巨人が韓国SKで17勝の「サンチェス」を獲得 第2のバンデンハークになる可能性は?

巨人が韓国SKで17勝の「サンチェス」を獲得 第2のバンデンハークになる可能性は?

韓国・SK時代のサンチェス投手(C)ストライク・ゾーン

 巨人は12月13日、来季の新外国人投手として、韓国のSKワイバーンズに所属するエンジェル・サンチェス投手(30)と複数年契約を結んだと発表した。背番号は20。ドミニカ共和国出身の彼は、身長185センチ、体重88キロ。今季韓国プロ野球(KBO)でリーグ2位タイの17勝5敗、防御率2・62をマークした。原辰徳監督は、最速158キロの右腕を先発で起用するようだ。

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 サンチェスは、昨年2月の沖縄・那覇キャンプで巨人と練習試合で対戦している。初回から150キロ台の速球を連発して、スタンドをどよめかせた。2回を投げ、2安打されたものの、無失点で抑えた。

「その試合は、各球団のスカウトも見に来ていました。サンチェスは米国時代、2015年のシーズン後にトミー・ジョン手術を受けたそうで、16年は全休しています。『ブランクがあったのに、なかなかいいじゃないか』とみな興味を示していました」

 と解説するのは、韓国プロ野球専門のジャーナリストの室井昌也氏。

 2010年に大リーグ・ドジャースとマイナー契約を結び、その後マーリンズ、レイズ、Wソックスを経て15年からパイレーツへ。2Aと3A合計で13勝2敗。15年に右ひじを痛め、トミー・ジョン手術を受けた。17年にメジャーに昇格し、最終戦のナショナルズ戦で初勝利をあげた。その年の11月、韓国・SKに所属した。

 1982年に開幕した韓国プロ野球は、1リーグ制で、現在10球団が参加している。

「外国人選手枠は、2014年より3人になりました。韓国から日本のプロ野球へ移籍して成功した外国人選手は、近年では、15年にサムスンからソフトバンクに移籍したリック・バンデンハークくらいですね。18年にハンファから阪神に移ったウィリン・ロサリオは、韓国で大活躍して、阪神に移籍する際はかなり期待されました。しかし結果は残せなかったですね」(同)


■ボールの反発係数がプラスに


 この4年でKBOから日本に移籍した外国人選手を改めて挙げると、

 オランダ出身のリック・バンデンハーク投手(34)は、大リーグのマーリンズ、オリオールズ、パイレーツを経て2013年から韓国・サムスンへ。14年には、13勝をあげ、最優秀防御率(3・18)、最多奪三振(180)のタイトルを獲得し、サムスンの韓国シリーズ4連覇に貢献した。15年からソフトバンクへ。その年に9勝をあげ、16年5月10日の対ロッテ戦で初登板から無傷の14連勝を記録した。19年までに41勝をあげる活躍をしている。

 ドミニカ共和国出身で、捕手、一塁手のウィリン・ロサリオ選手(30)は、2011年にロッキーズでメジャーデビュー。16年から韓国・ハンファ・イーグルスに移籍。打率321、33本塁打、120打点。17年も打率339、37本塁打、111打点と大活躍した。18年に阪神に移籍。阪神歴代外国人選手の入団1年目では最高額とされる推定年俸3億4000万円に出来高分を加えた1年契約を結ぶも、打撃がふるわず、開幕49試合目に出場選手登録を抹消された。

 アメリカ出身のデーブ・ハフ投手(35)は、2009年にインディアンズでメジャーデビュー。その後、ヤンキース、ジャイアンツ、ドジャース、エンゼルスを経て、16年から韓国LGツインズに移籍し、7勝2敗、17年は6勝4敗。18年にヤクルトに移る。ランナーがいると連打され、7月に先発ローテーションを外れる。3勝6敗。19年はリリーフ投手に。27HP、3セーブ。

 ドミニカ共和国出身のヤマイコ・ナバーロ内野手(32)は、2010年にレッドソックスでメジャーデビュー。その後、ロイヤルズ、パイレーツ、オリオールズを経て、14年に韓国・サムスンに移籍した。15年に韓国プロ野球の外国人選手新記録となる48本塁打を打った。16年にロッテに移籍。オープン戦では2試合連続で本塁打を打った。ところが、飛行機でのチーム移動で、那覇空港での手荷物検査を受けた際、拳銃の実包を所持していたことで逮捕された。その後、処分保留で釈放されたが、成績はふるわず、12月に自由契約となった。

 韓国プロ野球は、日本よりレベルがやや低く、日本で必ずしも結果を残せるとは限らない。サンチェス投手はどうか。先の室井氏によれば、

「彼は、今季17勝、防御率は2・62と大活躍しました。被本塁打は2本でしたが、今年、韓国は試合球の反発係数を下げ、飛ばなくしたのです。昨年は韓国リーグ全体で1756本あった本塁打が、今年は1014本に減りました。防御率も、昨年は5・17でしたが、今年は4・17になっています。サンチェスの昨年の成績は8勝で、防御率は4・89。被本塁打は26本でした。彼にとってはリーグに慣れたことに加えて、ボールの反発係数が下がったこともプラスに働いたと思います」

 韓国の試合球の反発係数は、日本とほぼ同じレベルになったという。それでこの成績、17勝は無理にせよ、2ケタくらい勝てる可能性がありそうだ。

 サンチェスの長所は?

「平均152キロのストレートですね。全体の45・6%がストレートです。それから、135キロのカーブで、こちらは23・9%。それに、141キロのフォークで、これが18%となっています。あとはカットボールとチェンジアップですね。カーブやフォークが速く、ストレートとの緩急の差が小さい、打者からみれば、ストレートのタイミングで待っていれば対応できるので投球が単調という評価があります。ただ、キャッチャーが巧くリードして、たとえば、カーブの失投を減らして、ストレートのようにまっすぐ来て打者の手前でストンと落ちるフォークを投げさせれば強みになりますね」(同)

 ストレートは、浮き上がるような球筋ではなく、打者の手元で沈むので、ゴロを量産しやすいという。

「昨年11月に巨人の打撃コーチに就任した後藤孝志氏は、それ以前、韓国・斗山ベアーズの打撃コーチでした。サンチェス投手のことも当然良く知っています。打撃と投手で担当パートは違いますが、後藤コーチに助言を求めたらいいアドバイスが得られるのではないかと思います」(同)

 昨年オフ、韓国SKのメリル・ケリー投手は2年総額550万ドル(約6億円)でダイヤモンドバックスに移籍した。サンチェスはこの金額を上回るオファーを複数のメジャー球団から受けながら、条件面では劣る巨人と契約した。果たして、メジャーに挑戦する山口俊投手の穴を埋め、バンデンハークのようになれるか。

週刊新潮WEB取材班

2019年12月17日 掲載

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