松坂、鳥谷、長野・・「コスパが悪い選手」を徹底検証!【セ・リーグ編】

松坂、鳥谷、長野・・「コスパが悪い選手」を徹底検証!【セ・リーグ編】

鳥谷敬

 プロ野球の世界では、年俸と成績が見合わない「コストパフォーマンスが悪い選手」は、各チームに少なからず存在する。今季、球団やファンの期待を大きく裏切ってしまった選手は誰だろうか。今回はセ・リーグ編だ。

 ***

 まずは先発投手から。やはり筆頭は今季限りで中日を退団した松坂大輔だろう。抜群のネームバリューに加えて、豊富な経験で先発候補としてだけでなく、若手投手の手本として期待された松坂だったが、今季は2月の沖縄キャンプ中にファンとの接触で「右肩炎症」を発症して戦線を離脱。リハビリ中の5月には二軍の練習日にも関わらずゴルフに興じていたことが報道され、物議を醸した。

 ようやく一軍復帰を果たした7月には、DeNA戦で初回にワンアウトを取ったのみで8失点を喫してKOされるなど、今季成績は2試合登板で0勝1敗、防御率16.88と散々な成績に終わった。松坂の今季年俸は8000万円。関連グッズの収益などで採算は取れているという話はあるが、野球選手として純粋に成績だけを見れば、「給料ドロボー」と批判されても止むを得ない結果と言える。

 来季で40歳を迎える松坂だが、「平成の怪物」と呼ばれ、日米通算170勝をマークしている右腕に、古巣の埼玉西武など、数球団が獲得に動くと見られているが、来季は復活できるだろうか。

 先発投手では、松坂と同じく甲子園で春夏連覇を達成した阪神・藤浪晋太郎(8700万円)の名前も挙げたい。近年は「イップス」も疑われるほどの制球難で不振が続いているが、今季はついに一軍登板がわずか1試合に終わった。唯一の先発登板となった8月1日の中日戦では、150キロを超える速球で三振も奪うなど5回途中まで1失点に抑えたが、102球を投じて6四球と2死球の計8四死球と大荒れの内容で、即二軍降格となった。

 リリーフ投手は広島・中崎翔太(1億6000万円)。昨季までは不動の守護神としてリーグ3連覇の原動力となったが、今季は開幕直後から救援失敗を繰り返し、2度の登録抹消と不振を極めた。15年からの4年間で60試合以上登板が三度(17年も59試合)と勤続疲労が原因とみられ、36試合登板で3勝3敗、セーブはわずか9に終わった。

 捕手は中日・大野奨太(1億円)と巨人・炭谷銀仁朗(1億5000万円)のパ・リーグからFA移籍組のコスパが悪い。17年WBC出場組として、18年に北海道日本ハムから移籍した大野だが、63試合出場にとどまった昨季から今季は34試合とさらに出場数を減らし、打率.170、0本塁打、3打点。正捕手不在のチームを救うことができなかった。炭谷は小林誠司、大城卓三らとの併用で、出場は58試合。打率.262、6本塁打、26打点とそれなりの数字は残し、さらに交流戦ではセ・リーグ最上位となったチームの“影の立役者”としても評価されたが、高年俸のFA選手と考えれば、この数字は褒められたものではない。

 内野手では、選手生活の晩年を迎えつつあるビッグネームと、チームの中心選手としての期待を裏切った選手の名前が挙がる。

 ベテラン勢の筆頭と言えるのが阪神・鳥谷敬(4億円)だ。5年契約最終年の今季は代打起用がほとんどで、74試合出場でスタメンは8試合のみ。代打成績も.250と振るわず、打率.207、0本塁打、4打点でシーズンを終えた。シーズン終盤には球団から引退勧告を受けたが、本人が現役続行の意思を貫き、他球団への移籍が濃厚となっている。

 今季、オリックスから巨人に移籍した中島宏之のコスパも悪い。4年ぶりに復帰した原辰徳監督が率いた09年WBC代表組として岩隈久志(5000万円、一軍登板なし)とともに、監督の肝いりで獲得されたが、故障もあり出場数は代打中心の43試合のみ。8月以降は二軍暮らしが続き、打率.148、1本塁打、5打点に終わった。17年の3億5000万円から大幅に減額したとはいえ、今季年俸1億5000万円は高過ぎたと言わざるを得ない。

