大学・社会人ドラフト1位候補は明大「森下」だけじゃない 隠れた逸材はこの8人

大学・社会人ドラフト1位候補は明大「森下」だけじゃない 隠れた逸材はこの8人

いよいよ開催されるプロ野球ドラフト会議(日本野球機構(NPB)オフィシャルサイトより)

■「外れ1位の可能性大」と絶賛する声も


 いよいよ開催されるプロ野球ドラフト会議。今年は星稜(石川)の奥川恭伸&大船渡(岩手)の佐々木朗希の超高校生級の投手2人、そして大学生No.1投手と高評価の明治大エース・森下暢仁を加えた3人の右腕に注目が集まっている。

 特に大学・社会人投手の中では森下1人の評価が突出していて、1位指名で競合する唯一の存在とまで言われるほどだ。だが、果たして本当に“森下1強”なのだろうか?

 今回は外れ1位なら指名されてもおかしくはない大学・社会人の逸材、注目の好投手たちを紹介していこう思う。 

 まずは大学生投手を2人。その最初の1人めは昨年も松本航(埼玉西武)と東妻勇輔(千葉ロッテ)というドラフト1&2位投手を輩出した日本体育大学から。最速151キロ右腕の吉田大喜である。

 吉田の出身高校は強豪ひしめく大阪府にあって無名の府立・大冠出身。だが、2015年の3年夏の予選で公立校としては7年ぶりの4強進出を成し遂げ、一躍注目を浴びることに。

 高校卒業後、日体大に進学すると1年秋からリーグ戦に出場。以後、4年春のリーグ戦までで5季通算29試合に登板し、87回1/3を投げ、被安打62、奪三振78、自責点16で防御率は1・65という安定した成績を残している。

 主に救援登板のため、通算成績は4勝4敗ながら、自己最多の29回1/3を投げた4年春のリーグ戦では防御率1・23とリーグ1位に輝いた。その直後の夏に行われた国際大会の日米大学野球大会で代表入りを果たし、ここでも全5試合でセットアッパーとして登板。5回を投げ、被安打2、奪三振4、与四死球0、失点1、自責点0という好結果で日本の3大会ぶりの優勝に貢献している。

 身長175センチと決して高くはないが、投げ込む速球は最速151キロを誇る。制球力にも定評があり、内外角に巧みに投げ分ける直球は常時140キロ台中盤〜後半を記録。さらに120キロ台の2種類のスライダー、110キロ台のカーブを交え、最後は130キロ台で落ちるスプリットで三振を奪いにいく。打者の懐を突く攻めの投球も特徴で、プロでもセットアッパー、クローザーとしての期待がかかる。


■2人目は”大魔神”の後輩


 大学投手期待の2人めは“大魔神”佐々木主浩(元・横浜など)を筆頭にこれまで数多くのプロ野球選手を送り出したみちのくの名門・東北福祉大が誇るMAX149キロ右腕・津森宥紀である。

 高校は全国に名を馳せる強豪・智弁和歌山が天下を治める和歌山県にあって、無名の県立校・和歌山東出身。中学まではスリークォーターだったが、同校でサイドハンドに転向し、その素質が開花した。

 2014年の2年生時秋の県大会新人戦準決勝で猛打の智弁和歌山打線相手に9回2失点の完投勝利を収めたのだ。高校3年間で甲子園出場経験はないものの、進学した東北福祉大では1年春から仙台六大学野球リーグ戦に出場。以後、大学4年秋までの全8シーズンで先発に救援にと計49試合に登板し、130回を投げ、被安打わずかに67、154奪三振、与四死球56、自責点18で12勝4敗。防御率も1・25を記録した。

 その中でも3年秋には25回1/3で被安打15、奪三振29、自責点わずか2。防御率はなんと驚異の0・71をマークし、最優秀投手を獲得している。

 全国大会にも現在までに4度出場。計10試合で28回2/3を投げ、被安打16、奪三振26、与四死球15、自責点4で防御率は1・26とここでも高い安定感を誇る。

 特に3年時の全日本大学野球選手権大会では4試合に登板し、18回2/3を投げ、被安打6、15奪三振、失点1、自責点0という見事な力投で最優秀投手賞に輝くとともに、チームに14年ぶり3度目の日本一をもたらす原動力となったほど。

 身長は177センチとあまり高くはないが、右サイドハンドから投じられる速球は最速149キロ。常時でも130キロ台後半から140キロ超と威力があり、ときに浮かび上がってシュートすることも。加えて130キロ前後のシンカーと120キロ台のスライダーで相手打者を幻惑する。サイドからの直球の伸び、変化球のキレをプロのスカウトも絶賛しており、あとは左打者対策さえ整えられれば、サイドハンドはプロの世界では重宝されるだけに期待大。短いイニングならプロでも即戦力となろう。

 ここからは社会人投手を紹介したい。その最初は中日ドラゴンズが1位指名候補にリストアップした4人の中の1人。最速151キロの即戦力左腕・JFE西日本の河野竜生だ。

 河野は徳島の名門・鳴門卒の高卒3年目。甲子園には1年生時から3年連続夏の甲子園出場を果たしているだけに、高校野球ファンの間ではお馴染みの投手でもある。社会人に進み1年目から公式戦にベンチ入り。2年目には早くもエースの座を掴み、秋の社会人野球日本選手権では決勝戦までの全5試合中3試合に先発し、初戦&準々決勝と2戦連続完封勝利。決勝戦の三菱重工名古屋との一戦では9回を投げ,1失点の好投をみせたがチームは延長13回の激闘のすえ、1-2で準Vに終わった。

