「2番に強打者」もマネ… 日本プロ野球はメジャーの二番煎じばかりで良いのか

「2番に強打者」もマネ… 日本プロ野球はメジャーの二番煎じばかりで良いのか

柳田悠岐

 新型コロナウイルスの影響で6月まで開幕がずれ込んだ今季のプロ野球だが、ここ数年で目立ってきた「2番・強打者」起用の流れは複数のチームで続いている。

 昨季に「最強2番打者」として巨人のリーグ優勝に貢献してMVPを獲得した坂本勇人は今季2番の座を丸佳浩と分け合っているが、丸も昨季は27ホーマーを放った堂々たる強打者だ。

 2年連続セ・リーグ本塁打王に輝いたDeNAの大砲ソトは、今季も引き続き2番がメイン。トリプルスリー3回達成の山田哲人(ヤクルト)も2番が定位置となっている。そのほかでは、昨季33本塁打のブラッシュ(楽天)、「Mr.フルスイング」柳田悠岐(ソフトバンク)らスラッガーも2番で試されたことがある。

 20年ほど前に「バントをしない2番打者」として小笠原道大(日本ハム)が個人的に大活躍したことはあったが、近年の攻撃的2番打者の流行はMLBが源流だ。向こうでは数年前からリーグ屈指の強打者が2番打者を務めるチームが増えている。

 大谷翔平のチームメートで「現役最強打者」の呼び声も高いマイク・トラウト(エンゼルス)は昨季の先発出場133試合がすべて2番でのもの。この打順で45本塁打、104打点、110得点と大活躍し、犠打はゼロだった。

 ヤンキースの主砲アーロン・ジャッジも先発出場99試合のうち98試合が2番。27ホーマーを放った一方で、犠打はもちろんひとつもなかった。打率3割2分9厘でナ・リーグ首位打者となり、44本塁打、97打点を稼いだクリスチャン・イエリチ(ブルワーズ)は127試合のうち100試合が2番スタメンで、彼もまた犠打は一度もなかった。

 この「2番=最強打者論」はセイバーメトリクスなどのデータ分析によると、有意性はあるが従来の4番に強打者を置く打順と比較すると、そこまで顕著な差は出ないとも言われている。結局はそのチームの戦力、そして監督の好みの問題に落ち着くのかもしれない。

 あえてきつい言い方をすれば、日本でのこうした起用法も、NPBに特有な「MLBの後追い」の範疇に入る。なにせ各種のルール導入などNPBの大きな動きは、ほぼ全てがMLBで先に実施されたものだからだ。

 捕手や内野手への危険な接触プレーを禁じた「コリジョンルール」、審判の微妙な判定に異議を申し立てる「チャレンジ(NPBではリクエスト)」、投手が投げずに打者を歩かせる「申告敬遠」など、メジャーの後追いをした例は近年だけでも枚挙にいとまがない。

 そして今後も、マイナー選手の飼い殺しを防ぐMLBの「ルール5ドラフト」を参考にしたと思われる「現役ドラフト」や、「ワンポイントリリーフ禁止」などの導入が見込まれている。このうち、後者は試合時間の短縮を大きな狙いの一つとしているものだが、これは米メディアでも酷評が目立つもの。効果が限定的過ぎる一方で監督の起用法を縛るデメリットが大きい、という論法だ。だが、NPBはそうした批判の声の数々にもかかわらず、“右へ倣え”とばかりに今季終了後の導入検討を決めている。

 これらの新ルール自体、ほとんどは優れたもので、選手の安全確保やより正確な試合進行などに寄与している。申告敬遠に関してはドラマ性が失われるという意見もあったが、実際に導入された今となっては元に戻せという声はほぼ聞こえなくなった。

 一方で、NPBが発案した新ルールや起用法がMLBに導入されたという例はほぼない。大谷翔平による「二刀流ルール」制定の流れはあったが、あれはあくまでも大谷という規格外の個人あってのもので、NPBが何らかの影響力を発揮したものではない。これは野球が国民的な人気スポーツである事実を踏まえると、いささか残念ではないか。

 もちろん、NPBとMLBでは資金力や組織力に大きな開きがある。だが、選手の起用法など、大金をかけずとも生み出せる工夫もあるはずだ。近い将来、NPB発のトレンドがMLBで流行するシーンを見せてくれることを期待してやまない。

週刊新潮WEB取材班

2020年8月7日 掲載

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