巨人「宇佐見」「和田」を放出 2軍にまだいる“他球団ならとっくに1軍”の選手は?

■宇佐見は日ハムで猛打賞


 日本のプロ野球はレギュラーシーズンが終了してから、翌年の7月31日までトレードが可能だ。そして今年の巨人は6月下旬から7月にかけて2回もトレードを発表。大きな反響を呼んでいる。

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 1回目は6月26日、巨人の吉川光夫投手(31)、宇佐見真吾捕手(26)と、日本ハム・藤岡貴裕投手(29)、鍵谷陽平投手(28)の2対2の交換トレードが発表された。

 サンケイスポーツは28日、連載「【矢野監督 必死のパッチトーク】」を掲載。記者に巨人のトレードについて問われた阪神の矢野燿大監督(50)は、「またまた戦力すごいよなとは思う」と率直に語った。

 だが、これで話が終わらない。7月7日には、巨人・和田恋外野手(23)と楽天・古川侑利投手(23)のトレードも発表された。

 徹底して投手を獲得する姿勢に、まず驚かされる。そして、これほど貪欲にトレードを行うためには、他球団が欲しがる評価の高い選手を“確保”しておく必要があることは言うまでもない。それもこれも、選手層が極めて厚い巨人のなせる技だ。

 巨人の吉川は今シーズン、開幕から8試合にリリーフ登板。だが、防御率が9・95と不調で、2軍に降格されていた。

 プロ入りから16年シーズンまで所属していた古巣の日本ハムに移籍すると、さっそく7月4日の西武戦に先発登板。3回3失点で降板となったが、栗山英樹監督(58)は「ボールは本当に悪くなかった。球速以上に強さがある」と評価。更に「リリーフで1イニングを投げるタイプではない」と巨人の起用法を否定するかのような発言もあった。

 一方、活躍したのは宇佐見。こちらは7月2日の西武戦に出場すると3打席連続安打。プロ入り初の猛打賞を決めた。日ハムファンに最高の“顔見せ”を行ったわけだ。

 和田の場合は、日刊ゲンダイDIGITALが7月8日、「巨人“二軍の2冠王”和田恋の放出で…くすぶる選手たちの複雑胸中」を掲載した。《昨季は二軍で打率.296、18本塁打、87打点で本塁打と打点の2冠》であっても、1軍に昇格できない状況を伝えた記事だった。

 どうやら、「巨人の2軍選手は他球団なら1軍でも充分に通用する」と言えるようだ。野球解説者の小田幸平氏も、自身が巨人の2軍でプレーした時期を振り返り、「巨人の2軍は昔も今もスケールが違います」と指摘する。

「『選手層が厚い』どころではありません。例えば私が2軍にいた時、1998年の前半戦で6完投、3完封で7勝をあげ、オールスターにも出場した趙成ミンさん(1973〜2013)が、2軍の“先発ローテーション”の柱でした。ファンも1軍レベルの試合が戦われることは知っていますから、川崎市のジャイアンツ球場は常に満員。育成の場というよりは、貪欲に勝ちに行く采配が行われるなど、他球団の2軍とは何もかも違っていました」


■小田氏“太鼓判”の2軍選手は3人


 そんな小田氏が、「巨人が使い切れなかった印象が強く、残念の一言に尽きます」と無念さを滲ませるのは、和田だ。

「最初にバッティングフォームを見た時、バットコントロールの巧みさに感心しました。長打力は2軍で18本というホームラン数が示す通りです。将来は巨人の4番を担ってもおかしくない素質を持っており、だからこそ今年のキャンプでも1軍スタートでした。首脳陣も期待していたわけですが、トレードに出されたのは巨人との縁がなかったと言うしかありません。心機一転して、楽天のスラッガーを目指して頑張ってほしいです」

 こんな選手が、巨人の2軍にはゴロゴロしている。小田氏に「他球団なら1軍」という選手のピックアップを依頼すると、北村拓己(23)、山下航汰(18)、堀岡隼人(20)の3人を挙げた。

 北村と山下が打者、堀岡が投手。それぞれ2017年度ドラフト4位、18年度育成ドラフト1位、16年度育成ドラフト7位という指名で巨人に入団した。

「北村は現在、巨人の公式サイト『2軍打撃成績』で1位に表示されていますから、ご覧になってください。長打率が4割3分3厘と、打力が魅力です。3番、4番、5番の候補ですし、俊足でもあります。山下も同じ『2軍打撃成績』で3位。彼はバットの芯でボールを当てるのが非常に巧みです。打率を稼ぐタイプでしょう」
(編集部注:公式サイトの内容は7月14日現在)

 投手の堀岡は「とにかくマウンドに立った時の度胸が素晴らしい」と小田氏は絶賛する。最高のセットアッパーに化ける素質は充分だという。

「6月から7月にかけて行われた2回のトレードを見ても、中継ぎ陣の投手を揃えようとしているのは明らかです。堀岡には追い風が吹いているわけですから、それをもっと自覚してほしい。投球テクニックも心臓も1軍レベルなのですから、後は運を呼び込む気力だけです。1軍の首脳陣が腰を抜かすようなピッチングをしてほしいですね」

 小田氏によると、大リーガーはトレードに「自分の価値を評価してくれた」と前向きに捉える傾向が強いのに対し、日本のプロ野球選手は「放出された」とネガティブに受け止めるケースが少なくないという。

 しかしながら、巨人を出て花が開いた選手も珍しくない。特に巨人と日ハムのトレードは相性がいいことで知られ、朝日新聞が6月28日(電子版)、「群を抜くトレード成立 日本ハム―巨人、良縁の理由は?」の記事を掲載したほどだ。その第1号が75年、巨人・高橋一三(1946〜2015)、富田勝(1946〜2015)と、日ハム・張本勲(79)の2対1の大型トレードだ。

「近年は、16年に巨人から日ハムに移籍した大田泰示(29)が、『日ハムのほうが、いきいきしている』と評価されています。今シーズンも74試合に出場して打率2割8分6厘、ホームラン13本と活躍中です」(同・小田氏)

 そう語る小田氏も、05年にFAによる人的補償で巨人から中日へ移籍。当時、中日の監督だった落合博満氏(65)が、「正直言って小田が(プロテクトから)外れていると思わなかったよ」と語るほどの高評価。新天地では、球界を代表するキャッチャーだった谷繁元信(48)との2枚看板でブレイクを果たしたのは記憶に新しい。

 北村、山下、堀岡の3人も、巨人で花開くのが理想的なシナリオなのかもしれない。だが、巨人という球団がタレントだらけで、「上がつかえている」のは事実だろう。トレードで他球団に移り、古巣の巨人にひと泡吹かせるのも、プロ野球ファンを楽しませるはずだ。

週刊新潮WEB取材班

2019年7月17日 掲載

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