なぜ球界で「完全試合」が続出? 大リーグでも同様…現役選手は「3割打者が存在しなくなる」
2022年05月22日 10時56分 デイリー新潮

佐々木朗希
気が早い話で恐縮だが、今年の流行語大賞は「完全試合」になるかもしれない。
だとしたら受賞するのは、ロッテの佐々木朗希(20)に違いあるまい。4月10日のオリックス戦でプロ球界28年ぶりの偉業を達成したのみならず、続く17日の日本ハム戦でも8回まで完全投球を演じてみせた。
だが今季、“完全”と形容される快投を披露した投手は彼だけではない。
巨人の新外国人、シューメーカー(35)は23日の中日戦で7回2死まで完全投球。5月6日には、中日の大野雄大(33)が9回まで完全を維持するも、延長10回に惜しくも安打を許した。達成していたら史上初の“延長戦での完全試合”となるところだった。
海の向こうでも、ドジャースのカーショー(34)が4月13日に7回まで完全投球のまま降板、我らがエンゼルスの大谷翔平(27)も20日のアストロズ戦で6回1死まで完全投球を続けた。
■ここ数十年は打者が強かったが…
いったい何が起きているのだろうか。
「“投高打低”現象が顕著ですね」
とスポーツ紙デスク。
「メジャーでは、昨季から公式球の反発係数を下げたため、本塁打が出にくくなり、投手有利になりました。結果、昨季は史上最多9度のノーヒット試合が生まれた。日本では使う球に変わりはないはずですが……」
ここ20〜30年、日本球界は概ね打高投低だった。その証拠に、名球会の入会基準である“2000安打”は達成者が頻繁に出ているが、“200勝”は2008年の山本昌以来出ていない。
■投手はあらゆる数値が上昇
投高打低は、現役選手たちも感じている。ソフトバンクのエース、千賀滉大(29)が今月から西日本スポーツでコラム連載を始めたが、初回は今般の投高打低がテーマだった。
そこで彼はその理由を、
〈投手はいろいろ勉強し、情報を入れ、トレーニングに生かす環境が整っているからです。各数値を見ても平均球速や変化球のスピード、変化量とあらゆるものが上昇しています〉
と分析し、
〈僕はこの先、3割打者が存在しなくなる時代が来ると思っています〉
とまで言い切っている。
「週刊新潮」2022年5月19日号 掲載
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