「松井」「由伸」のW解説でショックを受けた日テレ、巨人戦中継を絶対止められないワケ

■視聴者の「巨人離れ」は加速中


  •  ビデオリサーチの公式サイトに「プロ野球高世帯視聴率番組」というコーナーがある。そこには1977年9月以降、テレビのプロ野球中継において、最も視聴率を稼いだ10試合が掲載されている。

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     セリーグのベスト10を見てみると、1試合を除き、あとは全て巨人戦だ。ちなみに1位は1994年10月8日の中日・巨人戦で、視聴率は48.8%を記録した。(註:率は関東地区、以下同)

    「勝率が同率首位で並んだ巨人と中日による直接対決にして最終戦」で、文字通りの優勝決定戦。「10・8決戦」としてご記憶の方も多いだろう。確かに異常な盛りあがりを見せ、視聴率1位は充分に頷ける。

     それにしてもビデオリサーチの作成した表を見ると、いかに巨人戦の中継に人気があったか再認識させられる。第10位は1981年6月1日の広島・巨人戦で、視聴率は36%。一方、パリーグの第1位は1989年10月14日の近鉄・ダイエー(現:ソフトバンク)戦の29・5%だから、何と6・5%も開きがあるのだ。

     巨人戦9試合のうち、7試合が81年から84年に開催された。巨人の監督で言えば藤田元司(1931−2006)と、王貞治(79)の時代に当たる。この頃がテレビ業界にとって、巨人戦中継がドル箱だった時代の頂点だろう。

     ところが現在、巨人戦の価値は大きく低下した。例えばNEWSポストセブンは9月1日、「巨人戦視聴率6.7%の日テレの苦悩 裏番組は高視聴率連発」の記事をアップした。

     8月29日に日本テレビが巨人・広島戦をゴールデンタイムに中継。解説が松井秀喜(45)と高橋由伸(44)という豪華な顔ぶれだったにもかかわらず、6・7%しか取れなかったことなどを伝えた記事だった。

     今や巨人戦の視聴率が10%を超えれば、逆にニュースとなる。スポーツ報知(電子版)は4月1日、「プロ野球開幕戦『広島−巨人』平均視聴率10・6%で2年ぶり2ケタ復帰!瞬間最高は14・2%」の記事を掲載した。視聴率30%が当たり前だった時代には、信じられない数字だろう。

     最近の視聴者は、テレビでどんなスポーツ中継を見ているのか調べてみよう。ビデオリサーチが毎週、発表している「週間高世帯視聴率番組10.」の「VOL.01 2018年 12月31日(月)〜1月6日(日)」から「VOL.34 2019年 8月19日(月)〜8月25日(日)」の「スポーツ」で掲載されたベスト10を抽出し、視聴率順に並べた。

     そのままのベスト10を掲載すると、大坂なおみ(21)の全豪テニス、大相撲、世界フィギュアスケート選手権の中継で終わってしまう。

     より多くのスポーツを紹介するため、「1つのイベントで複数の視聴率がランクされている場合、最高視聴率だけを掲載する」ことにした。

    ■野球中継を見ない視聴者


     令和になってから、”お茶の間”で視聴されるテレビ中継はテニス、駅伝・マラソン、大相撲、そしてサッカー日本代表という傾向が浮かび上がる。野球中継が1本も入っていないことは言うまでもない。

     では、野球というカテゴリーの中では、どんな中継が視聴率を稼いでいるのか調べてみた。こちらの表は、そのままベスト10を掲載する。

     重複を避けなかったため、見事に夏の高校野球で埋め尽くされてしまった。先に紹介したスポーツ報知の記事通り、対広島の開幕戦だけがランクイン。後はイチロー(45)が選手として出場した対マリナーズ戦だが、もちろんこちらは公式戦ではない。

     それではプロ野球の公式戦における試合中継が、どれほどの視聴率を獲得しているのか、今年のベスト5をご紹介する。表をご覧いただきたい。

     巨人の開幕戦と、侍ジャパン、そしてオールスターの初戦という顔ぶれになった。それにしてもオールスターの視聴率が10%を切っているのだから、まさに隔世の感がある。ちなみに巨人が開幕の広島戦で2連勝し、胸を張って東京ドームに帰ってきた阪神戦も日テレは「巨人ホーム開幕戦」と4月2日に放送したが、こちらは8・8%と振るわなかった。

     日本テレビの関係者が取材に応じ、巨人戦の中継が“お荷物”となっている現状を明かしてくれた。ご存知の通り、日テレはテレビ朝日と視聴率三冠王の座を巡り、熾烈な争いを繰り広げている。

    「広島戦の6・7%は衝撃的な数字でした。高橋さんと松井さんを呼び、サイン入りユニフォームや高級和牛をプレゼントに用意し、番宣をCMで売っても、2ケタには届かなかったわけですからね。今や巨人戦の中継は日テレにとってお荷物、テレ朝との三冠王争いの足かせと言われても仕方ありません」

     日本テレビはBSの「BS日テレ」と、CSの「日テレG+」でも巨人戦の中継を行っている。少なくとも地上波から撤退しても問題ない状態ではあるのだが、先の関係者は「いくら視聴率が悪くても、それはあり得ません」と全否定する。

    「日テレも読売グループですからね。止めない理由は放映権料です。日テレも1試合につき1億円の放映権料が発生すると言われています。全試合を放送していた往時とは比べものにならなくとも、今でも年間数試合は中継しています。数億の金でも、巨人軍にとって重要です。BSとCSは1試合2000万円ですが、それでも主催が70試合強で、14億円となります。ナベツネこと渡辺恒雄さん(93)の目の黒いうちは、絶対に日テレは巨人戦の放映を続けますよ」

     果たしてCSや日本シリーズで、日テレはどれだけ視聴率を獲れるだろうか。

    週刊新潮WEB取材班

    2019年9月8日 掲載

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