「藤川球児」引退表明で“松坂世代”消滅の危機…最後まで生き残るベテラン選手は?

藤川球児が今季限りで引退 現役の『松坂世代』は松坂大輔、和田毅、久保裕也ら4人に

記事まとめ

  • 名球会入りまであと5セーブに迫っている阪神タイガース藤川球児が今季限りで引退する
  • これで、現役の『松坂世代』は松坂大輔、和田毅、久保裕也、渡辺直人の4人となる
  • しかし、一軍の戦力となっているのは和田だけで、残りの3人も引退の危機を迎えている

「藤川球児」引退表明で“松坂世代”消滅の危機…最後まで生き残るベテラン選手は?

「藤川球児」引退表明で“松坂世代”消滅の危機…最後まで生き残るベテラン選手は?

藤川球児

 阪神は8月31日、藤川球児が今季限りで引退すると発表した。藤川は今年で40歳となるいわゆる「松坂世代」。名球会入りの条件となる日米通算250セーブまであと5セーブに迫っているだけに、ファンからは何としても達成してもらいたいという声も多いが、チームを重んじる藤川の性格と現在のコンディションを考えると難しい状況と言えそうだ。

 これで現役を継続している「松坂世代」は、松坂大輔(西武)、和田毅(ソフトバンク)、久保裕也(楽天)、渡辺直人(楽天)の4人となるが、今シーズン一軍の戦力となっているのは和田だけであり、残りの3人も引退の危機を迎えている。また、先日は一学年上の石原慶幸(広島)が試合中の走塁で左足を痛めて登録抹消となった。そんな中で今季40歳以上となる選手で最後まで生き残るのは果たして誰になるのか。ここまでのプレーぶりから探ってみたい。

 改めて引退を表明した藤川以外で松坂世代以上の選手と今季ここまでの成績を並べてみると以下のようになる(※成績は藤川が引退を発表した8月31日時点)。

福留孝介(阪神):1977年4月26日生まれ
34試合 12安打 1本塁打 11打点 打率.169

山井大介(中日):1978年5月10日生まれ
3試合 0勝0敗0セーブ0ホールド 防御率11.25

能見篤史(阪神):1979年5月28日生まれ
16試合 1勝0敗0セーブ3ホールド 防御率5.84

五十嵐亮太(ヤクルト):1979年5月28日生まれ
一軍出場なし

石原慶幸(広島):1979年9月7日生まれ
3試合 0安打 0本塁打 0打点 打率.000

細川亨(ロッテ):1980年1月4日生まれ
一軍出場なし

石川雅規(ヤクルト):1980年1月22日生まれ
5試合 0勝2敗0セーブ0ホールド 防御率5.55

久保裕也(楽天):1980年5月23日生まれ
5試合 1勝0敗0セーブ1ホールド 防御率13.50

松坂大輔(西武):1980年9月13日生まれ
一軍出場なし

渡辺直人(楽天):1980年10月15日生まれ
一軍出場なし

和田毅(ソフトバンク):1981年2月21日生まれ
9試合 4勝1敗0セーブ0ホールド 防御率3.33

 冒頭でも触れたが、圧倒的な成績を残しているのはやはり和田だ。開幕ローテーション入りを果たし、ここまでチームで3位となる4勝をマークし、防御率も3点台前半と安定したピッチングを続けている。元々、スピードで勝負するタイプではないが、今でもコンスタントに140キロ台のスピードをマークしており、昨年と比べてもストレートの被打率が改善しているというのは見事という他ない。よほどのことがない限りは、来年もユニフォームを着ることは間違いないだろう。ただ、気がかりなのは選手層の厚いチーム事情だ。少しでも成績が落ちると肩を叩かれる可能性は高く、一年一年が勝負となる。

 そういった意味では和田よりも長く続ける可能性がありそうなのが石川だ。今年はここまで勝ち星には恵まれていないものの、開幕投手を務めるなど投手陣の弱いチームにとって、まだまだ貴重な存在となっている。上半身のコンディション不良から一軍復帰を果たした8月25日の対巨人戦では菅野智之と投げ合い、チームは敗れたものの5回を2失点としっかりと試合を作って見せた。通算171勝は現役最多であり、本人も200勝に意欲を見せている。またヤクルトという功労者には優しい球団の体質というのも石川にとっては追い風であり、山本昌(元中日)のように長く現役を続ける可能性もありそうだ。

 投手でもう一人まだ余力が残っているように見えるのが能見だ。防御率はここまで5点台という数字にはなっているものの、これは6月30日の中日戦での4失点が大きく響いており、ここまで登板した16試合中11試合は無失点で抑えている。スピードはまだ140キロ台中盤をマークし、イニング数を上回る奪三振を記録しているのも立派だ。藤川が去った後のリリーフ陣を支える精神的な支柱として、来年も期待される存在となりそうだ。

 一方の野手は一軍でヒットを放っているのが福留だけという状況。その福留もかろうじて一軍の戦力とはなっているが、ここまで打率は1割台と苦しいシーズンが続いている。来季も現役でプレーしている野手は0となる可能性も高い。

 ちなみに、和田と石川は1997年の夏の甲子園で対戦しており、当時はともにプロから注目されるような投手ではなかった。能見は高校時代から評判のサウスポーだったものの、社会人では相次ぐ故障に苦しみ、プロ入りしたのは26歳になるシーズンからである。そんな彼らが高校時代から大スターだった松坂よりも長く現役を続ける可能性が高いというのも、またプロ野球の持つ魅力の一つとも言えるのではないだろうか。

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

週刊新潮WEB取材班編集

2020年9月2日 掲載

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