 ただ、この大会での力投が評価され(27回を投げ、被安打15、23奪三振、与四死球2、失点1、自責点1)、敢闘賞のタイトルを受賞。と,同時に一躍プロのスカウトの評価が急騰した。

 その最大の武器は174センチと決して大柄ではない身体から繰り出される最速151キロの速球で、特に右打者の内角をえぐる直球は威力満点。常時でも140キロ前後を記録し、これに130キロ超のチェンジアップとツーシーム、120キロ前後のスライダー、100キロ前後のスローカーブを交えて打者を打ち取っていく。スリークォーターから投げ込んでいく投球フォームも球の出所が見づらく、打者にとっては厄介な相手ともいえよう。調子が悪いなりに試合を作れる点も高く評価されており、プロ側は即戦力の期待をかけている。 


■半年前からサイドスローという選手も


 社会人投手2人めはこれも最速154キロを誇る即戦力投手である。東芝の力投型本格派右腕・宮川哲だ。

 東海大山形から上武大を経た社会人2年目右腕で1年目は10試合に登板。中でも秋の社会人野球日本選手権準々決勝の新日鐵住金広畑戦では初回の初球で当時、自己最速となる152キロをマーク。7回1/3を投げ、被安打7、8奪三振、失点3、自責点3という好投でチームに白星をもたらしている。

 社会人2年目となる今年は都市対抗予選で自己最速となる154キロを叩き出したほか、本選でも2試合に先発し、9回2/3を投げ、被安打7ながらも11三振を奪った。

 身長177センチと上背は足りないものの、最速154キロ、常時140キロ台中盤から150キロ前後の伸びのある直球を武器とする力投型の本格派右腕で、そこに140キロ前後のカットボール、130キロ台のフォーク、120〜130キロ台の縦のスライダー、120キロ台のカーブと4種類の変化球を組み立てて三振を奪っていくのが特徴だ。

 プロのスカウトもキレとスピードのある直球でファウルが取れ、コントロール抜群のフォークは空振りが奪えると激賞。即戦力投手として大きな期待がかけられている。

 社会人3人目の投手は即戦力というよりも素材型の注目株を挙げたい。東海理化のMAX152キロ右腕・立野和明である。全国的には無名の高校・中部第一(愛知)卒の高卒3年目右腕だが、高校時代からその土台の良さが評価されていた。

 社会人野球に進んでからは早くも1年目からリリーフを経験し、2年目となる昨シーズンから先発陣に仲間入り。その年秋の日本選手権初戦の室蘭シャークス戦で当時自己最速となる150キロをマークすると同時に延長12回を完投し、被安打4、奪三振10、与四死球1、失点1、自責点1という見事な投球内容でチームを勝利に導いている。

 3年目となる今季は公式戦で計56回1/3を投げ、被安打55、50奪三振、与四死球30で防御率3.36と安定感を欠いているが、181センチの高身から投げ込む最速152キロの直球は迫力満点。常時でも140キロ前後から145キロ超をマークし、腕の振りがしなやかなこともあって、その直球の伸びは目を見張るものがある。

 変化球も130キロ台のカットボールとフォーク、120キロ台のスライダー、110キロ前後のカーブを操り、素材型の投手としてその潜在力をプロ側は高く評価している

 社会人4人目にして最後に注目したいの投手も伸びしろに期待の素材優先タイプ。最速153キロもいまだ未完成の大型右腕・JR東日本の太田龍だ。

 この太田も高卒3年目。れいめい(鹿児島)3年生時に149キロを計測し、当時から直球の質、将来性でプロ側からの高評価を獲得していたものの、社会人野球のJR東日本へと進む。その2年目から先発に救援にと大車輪の働きをみせ、公式戦では51回1/3を投げ、被安打27、38奪三振、自責点11で防御率1.93という安定した好成績を残した。

 中でも都市対抗野球予選の東京第4代表決定戦となった明治安田生命戦で自己最速となる153キロをマーク。続く本選でも4戦中3戦に登板し、計11回1/3を投げ、被安打4、11奪三振、無失点という快投を演じ、大会の新人賞にあたる“若獅子賞”に輝いている。

 身長190センチ体重91キロという恵まれた体格から投げ下ろす威力ある直球は最速153キロ。常時でも140キロ前半〜140キロ後半を計測する威力があり、そこに120キロ台から130キロ超のスライダー、130キロ台後半のツーシームを織り交ぜ、130キロ台のスプリット、120キロ台で沈むチェンジアップなどで打者の空振りを誘う。

 制球力には若干の不安が残るため、まだ成長過程の途中にあるといえるが、大型右腕としての伸びしろが大いに見込める好素材である。

 このほかに注目したい投手として大阪商業大の最速149キロ左腕・橋本侑樹。そして独立リーグの埼玉武蔵ヒートベアーズに所属する右サイドハンド・松岡洸希の名を挙げておきたい。

 特に松岡はまだ高卒1年目の19歳。しかも本格的に投手に挑戦したのは桶川西高校時代の3年生春というからまだ1年強のキャリアしかない。しかもサイドスローに転向したのはわずか半年前という変わりダネでもある。

 それで最速149キロをマークしたのだから、まだまだ伸びしろは十分に見込める。独立リーグ出身のサイドハンド投手というと、中日で今シーズンも中継ぎとして活躍した又吉克樹を思い出すが、果たして又吉に続く“シンデレラボーイ”の誕生となるか?

上杉純也

週刊新潮WEB取材班編集

2019年10月17日 掲載

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