菅野智之は主食と副食が逆…入団当時を思い出してもらいたい【柴田勲のセブンアイズ】

菅野智之は主食と副食が逆…入団当時を思い出してもらいたい【柴田勲のセブンアイズ】

阪神戦で険しい表情を見せるエース・菅野

■唯一の負け越しカード


 巨人が阪神に3連敗を喫した。今季初の3連敗であり、本拠地・東京ドームで阪神に3連敗を食らったのは9年ぶりだ。

 前回、甲子園の対決(4月15日〜17日)では連敗しながらも3戦目を勝って3タテを免れたが今回はそういかなかった。これでこのカードは4勝5敗、あとの4球団には勝ち越している。唯一の負け越しとなった。

 阪神は開幕戦での7点差逆転負けが尾を引いて一時勝率がひどい時には0割6分3厘だった。でも、もともと力があるチームだけにグッと持ち直してきた。6連勝したが、4試合が逆転勝ちだ。

 エース・菅野智之と主将・坂本勇人の出場選手登録抹消が追い打ちをかけた。阪神3連敗とともにダブルショックだ。

 前回の今コラムで菅野の投球にこのままではダメだと指摘した。4月29日に先発したが3回に緊急降板した。右ヒジに違和感を訴えて即抹消となった。
 
 この試合で菅野は3回2死一塁から佐藤輝明に特大の先制弾を浴びた。高めの真っすぐだった。右翼席上のバルコニー席まで打球が飛んで行った。球威がなかった証拠だ。
 
 この一発が3連勝の呼び水となった。佐藤は以前と比べてボール球を振らなくなった。ますます怖い存在になってきた。

 加えて言うと、3戦目の1日に先発した阪神の西純矢は実によかった。打てるものなら打ってみろといった気迫があった。巨人の打者を攻めていた。なによりコントロールがいい。7回を1失点、四死球1、早めに追い込んでフォーク勝負が効いた。四球を出さない。投手の第一条件だ。


■真っすぐがあってこそ変化球が生きる


 菅野に戻る。何度か指摘したが投球の基本は外角低めの真っすぐとカーブだ。だが、投球の主体がスライダー、フォーク、カットボールといった変化球になっている。
 
 主食と副食が逆になっている。真っすぐがあってこそ変化球が生きる。いまの投球スタイルだとどうしてもヒジが下がる。疲れる。負担がかかる。故障につながる。

 もともとそういう投げ方だったらいいがオーバーハンドの投手だ。年齢的なものではないと思う。入団当時を思い出してほしい。また出てきても同じことの繰り返しになる可能性がある。

 坂本は30日、7回1死一塁の守備でゴロを処理した際に両膝を地面に打った。8回の守備から途中交代したが「右ヒザ靭帯損傷」と診断された。痛そうな表情をしていたが、それほどではと見ていた。よほど強く打ったのかもしれない。

 早く戻って来てほしいが膝の故障だ。攻守に大きな負担がかかる。2、3日での復帰は無理と判断しての抹消となった。完治に相当な時間がかかることも考えられる。精神的な支柱でもあるリーダーの不在は痛いには痛いがここでショボンとしていてはダメだ。


■最初の踏ん張りどころ


 長いシーズンでは好不調の波がある。今回は投打の主力二人の離脱とあって最初の踏ん張りどころだ。要は大きな波にするか、それとも小波にとどめるかだ。

 野手では吉川尚輝と主砲・岡本和真が中心となって若手がチームを引っ張る形にしてほしい。坂本の抜けた穴をオレたちで埋める。

 空元気でいい。意気込みが大事だ。ベンチに活気が出て観客にも伝わる。
 
 中山礼都や八百板卓丸の昇格はその一環だろうし1軍に上がってラッキーの選手だ。中山は初の昇格で高卒2年目、遊撃がメインで春季キャンプは1軍だった。昨年はファームで3割をマークした。出番を狙っているに違いない。

 1日は「2番・遊撃」で廣岡大志を起用した。今後は吉川尚が遊撃で二塁に若林晃弘の布陣がありそうだ。湯浅大は22歳、二遊間の守備に定評があり足も使える。若手に出場機会が増える。チャンス到来だ。

 投手陣も同じだ。戸郷翔征、赤星優志、山崎伊織、阪神3連戦では出番がなかったが、(翁田)大勢ら若手投手陣がこれまで以上に巨人の浮沈のカギを握る。若い投手、もっと出てこいである。


■大波になるか、小波で静まるか


 幸い、菅野が抜けてもマット・シューメーカーが好調を維持している。30日の試合では勝ち負けが付かなかったが6回を2失点とまとめた。被安打4で1四死球、高めにボールが浮くシーンがたびたびあったものの、それでもスライダーやスプリットを低めに集めていた。改めて大崩れしないタイプと証明した。

 相変わらず巨人の投手陣は四球が多い。救援陣の失点も目立ってきた。30日は今村信貴が5四球6失点、1日は鍬原拓也が2四球で4失点と下降線だ。

 でもこの二人は責められない。開幕から二人の好投で勝ちを拾ってきた。ここは我慢だし信頼することだ。

 3日からは広島3連戦(マツダ)、帰京して東京Dでヤクルト3連戦、巨人の今季初の危機的状況が大波になるのか、それとも小波で静まってくれるのか。大きなポイントではある。

柴田勲(しばた・いさお)
1944年2月8日生まれ。神奈川県・横浜市出身。法政二高時代はエースで5番。60年夏、61年センバツで甲子園連覇を達成し、62年に巨人に投手で入団。外野手転向後は甘いマスクと赤い手袋をトレードマークに俊足堅守の日本人初スイッチヒッターとして巨人のV9を支えた。主に1番を任され、盗塁王6回、通算579盗塁はNPB歴代3位でセ・リーグ記録。80年の巨人在籍中に2000本安打を達成した。入団当初の背番号は「12」だったが、70年から「7」に変更、王貞治の「1」、長嶋茂雄の「3」とともに野球ファン憧れの番号となった。現在、日本プロ野球名球会副理事長を務める。

デイリー新潮編集部

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