「原巨人」セ・リーグ連覇へ課題山積…昨年15勝「山口俊」の穴をどうやって埋めるか

「原巨人」セ・リーグ連覇へ課題山積…昨年15勝「山口俊」の穴をどうやって埋めるか

原辰徳監督

 昨年は原辰徳監督が復帰して、いきなり5年ぶりのリーグ優勝を果たした巨人。ライバルである広島からFAで獲得した丸佳浩を中軸として、しっかり機能させただけでなく、入団後にくすぶっていた山口俊や大竹寛を蘇らせた手腕はさすがと言うべきだろう。しかし、このオフは「FA宣言したら手を挙げるのが巨人」という言葉とは裏腹に美馬学(楽天→ロッテ)、鈴木大地(ロッテ→楽天)、福田秀平(ソフトバンク→ロッテ)の争奪戦にことごとく敗れる結果となった。逆に、昨年エースとしての働きを見せた山口が球団初となるポスティングシステムでメジャーへ移籍しており、その穴を懸念する声も多い。巨人のセ・リーグ連覇に必要となるものは何か、またキーマンは誰となるのか、探ってみたい。

 まず投手陣だが、主な一軍候補選手とその昨年の成績は以下の通りである。

【先発】
菅野智之:22試合 136回1/3 11勝6敗 防御率3.89
メルセデス:22試合 120回1/3 8勝8敗 防御率3.52
桜井俊貴:29試合 108回1/3 8勝6敗 防御率4.32
高橋優貴:18試合 93回 5勝7敗 防御率3.19
今村信貴:17試合 81回2/3 3勝2敗 防御率4.08
サンチェス:新加入

【リリーフ】
中川皓太:67試合 4勝3敗16セーブ17ホールド 防御率2.37
田口麗斗:55試合 3勝3敗1セーブ14ホールド 防御率4.13
高木京介:55試合 3勝1敗0セーブ10ホールド 防御率3.83
沢村拓一:43試合 2勝2敗1セーブ13ホールド 防御率2.61
大竹寛:32試合 4勝0敗0セーブ12ホールド 防御率2.77
鍵谷陽平:27試合 0勝2敗0セーブ6ホールド 防御率3.00
戸根千明:26試合 0勝1敗0セーブ8ホールド 防御率1.99
デラロサ:26試合 1勝0敗8セーブ5ホールド 防御率2.25

【その他候補】
畠世周、野上亮磨、古川侑利、宮國椋丞、高田萌生、戸郷翔征、堀岡隼人、鍬原拓也、田原誠次、大江竜聖、岩隈久志、藤岡貴裕、ビエイラ

 大きなポイントとなるのは昨年15勝4敗という好成績を残した山口の穴をどう埋めるかという点である。まず、期待できるのが菅野の復調だ。昨年は腰痛の影響で自己ワーストの防御率に沈んだが、本来の調子を取り戻せば15勝前後は堅いと見られる。しかし、逆に言えば昨年のような状態が続くようだと、さらに厳しい台所事情になることは間違いない。月並みだがエースの復調が最大の焦点と言えるだろう。

 もう一人の上積み候補が新外国人のサンチェスだ。メジャーでの実績はないが、昨年は韓国のSKで17勝5敗と見事な成績を残している。映像を見る限りでは、コントロールも良く、日本球界に対応できるタイプに見える。過去にもグライシンガー(元ヤクルト・巨人)やバンデンハーク(ソフトバンク)など韓国球界で実績を残してから日本で活躍している選手は少なくないだけに、先発で二桁勝利は期待したいところだ。

 菅野が復活してサンチェスが期待通りの働きを見せたとしても不安要素がないわけではない。3番手以降の先発は相変わらず流動的で、リリーフ陣もまた万全とは言い難い。上積みが必要となるが、その中で期待したいのが畠、高田、堀岡の若手三人だ。畠は今年右肘の故障に苦しんだが、オフに参加したアジアウインターリーグでは好投を見せており、復調を印象付けている。二軍では高田が先発、堀岡がリリーフで結果を残していることも好材料だ。将来を考えても彼らの抜擢と飛躍に期待したい。

 一方の野手は以下のような布陣が予想される。

捕手:小林誠司(92試合 52安打2本塁打19打点1盗塁 打率.244)
一塁:大城卓三(109試合 78安打6本塁打30打点0盗塁 打率.265)
二塁:吉川尚輝(11試合 16安打0本塁打3打点1盗塁 打率.390)
三塁:岡本和真(143試合 147安打31本塁打94打点3盗塁 打率.265)
遊撃:坂本勇人(143試合 173安打40本塁打94打点5盗塁 打率.312)
左翼:パーラ(新加入)
中堅:丸佳浩(143試合 156安打27本塁打89打点12盗塁 打率.292)
右翼:亀井善行(131試合 128安打13本塁打55打点9盗塁 打率.284)

【その他候補】
捕手:炭谷銀仁朗、岸田行倫
内野手:若林晃弘、田中俊太、山本泰寛、増田大輝、中島宏之
外野手:陽岱鋼、石川慎吾、重信慎之介、立岡宗一郎、山下航汰

 強みはやはり坂本、丸、岡本の三人が安定している点だ。この三人でマークした98本塁打、277打点は今年も同等程度の数字が期待できるだろう。一方で流動的なのがそれ以外のポジションだ。捕手はディフェンス型の小林、攻撃型の大城、経験豊富な炭谷の併用で乗り切れそうだが、セカンドと外野は不安要素が多い。セカンドは若林、田中、山本の起用が多かったが、期待を込めて吉川を推したい。昨年は腰痛でわずか11試合の出場に終わったが、広い守備範囲とスピードは大きな武器である。吉川が1番か2番に定着するようだと、さらに得点力アップが期待できるだろう。

 外野手は大ベテランの亀井と新外国人のパーラが不安要素になる。そこで期待したいのが山下だ。昨年は1年目ながら、いきなり二軍で首位打者を獲得し、シーズン終盤には一軍でヒットも放っている。山下が亀井、パーラと併用できるくらいに成長してくれば、将来的にも大きな強みになるだろう。

 他球団と比べて圧倒的なアドバンテージがあるようには見えないが、トータルで見ると選手層はさすがというべきものがある。中でもポイントになりそうなのは、やはり新しい力の台頭だ。昨年はどちらかというと中堅、ベテランの頑張りが目立ったが、今年は原監督が第二次政権で見せたような若手の抜擢に期待したい。その他候補から実績組ではなく、若手が飛び出してくるようになれば、連覇の可能性は高くなるだろう。

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

週刊新潮WEB取材班編集

2020年1月16日 掲載

関連記事(外部サイト)