今年は正念場、日ハム「清宮幸太郎」に物足りなさを感じてしまう“根本的な問題”

今年は正念場、日ハム「清宮幸太郎」に物足りなさを感じてしまう“根本的な問題”

清宮幸太郎(日本ハム)

 今シーズンが正念場と言える選手は少なくないが、プロ入り4年目を迎える清宮幸太郎(日本ハム)もその一人と言える。早稲田実時代は史上最多となる高校通算111本塁打を放ち、高校生野手としては福留孝介(1995年:PL学園→近鉄入団拒否)と並ぶ7球団競合の末、日本ハムに入団したが、いまだレギュラー定着は果たせていない。清宮の外れ1位だった村上宗隆(ヤクルト)が既にチームの4番はおろか、セ・リーグを代表する打者となっていることを考えると、この現状に寂しさを感じるファンも多いだろう。

 しかし、清宮のこの3年間は本当に“期待外れ”と評するレベルのものなのだろうか。「統一ドラフト」となった2008年以降に1位でプロ入りした高校卒野手のプロ入り3年間の合計成績を並べてみると、以下のようになった。

清宮幸太郎(2017年日本ハム1位):230試合126安打21本塁打73打点
安田尚憲(2017年ロッテ1位):130試合95安打7本塁打61打点
村上宗隆(2017年ヤクルト1位):269試合249安打65本塁打184打点
中村奨成(2017年広島1位):4試合0安打0本塁打0打点
平沢大河(2015年ロッテ1位):185試合90安打6本塁打38打点
オコエ瑠偉(2015年楽天1位):136試合83安打6本塁打23打点
岡本和真(2014年巨人1位):35試合13安打1本塁打6打点
森友哉(2013年西武1位):286試合260安打33本塁打129打点
渡辺諒(2013年日本ハム1位):12試合4安打1本塁打1打点
高橋大樹(2012年広島1位):2試合0安打0本塁打0打点
高橋周平(2011年中日1位):168試合97安打13本塁打44打点
川上竜平(2011年ヤクルト1位):一軍出場なし
山下斐紹(2010年ソフトバンク1位):11試合4安打0本塁打0打点
山田哲人(2010年ヤクルト1位):120試合110安打4本塁打27打点
後藤駿太(2010年オリックス1位):179試合48安打3本塁打13打点
今宮健太(2009年ソフトバンク1位):144試合73安打2本塁打14打点
筒香嘉智(2009年横浜1位):151試合120安打19本塁打68打点
大田泰示(2008年巨人1位):17試合4安打0本塁打3打点

 完全なレギュラークラスと言える成績を残しているのは村上、森、山田(3年目に106安打)の三人くらいであることがよく分かる。打者としてのタイプが異なる選手も多いため、単純に比較はできないが、21本というホームラン数は村上、森に続く3番目の数字であり、同じ左のスラッガータイプである筒香を上回っている。これを見ると、決して悲観するような成績ではないことが分かるだろう。

 では、なぜ清宮に物足りなさを感じるという声が多いのだろうか。まず大きいのは冒頭でも触れた村上の存在だ。清宮の外れ1位で、しかも同じ左のスラッガータイプである村上と比べると、その存在は霞んでしまうことは間違いない。ただ、これに関しては清宮がどうこうというよりも、村上が規格外と考えるのが妥当ではないだろうか。

 古くは中西太、豊田泰光(いずれも西鉄)、張本勲(東映)など高校卒の早い段階からホームランを量産した選手もいるが、80年代以降で村上のホームラン数を上回っているのは清原和博(西武)しかいない。松井秀喜(巨人)ですら3年目までに放ったホームランは53本であり、これを見てもいかに村上の成績が飛びぬけているのかがよく分かるだろう。

 もうひとつ物足りなさを感じる原因は、3年間で清宮の成績に上昇の気配が見られないという点だ。過去3年の主な成績を見ると、安打数は32→51→43、本塁打数は7→7→7、打点は18→33→22、打率は.200→.204→.190と見事に横ばいで推移している。仮に3年間のホームラン数が同じ21本だったとしても、徐々に増えてきていれば、印象もだいぶ違っていたであろう。

 ただ、これまでの清宮のプロ生活を見ていると、成績が停滞している原因は見えてくる。大きいのは体力面の問題だ。プロ1年目のキャンプでは体調を崩し、2年目はシーズン前に右手首を骨折。そのオフには右肘も手術して3年目の出遅れにも繋がっている。

 こうした背景は、やはり高校時代の過ごし方にあったのではないだろうか。早稲田実は東京でも屈指の実力校ではあるが、他の強豪と言われるチームと比べても練習量はそれほど多くない。野球部員であっても、成績が悪ければ進級できないこともあり、テスト期間中の勉強が厳しいことで知られている。

 それにくわえて、清宮は2年秋から3年夏にかけて、かなりの招待試合などで多くの実戦をこなしており、体力作りにかける時間が少なかった。弱点と言われている守備についても、高校時代の練習量が響いていると言えるだろう。

 とはいえ、3年間のプロ生活を経て、ようやく戦える準備ができたようにも見える。このオフは故障の影響もなく、キャンプでも初日から快音を響かせている。松井、岡本、山田など高校卒4年目に、一気に成績を伸ばした選手が多いことも事実だ。キャンプ、オープン戦をこのまま無事に乗り切り、周囲を驚かせるような活躍を見せてくれることを期待したい。

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

週刊新潮WEB取材班編集

2021年2月7日 掲載

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