プロ野球“ビール売り子”の本音トーク お気に入りの娘のために1日100杯買う客も

 日々、熱い戦いが続くプロ野球ペナントレース、連日のように各球場は大盛況だ。観客の目当ては選手のプレーだけじゃない。スタンドでビールを売り歩く「美人すぎる売り子」も注目を浴びている。人気の売り子が芸能界に進出した例といえば、タレント・おのののか(27)やモデル・ほのか(23)などがあり、華々しいイメージもあるが、実際の売り子事情を探ってみた。

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 2018年シーズン限りで売り子を卒業したカオリさん(仮名・25歳)。彼女は7年間、東京ドームで売り子を続け、一塁側内野席でビール販売を担当していた。常にトップを争うエース格だったという。

「毎日500杯も売っていたとテレビで話していた元売り子のタレントもいますが、ビール半額デーであれば、そのぐらい行くときもありますけど、ビールなら200杯を超えればその日のトップクラスですね。毎日500杯はさすがに厳しいです(笑)バイトとしては、お金は良いと思いますが、正直、かなり過酷です。歩合制なので、売り上げをアップさせるためには、いかにシーズン席の太客を掴むかがポイントです。そのためには、球場以外でもお客さんと会うこともありましたね。その点でいえば、キャバクラ嬢とあまり変わらないかもしれません」

 東京ドームでは、内野指定席は一塁、三塁側のバックネット裏からポール際まで、販売エリアがそれぞれ四分割されているという。通常のエリア内だけでは売り上げも伸びないことから、リピーターの常連客を掴むことが肝になるという。カオリさんは常連客のハートを掴むために、“営業活動”を欠かさなかったようだ。

「ドームはその日ごとで販売エリアが決まっていて、その範囲を越えてはいけません。ですが、常連さんが呼んでくれた場合に限り、エリアを越えて“出張”してもいいんです。特に、常連さんが団体で来てくれる時は本当においしかったですね(笑)。すごく可愛がってくれる常連さんもいて、オフ会にも参加して、神宮球場や横浜スタジアムにも一緒に行くこともありました。まあ、私は別に巨人ファンじゃないですけど(笑)」

 中にはとんでもない“強者客”もいる。その彼は、売り子たちの間では「部長」と呼ばれて、“重宝”されていた。売り子OGのユウコさん(仮名・23歳)は、驚くべき光景をよく目にしていたという。

「たった一人で来ているのに、売り子が背負っている樽ごとを全部買ってくれるんです。ひと樽でビール20杯ぐらいになるのですが、100杯以上のビールも買い、通路のゴミ箱の上にカップを並べて、知り合いはもちろん、通りすがりのお客さんにもビールをプレゼントしていました。しかも、ちゃんと領収書をもらっています(笑)。お金持ちのようですが、見た目は冴えない感じ。社長には見えないから、『部長』というあだ名で呼ばれていました。本当、売り上げ的には助かっていましたね(笑)」(ユウコさん)

 東京ドームではビール1杯が800円で販売されている。100杯以上となれば、1試合で8万円を超える売り上げを手に入れることになる。確かに、売り子にとっては非常に“おいしい客”といえるだろう。

 ただ、中には“やっかいな客”もいる。前出のユウコさんは「球場への入り待ちや出待ちをするしつこいお客さんは本当に怖い」と話す。

「結構、変なお客さんは多いですよ。私たちの出勤時間はだいたい決まっているし、上がり時間も試合展開でわかってしまいます。『10番入り口』で入り待ちや出待ちをする人は、試合なんか全然見てない(笑)。話しかけるだけなら、まだいいんですけど、帰り道まででついてきちゃう人もいるので、かなり困ってしまいます」(同)

「10番入り口」とは、東京ドームの関係者しか出入りできない入場口のこと。コンコースにある通常の入場口とは異なり、道路に面した場所にある。この付近で、出退勤する売り子を待つ伏せする迷惑な人がいるというのだ。これではファンというより、ストーカーに近いものがある。

 さて、最も気になることだが、お客さんと「恋愛関係」に発展する可能性はあるのだろうか。

「建前では、連絡先の交換は禁止されていますが、常連さんなら暗黙でオッケーという感じですね。でも、いきなり連絡先を交換しない。何度も足を運んでもらって、どういう人かわからないと無理です。お金を持っていないような人は、どんなに見た目がカッコよくても、確率はほぼないです(笑)。営業用とプライベート用にケータイを2台持ちしている売り子も少なくありません。だけど、新人は慣れていないから、プライベートのほうをお客さんに教えてしまい、トラブルになることも……。個人のツイッターやインスタグラムが流出してしまう危険もあります。うまくやらないと自分が損するだけですね」(前出のカオリさん)

 ネット上では「売り子専門チャンネル」などが乱立しており、顔出し写真やプライベートでの会話が露呈することも少なくない。

 実際に売り子を雇っている球場への出入り業者はどうみているのか。数社に連絡を取ってみたが、「会社としてルールや内情をお話しするわけにはいかないので、ノーコメント」との回答だった。

 だが、出入り業者のある関係者は、匿名を条件にこんな本音を漏らした。

「売り子の中に芸能人の卵がいるのも事実で、そういう子の扱いには神経を使います。ずば抜けて可愛い子もいますけど、しつこいお客さんとのトラブルを避けたいので、『できれば採用したくない』というのが現場サイドの本音。人気売り子がいないと売り上げも伸びないので、悩ましいところですね」

 大きなトラブルに発展しなければいいが……。

週刊新潮WEB取材班

2019年6月16日 掲載

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