巨人とソフトバンクの戦力は2対8、栗原の一発が効きすぎた【柴田勲のセブンアイズ】

巨人とソフトバンクの戦力は2対8、栗原の一発が効きすぎた【柴田勲のセブンアイズ】

栗原陵矢

 史上初の2年連続4連敗、今年の日本シリーズはまた巨人がソフトバンクの前に完敗を喫した。球団ワーストの13失点とか9回2死まで無安打といいところがなかった。 私、シリーズ前、ソフトバンクの4勝2敗と予想したが、第1戦、菅野智之で負けた時点で4連敗もあるなと思った。

 今年の日本シリーズは両チームの勢いの差がクッキリと出た。ソフトバンクはペナントレースの前半戦から中盤にかけてモタモタしたが、最後は素晴らしい勝ちっぷりでリーグを制した。巨人は前半戦から中盤まではキッチリと戦ってきたものの最後の最後でモタモタしてしまった。シリーズまでにチームを立て直せなかった。

 戦力的にはソフトバンク5・5対巨人4・5かなと見ていたけど、終わってみれば8対2くらいに感じた。なにより第1戦の栗原陵矢の一発が効いた。いや、この先制弾は巨人には嫌な意味で効きすぎた。

 菅野、決して調子は悪くなかった。でもほんの少しのコントロールミスでスライダーが内角に甘く入ってしまった。これを見逃さなかった栗原の鮮やかな一振りだった。

 これで、もともとソフトバンクには勢いがあるのにシリーズの流れまで渡した。

 私、巨人が勝つためには2人以上のラッキーボーイの出現が必要と記した。今シーズン17本塁打でブレークした栗原だったが、ロッテとのクライマックス・シリーズでは2試合で5打数無安打だった。

 これで栗原が乗った。第1戦では3安打4打点、第2戦は4安打、第3、4戦は無安打ながら4試合で打率5割、MVPを獲得した。

 巨人に必要だったラッキーボーイがソフトバンクに出た。しかも甲斐拓也もリード面のみならず打撃面でも活躍した。複数のラッキーボーイが出現した格好だ。

 巨人で期待する選手として丸佳浩と岡本和真の名前を挙げたけど、丸が2安打、岡本が1安打だったし、坂本勇人は3安打で打点1だった。

 巨人の主軸が全く機能しなかった。これでは勝てない。

 ソフトバンクの打者たちの振りは鋭かった。甘い球を強振して仕留めていた。巨人の打者たちにも甘い球が来てはいたもののファウルになるケースが目についた。押し込まれていたし振りも鈍かったように思えた。

 パ・リーグには千賀滉大や楽天の則本昂大らに代表されるようにパワー系の投手が結構いる。彼らに打ち勝つためには力負けしない強い振りが必要になる。こんなこともソフトバンク打者たちの振りの鋭さの要因かなと感じた次第だ。

 投手陣を見てもソフトバンクの投手陣は制球力がよかった。先発陣だけではなく、嘉弥真新也、高橋礼、松本裕樹、岩嵜翔、リバン・モイネロ、そして森唯斗ら救援陣もここぞのシーンでの制球力を見せつけた。

 ソフトバンクが勢いの差とともに投打に亘って圧倒したシリーズだった。

 原辰徳監督以下、コーチ陣、そして選手たちはこの屈辱を忘れないだろう。来季に向けてこの敗戦を糧に、まずはリーグ制覇を目指して始動してもらいたい。

柴田勲(しばた・いさお)
1944年2月8日生まれ。神奈川県・横浜市出身。法政二高時代はエースで5番。60年夏、61年センバツで甲子園連覇を達成し、62年に巨人に投手で入団。外野手転向後は甘いマスクと赤い手袋をトレードマークに俊足堅守の日本人初スイッチヒッターとして巨人のV9を支えた。主に1番を任され、盗塁王6回、通算579盗塁はNPB歴代3位でセ・リーグ記録。80年の巨人在籍中に2000本安打を達成した。入団当初の背番号は「12」だったが、70年から「7」に変更、王貞治の「1」、長嶋茂雄の「3」とともに野球ファン憧れの番号となった。現在、日本プロ野球名球会副理事長を務める。

週刊新潮WEB取材班編集

2020年11月27日 掲載

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