本命なき“戦国甲子園”を制するのはどこだ? 優勝校をズバリ予想!

 いよいよきょう開幕した夏の甲子園。昨年の大阪桐蔭(大阪)のような絶対的な本命は不在で、選抜を制した東邦(愛知)も地方大会で早々に敗退しているが、全体的に見ると高いレベルの優勝争いが期待できる顔ぶれが揃った印象だ。そんな中でも勝ち進み、令和最初の甲子園優勝校はどこになるのか、有力校を紹介しながら占ってみた。

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■第1グループ
東海大相模(神奈川)
星稜(石川)
近江(滋賀)
履正社(大阪)
明石商(兵庫)
智弁和歌山(和歌山)

 まず優勝候補に挙げたいのが以上の6チームだ。近年の甲子園を見ていると打てるチームが優勝している印象が強いが、攻撃力という意味では東海大相模、履正社が二強という印象だ。東海大相模は神奈川大会の決勝戦で24得点を叩き出した。2年生ながらチームの中心である鵜沼魁斗、山村崇嘉、西川僚祐の3人に投打に高い能力を誇る遠藤成など長打力のある打者がずらりと並ぶ。走塁の意識が高く、機動力を使えるのも強みだ。履正社も桃谷惟吹、小深田大地、井上広大と力のある打者が揃い、大阪大会を打力で勝ち上がってきた。特に主砲の井上は大阪大会で4本塁打を放っている右の強打者で、プロからの注目度も高い。

 星稜、近江、明石商の3チームは絶対的なエースがいるのが強み。特にナンバーワンの注目度を集めているのが奥川恭伸(星稜)だ。選抜では1回戦で履正社から17奪三振完封という圧巻のピッチングも見せている。150キロを超えるストレート、鋭く変化するスライダー、フォークを自在に操るピッチングは、高校生のレベルをはるかに超えている。林優樹(近江)は奥川とは対照的な技巧派サウスポー。細身だが、テンポ良く打者を追い込み、スイスイと打ちとっていくピッチングは、まるでベテランのような趣がある。魔球とも言われる鋭く落ちるチェンジアップにも注目。中森俊介(明石商)は2年生ながら奥川に大きく引けをとらない完成度が光る。楽に140キロを超えるストレートをコーナーに投げ分け、投球術も巧み。昨年夏、今年春と甲子園を経験しているのも強みだ。

 智弁和歌山は5季連続の甲子園出場となり、強肩捕手の東妻純平、強打者の黒川史陽など経験豊富なメンバーが揃う。そして池田陽佑、小林樹斗の140キロ右腕二人に1年生ながら高い能力を誇る中西聖輝が加わり、投手陣の底上げができたことが大きい。同じく1年生ながら4番に座る徳丸天晴の打撃に注目したい。

■第2グループ
八戸学院光星(青森)
花巻東(岩手)
花咲徳栄(埼玉)
習志野(千葉)
津田学園(三重)
智弁学園(奈良)
筑陽学園(福岡)

 選抜準優勝の習志野は第2グループに入れた。試合巧者で機動力と継投が光るが、夏を勝ち抜くにはもう少し投打ともに凄みがほしいというのが印象。打力なら地方大会でチーム15本塁打をマークした八戸学院光星、出場校中ナンバーワンのチーム打率を誇る花咲徳栄が目立つ。ただいずれも投手力は第1グループのチームと比べて少し劣る印象。好投手との対戦となった時がポイントだ。ともにドラフト候補に挙がるショートの武岡龍世(八戸学院光星)、韮沢雄也(花咲徳栄)の攻守にも注目したい。150キロ右腕の西舘勇陽を擁する花巻東、投打にバランスが良い智弁学園、秋の九州チャンピオンで春夏連続出場となる筑陽学園も地力があるチームだ。

 あまりマスコミに取り上げられていないが、面白いのが津田学園。エースの前佑囲斗はスケールとまとまりを兼ね備え、この夏も、さらに安定したピッチングを見せた。打線も機動力、長打力ともにあり、勢いに乗れば一気に上位進出も期待できる。


■ダークホースは…


■ダークホース
仙台育英(宮城)
霞ヶ浦(茨城)
中京学院大中京(岐阜)

 仙台育英は3年連続の出場で、昨年を経験したメンバーがいることが強み。笹倉世凪、伊藤樹の140キロを超える1年生コンビなど力のある投手を多く揃える。継投がうまくはまれば上位進出も狙える。

 霞ヶ浦はエースの鈴木寛人に大注目。長身から投げ下ろす角度のあるストレートと、鋭く変化するスライダー、フォークを武器に三振を奪う。茨城大会で着実に調子を上げて、決勝戦では1安打完封と圧巻のピッチングを見せた。打力は課題だが、他にも力のある投手が揃っているのも心強い。

 中京学院大中京も安定感のあるサウスポー・不後祐将、力のあるストレートが武器の大型右腕・赤塚健利とタイプの異なる二枚がいるのが強み。強肩強打の捕手で高校日本代表候補にも選ばれた藤田健斗も存在感は十分で、安定した戦いぶりが光る。

 取り上げたチームの中では東海大相模と近江がいきなり激突し、履正社も霞ヶ浦が相手だけに初戦から気が抜けない。明石商と花咲徳栄も初戦屈指の好カードだ。満遍なく有力校が分散し、予想は非常に難しいが、一つ選ぶというなら智弁和歌山を推したいと思う。勝ち上がれば、3回戦で星稜と対戦することになるが、炎天下の第2試合で奥川にとっては厳しいコンディションが予想されるのも追い風になりそうだ。昨年の金足農のように、ここで挙げた以外のアッと驚くようなチームが躍進することにも期待したい。

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

週刊新潮WEB取材班編集

2019年8月6日 掲載

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