 年齢的にも全盛期に差し掛かり、優勝争いを期待されたチームで主力の期待を裏切ったのが広島・田中広輔(1億8000万円)とDeNA・宮崎敏郎(1億6000万円)。

 田中は開幕から極度の打撃不振が続いたが、遊撃手として連続出場の個人記録もあり、打率1割台でも7月上旬までスタメン起用が続いた。7月4日に球団記録目前だった連続フルイニング出場、オールスター明けには連続試合出場が途切れた後は、ルーキーの小園海斗に定位置を奪われる形となり、8月22日の登録抹消以降は一軍に戻ってくることはなかった。最終成績は97試合出場で打率.193 、3本塁打、27打点。リーグ3連覇の原動力となった1番打者の不振は、チーム低迷の大きな要因となった。

 宮崎は114試合出場で打率.284、15本塁打、49打点と、そこまで悪くない数字を残している。しかし、17年の首位打者で今季もクリーンアップの一角に期待されたヒットメーカーが、3、4月の月間打率.165と極度の不振に陥った。この間にチームは10連敗を喫するなど、開幕ダッシュに失敗。さらに宮崎自身が調子を上げ、チームも優勝争いを演じていた8月には左手有鈎骨骨折で戦線離脱するなど、不運にも見舞われたシーズンとなった。

 外野手は、阪神のFA移籍組のベテラン2人がなんとも微妙な成績に終わっている。糸井嘉男(4億円)が103試合出場で打率.314、5本塁打、42打点。福留孝介(1億5000万円)が104試合出場で打率.256、10本塁打、47打点。

 今季で42歳の福留は、年俸を考えてもまだ働いている方だと言えるかもしれない。問題は、やはり糸井だろう。打率.314は立派な数字だが、主に3番を任された中軸選手として5本塁打、42打点はいかにも少な過ぎる。かつてはトリプルスリーに最も近いとされた選手にしては、寂しい限りと言わざるを得ない。8月10日に左足首の関節炎で登録抹消されて以降は、一度も一軍に戻ってくることはなかった。その間、チームが奇跡のCS進出を果たしたのは皮肉な結果とも言える。

 昨季の2位から最下位に転落したヤクルトは、坂口智隆(1億4000万円)の不振が響いた。15年にオリックスから自由契約となり、移籍後は一塁も守るなど3年連続で規定打席到達と復活し、年俸も自身最高額まで戻したが、今季は22試合出場で打率.125、0本塁打、2打点に終わった。開幕3戦目で左手に死球を受けて親指を骨折。復帰後も状態が上がらず定位置確保以降、自身ワーストの成績に終わった。

 最後にもう一人、今季からFA補償選手として巨人から広島に移籍した長野久義(2億2000万円)も、丸佳浩の代役として大きな期待を寄せたカープファンにとっては、残念ながら「コスパの悪い選手」となった。スロースターターの長野は、開幕から代打や左投手先発時のスタメンなど出場機会が限定され、状態が上がらないまま7月にプロ入り後初となる故障以外での二軍落ちとなった。外野のポジション争いをしていた松山竜平(1億円)も打率1割台と低迷していたが、リーグ3連覇メンバーを重用した緒方孝市監督の選手起用もあり、長野の出場機会は激減した。8月下旬に一軍復帰し、9月は月間打率.313と「夏男」の片鱗は見せたが、4連覇を逃したチームはBクラスに転落。長野も72試合出場で打率.250、5本塁打、20打点に終わり、プロ入り以来、9年連続で記録していた100安打以上を初めて逃す結果となった。

 これらの選手には、来季は活躍してぜひとも“汚名返上”を期待したい。

※()内は今季の推定年俸。宝島社『プロ野球選手データ名鑑2019』による。

野球ライター・山村智雄

週刊新潮WEB取材班

2019年10月22日 掲載

関連記事(外部サイト)