西武・秋山翔吾はメジャーで通用するか? MLBスカウトの気になる“評価”と行くべき球団名

西武・秋山翔吾はメジャーで通用するか? MLBスカウトの気になる“評価”と行くべき球団名

秋山翔吾

 西武・秋山翔吾が今季海外FA権を取得し、MLBへの挑戦が確実視されている。3年連続でパ・リーグの最多安打のタイトルを獲得した秋山は、米国でも成功することができるのか。現役MLBのスカウトである、フィリーズの環太平洋担当部長・大慈彌功氏に、その評価や活躍できる球団などを聞いてみた。

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 横浜創学館から青森・八戸大に進学。2010年のドラフト会議で西武に3位で指名され、プロの門を叩いた。実直な性格もあって、1年目から活躍して、メキメキと実力を伸ばしていった。15年には歴代シーズン最多安打の新記録を更新するなど、日本球界を代表するバッターに成長する。今季は143試合に出場して、打率.303、20本塁打、62打点、12盗塁をマーク。西武のリーグ連覇に大きく貢献した。

「技術や身体能力もそうですが、MLBで成功するにはメンタルも重要です。秋山の場合は誰もが認める真面目な性格で練習熱心。環境に適応する柔軟性も持ち合わせている。最初は日米の野球の違いに戸惑うかもしれないが、それに適応するだけの頭の柔軟性や賢さがある」

 試合前の練習に早い時間からコツコツと取り組む秋山の姿は、“所沢の風物詩”である。中心選手の練習への取り組み方が、チーム全体にも好影響を及ぼし、西武の選手はハードワークを欠かさない。また、秋山自身も早くから渡米を想定し準備を進めてきた。MLBの動向のみでなく、衣食住といった環境面へのリサーチをしていたという。すべてにおいて周到に準備するのが、秋山翔吾という人間だ。

 秋山のプレーはMLBで通用するのだろうか。まずは、守備と走塁から。

「守備と走塁に関しては言うことない。特に外野の守備は、現在のNPBでトップクラスだとみている。また、MLBを見渡しても、秋山ほど堅実な守備力を持つ選手はいない。捕球からの動作が速く判断力に優れている。あの守備力を活かすためにはセンターでの起用がベストですが、外野ならどこでもできることも大きい」

 過去にゴールデングラブ賞を5回受賞。堅実さとダイナミックさを兼ね備えた外野守備は、アマチュア選手のお手本と言われている。くわえて、秋山は足の速さにも定評がある。さらに過去、海を渡った日本人外野手がMLBで評価されている点も“追い風”になりそうだ。

「イチローや松井秀喜をはじめ、日本人野手がMLBで結果を残したのは外野手が多い。また、新庄剛志の守備力も評価が高かった。そういった意味でも、各球団とも、秋山は獲得に動きたい選手でしょうね」

 一方、MLBに挑戦した日本人野手が苦戦することが多い打撃面はどうか。

「(MLBでは)、打者を評価する指標であるOPS(出塁率+長打率)が重視される。このため、長打はそこまでなくても出塁率を上げれば、OPSをカバーできる。打率が.270くらいでも出塁率が.350〜380くらいあれば言うことはない。また、狭い球場を本拠地とするチームであれば、本塁打も15本くらいは期待できる。(本塁打が増えれば)必然的にOPSも上がってくる。秋山は、青木宣親(現ヤクルト)とプレースタイルが似ているので、青木のメジャー時代を想像してもらえれば良いと思う。青木が、打撃で結果を残せた理由のひとつには、狭い球場を本拠地に持つ球団を選んだことがあったのではないか」

 青木は12年にヤクルトからブルワーズに移籍。12年から2年連続で150試合以上に出場して、打率は.280台ながらも、出塁率は.350台という成績を残して、OPSを上げたことで高い評価を得た。こうした点を踏まえて、秋山も移籍先のチームを選ぶべきだという。

「秋山はプレースタイルから判断して、『投資しても失敗しない選手』といえる。契約したいチームは多いはずなので、彼自身が正しい選択をすることが重要になる。(打撃面を考えて)狭い球場を選ぶことです。(本拠地の球場が狭い)ブルワーズやレッズなどは良いかもしれない。現状では両チームとも外野手は不足しているようだ」

 ブルワーズの本拠地は、両翼約105m、中堅約121m。レッズの本拠地グレート・アメリカン・ボールパークも両翼約100m、中堅約123mといずれもメジャーでは小さめな球場といえる。ちなみに、大慈彌氏が在籍するフィリーズの本拠地も両翼約100m、中堅約122mと、秋山にとって活躍しやすい球場といえそうだが……。

「フィリーズは若くて良い選手が溢れている。しかも、外野には(昨オフにフィリーズと13年総額3億3千万ドルの超大型契約を結んだ)ブライス・ハーパーがいるので、フィリーズは、おそらくないでしょうね」

 残念ながら、フィリーズ入りはなさそうだが、秋山がMLBでどこまで通用するのか、期待は膨らむばかりだ。

週刊新潮WEB取材班

2019年10月25日 掲載

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