【パ・リーグ開幕展望】震災から10年、田中も復帰した楽天が打倒ソフトバンクを狙う。オリックスのチーム変革にも期待〈SLUGGER〉

【パ・リーグ開幕展望】震災から10年、田中も復帰した楽天が打倒ソフトバンクを狙う。オリックスのチーム変革にも期待〈SLUGGER〉

田中は右ヒラメ筋損傷で復帰まで3週間だが、幸いにも軽傷。4月下旬からは存分に貢献してくれそうだ。写真:徳原隆元

●ソフトバンク−ロッテ(PayPayドーム)
開幕投手:石川柊太−二木康太

  ソフトバンクの開幕投手は、千賀滉大、東浜巨が出遅れたこともあり、8年目の石川が務める。昨季は規定投球回未到達ながら最多勝と最高勝率のタイトルを獲得した。シュート成分の強いストレートを生かしながらのスライダー、パワーカーブとのコンビネーションは的を絞りづらい。初の開幕投手に抜擢され、一気にエースに駆け上がりたい。

 打線は開幕からベストメンバーを組めるのが大きい。周東佑京が昨季から1番に定着。今季は打率・出塁率ともさらなる向上が期待される。ポイントゲッターの柳田悠岐も開幕に間に合い、デスパイネ、グラシアルのキューバ勢もそろい踏み。ディフェンス面では今宮健太の復帰は大きい。

 ロッテの先発は高卒8年目の右腕・二木がこちらも初の大役。デビュー時から将来のエース候補として期待され、今年はオープン戦絶好調。ソフトバンクに強い美馬学を押し除けての大役は、名実ともにエースの称号を受けたといっていい。 打線は安田尚憲が球団史上最年少で4番を務めるが、それ以上に注目されるのが3年目のスラッガー山口航輝だ。オープン戦で全試合4番を務め、井上晴哉からレギュラーの座を奪った。高校時代は秋田県で吉田輝星(日本ハム)とライバル関係だった。迷いのないフルスウィングで一気に自信をつかんでもらいたい。今年のブレイク候補No.1と言っていいだろう。
 
●楽天−日本ハム(楽天生命パーク)
開幕投手:涌井秀章−上沢直之

 東日本大震災から10年。田中将大がメジャーから復帰し、開幕を宮城で迎える楽天はいいスタートを切りたい。 注目度も高く、優勝候補の一角として期待も大きい。 開幕戦は涌井秀章がマウンドに立つ。昨季は移籍1年目で最多勝のタイトルを獲得した。10度目の開幕投手とあって、安心感を持って送り出せる。

 打線は主砲・浅村栄斗を軸としつつ、左打者中心の構成になる。1番はオープン戦好調だった辰己涼介になりそう。パンチ力もあり、2番の小深田大翔とチャンスメイクしたい。島内宏明、茂木英五郎、鈴木大地と役者も揃っている。ただ、日本ハムはブルペンに複数のサウスポーを揃えるだけに、序盤から打ち崩して有利な展開に持ち込みたい。 一方、日本ハムの上沢は2年ぶりの開幕投手。有原航平が去った今季は、エースとして一本立ちが期待される。ブルペンが充実しているのも日本ハムの強みで、今季はクローザーに杉浦稔大を据えて、宮西尚生ら職人がしっかりと支える。

 打線はスターティング・メンバーの充実度ではリーグ屈指と言える。西川遥輝が1番を務め、3番・近藤健介、4番・中田翔と力強い。渡邉諒、大田泰示、若い野村佑樹が脇を固め、左右のバランスもいい。課題は控えメンバーがやや物足りないことか。とにかく、離脱者を出さずにどこまで戦えるか。下馬評が低いだけに覆したいところだ。

●西武−オリックス(メットライフドーム)
開幕投手:高橋光成−山本由伸

 西武は7年目の高橋光成が初めて開幕マウンドに立つ。2019年に初の2ケタ勝利を挙げ、昨季は規定投球回数をクリア。階段を着実に上がってきた中で開幕投手を担う。真のエースと言われる様な威風堂々としたピッチングが求められる。一球一球に意味を持たせていきたい。 一方、打線は昨季、「リーグ最強」の座から陥落した。ただ、森友哉や山川穂高がこのまま終わるはずもない。1番は金子侑司が務めるが、果たして役目を果たせるか。若い西川愛也や2年目の岸潤一郎、ルーキーの若林楽人らが台頭するかもいれない。

 オリックスは若きエース山本が先陣を切る。昨季は最多奪三振のタイトルを獲得し、今季の沢村賞候補にも挙げられる。球界を熱くする投手と言えるだろう。昨季の対西武戦は防御率0.93、被本塁打0本と圧倒的な数字を残した。今季はチームの浮上も期待されるだけに、開幕からロケットスタートの旗頭となりたい。

 打線はオープン戦で不調だったのが気がかり。ただ、太田椋や紅林弘太郎らプロスペクトに開幕スタメンを託すあたりは、チーム変革へのビジョンを感じる。3番に吉田正尚が君臨し、モヤ、ジョーンズと破壊力もある。若い世代でいかに形を作れるかがカギだろう。

取材・文●氏原英明(ベースボールジャーナリスト)

【著者プロフィール】
うじはら・ひであき/1977年生まれ。日本のプロ・アマを取材するベースボールジャーナリスト。『スラッガー』をはじめ、数々のウェブ媒体などでも活躍を続ける。近著に『甲子園という病』(新潮社)、『メジャーをかなえた雄星ノート』(文藝春秋社)では監修を務めた。
 

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