます。その通りなら、再来年でチームを去るのでしょう。その時、若手も育たず、チームは低迷し、コアなファンすら離反するというのが最悪の結果です」


■新庄監督の野球観は?


 広澤氏は、野村氏も星野氏も暇さえあれば本を読んでいたことが印象に残っているという。

「お二人とも、特に『論語』や『孫子』を何度も読み返していました。財界人との対談で組織論について語り合うことも多かったので、私たち選手に『チームは組織としてどうあるべきか』、『選手は組織の一員としてどう行動すべきか』、『野球人として、長い人生をどう生きていくか』ということを教えてくれました。私たちOBにとっては掛け替えのない財産です。新庄監督も、そんな指導者に成長してくれるよう心から願っています」

註:金本引退スピーチ全文(日刊スポーツ・2012年10月10日)

デイリー新潮編集部

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