猛虎の“大型プロスペクト”佐藤輝明の可能性やいかに!?オープン戦から探る理想の起用法と将来像

猛虎の“大型プロスペクト”佐藤輝明の可能性やいかに!?オープン戦から探る理想の起用法と将来像

オープン戦で本塁打王となった佐藤輝明。この若き大砲の活躍が、今季の矢野タイガースの命運を握っているのは間違いない。 写真:山手琢也

期待と夢の詰まった“風船”は膨らんだまま、初陣に辿り着いた。

 阪神タイガースのドラフト1位、佐藤輝明の見せた今春のパフォーマンスは周囲の予想を良い意味で覆し続けた。オープン戦では6本塁打を放ち、ドラフト制以降では史上初となる新人での本塁打王となった。猛虎待望の大型プロスペクトの登場だ。

 本格的にシーズンが始まれば、これまで以上の厳しい攻めが予想される。2月のキャンプ中から背番号8に徹底したマークを敷いてきた各球団のスコアラーが集めてきたデータをもとに弱点もあぶり出されていくだろう。

 対左、内角攻め、変化球への対応など、すでに課題はある。当然、洗礼も待っているだろうし、壁にもぶつかるだろう。ただ、佐藤が“ホンモノ”と感じさせる場面を今春に何度も見せてきたことも事実だ。

 最も衝撃的かつプロでの飛躍を感じさせたのが、3月12日に本拠地甲子園で行なわれた西武戦。相手の開幕投手である高橋光成から放った一発だった。

 シュート回転で内角から真ん中寄りに入った146キロの直球を捉えた打球は左翼スタンドに着弾した。この時、左翼から右翼方向への「逆風」が吹いていた。
  甲子園は左翼方向への強烈な浜風が特長で、それは左打者の長距離砲には、憎らしい存在。だが、この時に佐藤が放った鮮やかな放物線を描いた一発は、自身に降りかかるであろう難題への“一発回答”となった。

 強風にも負けないパワーを見せつけたうえに、真ん中から外寄りのボールを逆方向へスタンドインさせる技術も誇示した佐藤。オープン戦で放った6本のうち、実に4本がレフトから中堅方向という結果は、バッティングセンスが確かなものだという証明にもなった。

 では、気になる1年目のスタッツはどうなるのか。近年の阪神の新人野手では大山悠輔が7本塁打(17年)を放ち、16年に坪井智哉が記録していた球団新人最多安打を塗り替え、新人王を獲得した高山俊が136安打を放っている。

 大山は経験を積ませるべく開幕を2軍で迎えたために75試合の出場にとどまり、そもそも高山はバッターとしてのタイプが違うために単純比較はできないが、佐藤は1年を通して1軍で出場を続ければ、本塁打20〜25本を期待できるポテンシャルはある。

 また、オープン戦の最終盤に5番に入った長打力を生かしたクラッチヒッターとしてぶりが発揮できれば、打点も必然的に積み上がると想像できる。さらに他球団のバッテリーの警戒が強まり四球が増えれば高打率も保てるだろう。
  ただ、忘れていけないのは、チーム内競争が続いていくという点だ。ベンチにはベテランの糸井嘉男や中堅の陽川尚将が控えているし、中軸として獲得したものの来日が遅れているメル・ロハス・ジュニアがチームに合流すれば、外野の一角を担うことは間違いない。

 さらにサードが本職である佐藤は内野起用の可能性も広がるが、仮にそうなれば、ジェリー・サンズやジェフリー・マルテら助っ人勢ともポジションを争っていかなければならない。

 しかし、現状のラインナップでは、佐藤は唯一となる左の長距離砲だ。そのポテンシャルをより効率よく活かす意味でも、リーグ屈指の脚力を持つ1番・近本光司を一振りで生還させる「2番・佐藤」という起用法も将来的にはおもしろいだろう。
  日本人選手ではソフトバンクの柳田悠岐と重ねられることも多くなってきた佐藤だが、白球をピンポン球のようにレフトへ運ぶ姿にチームメイトからは、「(クリスチャン・)イエリッチみたい」と驚嘆の声も挙がっているとか……。

 柳田であれ、イエリッチであれ、佐藤が彼らほどの特大のスケールを1年目から体現するのであれば、タイガースにとってこれ以上ない補強になる。

取材・文●チャリコ遠藤

【著者プロフィール】
1985年生まれ、大阪府出身。春日丘高、関西大を経てスポーツニッポン新聞社に入社。2010年から現在に至るまで阪神タイガース担当一筋。趣味は釣りで主なフィールドは大阪湾、明石、淡路島。100センチ超えのブリが目標。PRIDEからハマり格闘技も観戦する。

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