楽天「ウィーラー」が巨人にトレードされた裏に小林誠司【柴田勲のセブンアイズ】

楽天「ウィーラー」が巨人にトレードされた裏に小林誠司【柴田勲のセブンアイズ】

楽天のゼラス・ウィーラー内野手

 リーグ2連覇を狙う原(辰徳)巨人が開幕から9試合を6勝2敗1分とまずはいいスタートを切った。

 なによりエース・菅野智之で落としそうな試合をモノにしたのがよかった。開幕の阪神戦で投手の西勇輝に連続で痛打を浴びたが、吉川尚輝の逆転弾が飛び出した。初勝利となった。

 26日のヤクルト戦では1点リードの6回にヤクルト打線につかまって逆転を許した。これもリリーフ陣と打線が奮起して黒星が消えた。

 巨人は菅野で落とすときつい。これを帳消しにしたのだから、チームにとっても菅野にとっても大きい。

 調子そのものは悪くない。5回までは三塁を踏ませぬ好投だった。だが、6回は球が高めに浮き出した。ちょっとコントロールが甘くなる時がある。そこを付け込まれる。

 本人もわかっているだろう。次回、スッキリ勝てば乗っていけるはずだ。

 主砲・岡本和真が絶好調だ。昨季、初めて開幕で4番に座り、1シーズン戦ってきた。自信がついたのだろう。打席では力が抜けてドッシリと構えている。下半身主導のフォームで振りぬけている。

 9試合で本塁打4本、打率・472、打点10、得点圏打率・833と大波に乗っている。

 これまでは内角のシュートやボールになるフォークに手を出していたが、これを捨ててじっくりと見極めている。必ず甘い球はくる。これを徹底できれば打撃フォームが崩れることはないと思う。

 岡本は、メンタル面が充実している。坂本勇人にしても開幕前に新型コロナに感染してチームに迷惑をかけたという気持ちが強いようで、プレーに危機感と主将としての責任感が感じられる。通算2000本安打まであと105本、これもモチベーションを高めている。

 丸佳浩に関しては開幕から力んでいた。今年もやらなきゃという意識が強かったようだ。でも、自分のポイントで打てるようになってきたし、なにより状況に応じた打撃を心がけている。完全復調は近い気がする。

 1番に吉川尚が期待されていたが、首脳陣には物足りないようだ。でも、増田大輝や北村拓己らを使うよりも、前回も記したが、吉川尚は9番で起用し、1番には亀井善行か陽岱鋼を入れて、連動させたらどうか。

 吉川尚は粘って四球を選ぶような1番タイプではないように思える。どちらかといえば、積極的に打ちにいく。こんな長所を生かすのなら、9番で自由に打たせた方がいい。あの守備と足をベンチに置くのはもったいない。

 さて、巨人が池田駿投手と楽天のゼラス・ウィーラー内野手の交換トレードを行った。

 ウィーラーは来日5年で106本塁打をマークしており、巨人はさらなる戦力補強の一環で右の長距離砲を探しており、左腕が手薄だった楽天と思惑が一致したという。

 これは小林誠司捕手の離脱も関係しているのではないか。21日の阪神戦で左前腕に死球を受けた。左尺骨骨折で骨の癒合まで約1カ月かかる見込みだという。出場選手登録を抹消されており、現在はリハビリ中だ。復帰しても本調子に戻るまで時間がかかる。

 捕手陣は炭谷銀仁朗、大城卓三、それに岸田行倫の3人で、大城は捕手で固定されるだろうから、一塁で起用しづらくなった。一塁を主に中島宏之が守っているが、不調に陥った時はウィーラーを起用できる。こんな思惑があるのかも。

 さらに左翼の方も経験を積んでおり亀井、陽岱鋼のバックアップもできる。右の代打の切り札としてもOKで攻撃の幅が広がる。

 一方、池田は今年で4年目だが、社会人出身で経験は豊富だ。でも、最近はファームでも出番がなかった。新天地では貴重な左腕として先発、リリーフを含めて活躍が期待される。本人にとってもいいトレードになったと思う。

 楽天にしてもウィーラーの年俸は2億円である。外国人枠に敗れて2軍生活を送っていた。このまま高額助っ人を置いておくよりも巨人に移籍させて経費を浮かす狙いもあっただろう。また、池田の年俸は1450万円だが、今後の成長が望める好素材だ。

 巨人、楽天の両球団にはいいトレードになった。

 25日、巨人対広島(東京ドーム)。ラジオの実況中継で解説を行った。やはり、無観客は違和感があった。私自身、お客さんがいないところでプレーしたことがないし、仕方ないことだが、盛り上がりにいまひとつ欠けていたように思える。ベンチのマスク姿も気になった。

 でも、逆にお客さんがいないことで、プレッシャーを感じず、リラックスしてプレーしている選手がいるかもしれない。アメリカや国内のゴルフに注目しているけど、全体的にスコアがいい。

 これも無観客効果かなと考えた。

 巨人は30日から東京ドームでDeNA、中日との6連戦だ。巨人の勢いが本物なのかどうか。楽しみである。

柴田勲(しばた・いさお)
1944年2月8日生まれ。神奈川県・横浜市出身。法政二高時代はエースで5番。60年夏、61年センバツで甲子園連覇を達成し、62年に巨人に投手で入団。外野手転向後は甘いマスクと赤い手袋をトレードマークに俊足堅守の日本人初スイッチヒッターとして巨人のV9を支えた。主に1番を任され、盗塁王6回、通算579盗塁はNPB歴代3位でセ・リーグ記録。80年の巨人在籍中に2000本安打を達成した。入団当初の背番号は「12」だったが、70年から「7」に変更、王貞治の「1」、長嶋茂雄の「3」とともに野球ファン憧れの番号となった。現在、日本プロ野球名球会副理事長を務める。

週刊新潮WEB取材班編集

2020年6月30日 掲載

関連記事(外部サイト)