ソフトバンクの5年後を占う…次代のエース候補は“元米ドラ1”のスチュワート

ソフトバンクの5年後を占う…次代のエース候補は“元米ドラ1”のスチュワート

ソフトバンクのスチュワート

 マイナーリーグの下部組織が充実している米国では、常に3年後、5年後のオーダーを見据えながら選手の編成、補強を行っている。日本のプロ野球では登録枠数の問題から、そこまで選手を抱えることはできないが、ソフトバンクなどを筆頭に長期的なスパンで選手を獲得している球団が出てきていることも確かだ。そこで現在所属している選手で5年後のオーダーを組んだ時にどんな顔ぶれになるかを考えながら、各球団の補強ポイントを探ってみたい。今回は日本シリーズ三連覇中のソフトバンクだ。

・5年後の野手(※年齢は2025年の満年齢)
捕手:甲斐拓也(33歳)
一塁:リチャード(26歳)
二塁:今宮健太(34歳)
三塁:増田珠(26歳)
遊撃:川瀬晃(28歳)
左翼:佐藤直樹(27歳)
中堅:周東佑京(29歳)
右翼:上林誠知(30歳)
DH:柳田悠岐(37歳)

・5年後の先発投手
スチュワート・ジュニア(26歳)
高橋純平(28歳)
松本裕樹(29歳)
武田翔太(32歳)
高橋礼(30歳)

・5年後のリリーフ陣
森唯斗(33歳)
モイネロ(30歳)
甲斐野央(29歳)
杉山一樹(28歳)
古谷優人(26歳)
田浦文丸(26歳)

 最大のポイントとなるのは野手の世代交代だ。内川聖一、松田宣浩、デスパイネ、グラシアル、バレンティンの中軸5人は5年後には戦力としては計算できず、柳田と今宮もオーダーには残したものの、年齢を考えれば成績の低下は避けられないだろう。彼らの穴をどう埋めるかが今後の課題となってくる。そんな中で比較的安心して、見ていられるのが捕手だ。甲斐が5年後もまだ33歳で、若手の栗原陵矢、九鬼隆平に加えて昨年のドラフト2位で獲得した海野隆司も控えている。しばらく補強しなくても問題はないだろう。

 気になるのはやはり内野陣だ。ファーストの内川とサードの松田、さらに数年前と比べると守備成績が低下している今宮の後釜のショートも必要になってくる。今宮をセカンドに回してショートに川瀬を入れ、ファーストには売り出し中のリチャード、サードには二軍で好成績を残している増田という布陣としてみたが、全体的に心もとない印象は否めない。

 今シーズン中に山田哲人(ヤクルト)がFA権を取得する見込みだが、全力を挙げて獲得に動くのが得策と言えそうだ。外野は37歳になる柳田をDHに回したが、上林、周東と一軍で実績のある選手がいるだけに内野と比べると見通しは明るい。ただ、ドラフト1位ルーキーの佐藤も含めて、全体的にリードオフマンタイプの選手が多く、攻撃を考えると破壊力は乏しい。ある程度は外国人選手で補えるかもしれないが、やはり和製大砲候補はほしいところだ。

 一方の投手陣は現在いる選手だけでも十分にローテーション、リリーフとも補えるだけの人材が揃っている。特に楽しみなのがスチュワート・ジュニア。2018年のMLBドラフト1巡目(全体8位)で指名されながら条件面で折り合わず、昨年5月に19歳の若さで来日。昨シーズンは主に三軍でプレーしたが、この春は二軍の練習試合で快投を見せており、順調な成長を印象付けた。千賀滉大のメジャー移籍が現実味を帯びてきているが、次代のエースはこのスチュワート・ジュニアになるかもしれない。

 続く存在としては高校卒ドラフト1位の高橋純平、松本、武田が並ぶ。全員が順調に成長しているわけではないが、まだまだその才能は底を見せておらず、これから大成する期待を込めて名前を挙げた。他にも田中正義、大竹耕太郎、泉圭輔、そして今年育成選手から支配下登録された尾形崇斗なども候補となるだろう。

 リリーフ陣も森、モイネロがまだ30代前半であり、甲斐野、杉山の快速右腕コンビも楽しみだ。また古谷、田浦という若手サウスポーも控えている。他にも5年後に30歳前後となる選手としては松田遼馬、椎野新、津森宥紀なども候補となる。質、量ともにこれだけ揃っているのは12球団の中でソフトバンクだけだ。

 過去3年間のドラフトを見ても、清宮幸太郎(日本ハム)、安田尚憲(ロッテ)、小園海斗(広島)、石川昂弥(中日)と大物高校生野手を果敢に指名しており、その方針自体は間違っていない。くじ運に見放されているのは残念だが、今後も長距離砲、ショートを中心に積極的に大物野手を狙ってもらいたい。

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

週刊新潮WEB取材班編集

2020年6月8日 掲載

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